ボーグの絆を求めて
              ロナルドムーア
            プロローグ
 
 荒れ果てた惑星。
 球体のボーグ救命艇が飛んで来て、不時着し、火柱を上げた。
 生き残ったドローンが3人、集まって来た。
「入力ミス」と、3人。
 セブンオブナインは起き上がった。「集合体とのリンクが切れたよう
だ」と、セブン。「これより第2プロトコル開始」3人に。「船のトラ
ンスワープ室に、圧力異常が生じた、このエリアを脱出する」
「了解」と、1人。「方向調整装置が機能していない」と、2人。
「向こうだ、方位301」と、セブン。「了解」と、3人。
「そのドローンを運べ!」と、セブン。倒れたドローンを見た。
 ふたりが、倒れたドローンの手を持って引きずって行った。




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 ボイジャーは、巨大な宇宙ステーションに停泊していた。
「艦長日誌」と、ジェインウェイ。「宇宙歴53049・2、停泊した
マルコニアン前哨基地で、相互訪問のため、希望者には上陸許可を与え
ることにした。トゥヴォックは、多数の訪問者の受け入れに反対したが、
わたしは、警備の問題は別として、文化交流や新たな交友関係を楽しみ
にしている」
 ブリッジ。
 なん人もの異星人が訪れて、クルーと会話していた。
 チャコティが、ドアから大きな荷物を持って入って来た。
「失礼」と、チャコティ。扱いにくい3メートルの器具を、異星人に当
たりそうになりながら、艦長室に運んだ。
 艦長室。
「艦長」と、チャコティ。
「待って、すぐ行きます」と、ジェインウェイ。大きな植木と格闘して
いた。「こんなにツルがからまりやすいとは知らなかった。水をやろうと
したら、引っ掛かっちゃって」
「これは」と、チャコティ。「キンボリの外交団からです。名前は知ら
ないが、神聖なゲームで使ったという、やたらに重いものです」

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「そのへんに置いて」と、ジェインウェイ。艦長室のソファ、床、デス
クに多くの贈り物が散らばっていた。「キンボリに礼を言って。それか
ら、記念にこれをあげて」本を渡した。
「もう、ボイジャーのメダルは渡しました」と、チャコティ。「喜んで
いるようでしたよ」
 チャイムが鳴った。
「どうぞ」と、ジェインウェイ。トゥヴォックが入って来た。「まるで
クリスマスのようでしょ?」
「気前のいい」と、チャコティ。「お客さんが多いのには、驚きだな」
「それに犯罪行為が」と、トゥヴォック。「増加する傾向です、今朝の
保安報告書です」
「ODNライン破損」と、ジェインウェイ。報告書を受け取って、読み
上げた。「私物の紛失集計。スキャナー中継器破損。それほどひどくな
いわ」
「その報告書には、2ページ目があります」と、トゥヴォック。
「う〜ん、多少、被害が大きいものもあるわね」と、ジェインウェイ。
「でも、この企画は、正しかったと思ってる」
「3ページ目もあるんですが」と、トゥヴォック。
「ああ、そうか」と、チャコティ。代わりに読んだ。「異星人くらいお
おぜい見て来ると、たまに解放的で、自由な気質の相手に出会うのは、

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いいことじゃないか?」
「個人的な意見だけれど」と、ジェインウェイ。「船を解放したのは、
いい経験だし、成功だと思う。わたしは満足よ」
「オレも」と、チャコティ。
「それでしたら」と、トゥヴォック。「オレも満足ですよ。では、失礼
します」
「トゥヴォック」と、チャコティ。「記念に、これはいらないか?」
 差し出された黒のケース入れを見て、トゥヴォックは、なにも言わず
に出て行った。
「うう」と、ジェインウェイ。「髪にからまった」チャコティが助けに
行った。
 
               ◇
 
 天体測定ラボ。
 セブンがパネルに向かって仕事していた。ナオミワイルドマンが、横
で見ていた。
「もう1時前よ」と、ナオミ。
「空腹なら、先に食べるとよい」と、セブン。
「いっしょに食べるって言ったじゃない?」

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「まだ、基地の発電装置とマトリックス分析が済んでいない」
「あと、どのくらいかかる?」
「数時間だ」
「セブン、約束したでしょ?」と、ナオミ。
「分かった」と、セブン。
 ナオミは、笑顔になった。
 
               ◇
 
 通路。
 なん人もの異星人が訪れて、クルーと会話していた。
「まぁ、今朝よりいっぱい来ているみたいね」と、ナオミ。
「そうだな」と、セブン。
「ちょっと通して!」と、ナオミ。「通して!ターボリフトまで行きた
いの!通して!」
「道をけないか?」と、セブン。語気の強さに、全員、通路の両側に
道を譲った。
「ありがとう」と、ナオミ。ふたりが通り過ぎると、また、通路はいっ
ぱいになった。
 

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               ◇
 
 食堂。
 多くの異星人で、ごった返していた。
「悪いけど」と、ニーリックス。「一切、動物料理は終わっちゃったん
だ。材料の袋は、2キロしかなかったもんでさ。もう、すっからかんさ。
ピザならあるけど、どう?」
 セブンとナオミは、テーブルに向かい合って、食事していた。
「彼女」と、ナオミ。「シボリアンでしょ?」
「そうだ」と、セブン。
「生命体521?」
「ボーグの名称を使うのを、おまえの母親は許さない。わたしも許さな
い。ボーグのマネは良くないと、前に行っただろ?」
「ごめんなさい」
「もう、じゅうぶんだ」と、セブン。フォークを置いた。
「座ったばっかりよ!」と、ナオミ。
「人ごみは好きではない」
「前にいた集合体も、人ごみじゃなかったの?」
「だから今でも、嫌いなんだ」
「あ、ごめんなさい、気がつかなかった。行きましょう!」と、ナオミ。

