それですべて
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
今朝、とてもハンサムですごく若い男が、家の玄関に来た。彼は、あ
とで分かったが、エホバの証人で、オレを救済するために来た。たぶん、
なにか売るつもりだろうが、そのような話にはまったくならなかった。
オレは、熱心な無神論者だと伝えたが、それでもまったく意に介さな
かった。彼はしゃべり続け、オレは、二日酔いでパジャマのまま、聞き
続けた━━━なぜなら、彼を見ていると、自分を見ているようで、オレ
が見逃してしまった方法で、もしも神がいて、チャンスがあれば、彼は
宇宙の一部を変えて、オレに奇跡をもたらせてくれるように思えた。オ
レは、奇跡がなくても、簡単に説得されてしまう若者だった。