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「失礼」と、黒服を着た、背の高い男。「セブンオブナインか?」
「そうだ」と、セブン。
 男は、持っていたブリーフケースをけた。そこには、ボーグ装置が
7つ、入っていた。それを見て、セブンは驚いて立ち上がった。
 救命艇で、荒れ果てた惑星に不時着した日のことがよみがえった。
「大丈夫?」と、ナオミ。立ち上がった。
「わたしのオリジナルユニマトリックス、ボーグシナップス中継器だ」
「これ、セブンの?」と、ナオミ。
「どこから手に入れた?」と、セブン。背の高い男に、いた。
「商人だ」と、背の高い男。「オレンダルファイブ。以前に、ボーグの
ドローンだったと聞いたが、これに興味があるかと思って、持って来た
んだ」
「これは、もらおう」と、セブン。「ジェインウェイ艦長に言えば、代
金は支払ってくれるはずだ」
「了解した」と、背の高い男。ブリーフケースごと、セブンに手渡した。
「これは、詳しく調べてみる」と、セブン。ナオミに言って、出て行っ
た。
「分かった」と、ナオミ。それから、男に。「お名前は?」背の高い男
は、なにも言わずに立ち去った。「失礼ね」と、ナオミ。笑顔が消えて、
また、座って、食事を続けた。

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「第2段階完了。中継器を渡した。彼女は調べるだろう」と、背の高い
男。人ごみに立ち止まって、テレパシーで伝えた。
「再生アルコーブは、第2貨物室の中だ」と、別の黒服の女。
「彼女は向かっている」と、別の黒服で黒の帽子の男。「第3段階の準
備をしよう」
「了解」と、黒服の女。
「合意に達した」と、背の高い男。「ふたりとも食堂に集合して、警備
網を突破する用意をしよう」


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 荒れ果てた惑星。月が2つ浮かんでいた。
 倒れたドローンの部品を義肢でつかんで、女ドローンに渡した。
「エラー」と、義肢のドローン。
「エラーとは?」と、セブン。近くで見ていた。
「ドローンの遺体を、汚すべきでない」と、義肢のドローン。「ブラザ
ラの意思に反している」
「ブラザラとは?」と、女ドローン。
「ブラザラとは」と、背の高いドローン。「生命体571がうやまう超

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自然的存在のことだ」
「オレは」と、義肢のドローン。「生命体571だ」
「データミスによる混乱が生じた」と、セブン。「無視するんだ」
「オレは生命体571だとおまえは言ったな」と、女ドローン。「個人
だと考えているのか?」
「ここに個人はいない」と、セブン。「われわれは、ボーグなんだ」
「了解」と、3人。
「通信ビーコンの組み立てに戻ろう」と、セブン。
 義肢のドローンは、また座り、背の高いドローンと作業を続けた。
 
               ◇
 
 貨物室。
 ベラナがトリコーダで、ボーグ部品を調べていた。
「一般的な、ボーグシナップス中継器のようだけど」と、ベラナ。
「ほかにもなにかあるはずだ」と、セブン。「見た瞬間に、イメージが
つぎつぎに浮かんで来た。過去の記憶に音に」
「わたしにはごく自然な反応のように思える。それは、あなたのものだ
ったんでしょ?だったら、あなたが経験したのは、単なる、ノスタルジ
アだということも考えられる。過去の感傷的な気持ち」

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「ノスタルジアがなにかは知っている」と、セブン。「だが、わたしに
は、過去への感情などない」
「分かった」と、ベラナ。「わたしにできることは、なさそうね」立ち
去ろうとした。
「中尉」と、セブン。「あなたは手を貸そうとした。それは感謝する」
「分かってる」と、ベラナ。「あ、それから、過去にノスタルジアは感
じてはいないかもしれないけど、なにか感情を抑えているのは分かる。
強い感情」ベラナは、出て行った。
 
               ◇
 
 食堂。
 1つのテーブルで、3人の元ドローンが食事していた。会話はすべて
テレパシーを使った。
「彼らの保安体制は、かなり手強てごわい」と、背の高い男。「時間が足りな
いかもしれない」
「セブンオブナインが心配だ」と、帽子の男。「考え直そう、まず、彼
女に質問して」
「結果は分かり切ってる」と、黒服の女。「彼女が協力するはずない」
「すでに話し合った」と、背の高い男。

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「彼女を傷つけるかもしれない」と、帽子の男。
「もういい!」と、背の高い男。大声を出してしまった。となりの異星
人がこちらを見たので、目立たないように、これからは普通に話した。
「みんなの合意が必要だ」と、黒服の女。
「合意がないと動けない」と、背の高い男。
「分かってる」と、帽子の男。
「おまえ次第だぞ。やるのか、どうする?」
「あ、そうだな、優柔不断で申し訳ない」
「謝罪など」と、黒服の女。「どうでもいいんだ」
 
               ◇
 
 貨物室。
「コンピュータ、多極分析を始めろ!」と、セブン。
「ただいま分析中」と、コンピュータ。
「終了時間は?」
「5時間17分後です」
 それを聞いたセブンは、それまで再生装置に入ることにした。
 テーブルの上のボーグ中継器が、点滅を始めた。
 

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               ◇
 
 食堂。
 3人の食事の手が止まった。
「再生しているぞ」と、背の高い男。
「内部センサーの経路を切り替えろ」と、黒服の女。
「センサー入力を、第2プロセッサーに切り替えろ」と、帽子の男。ボ
ーグ中継器に、テレパシーで命令した。
 
               ◇
 
 ブリッジ。
 トゥヴォックは、保安パネルがなにかおかしいことに気づいた。
 
               ◇
 
 ターボリフト。黒服の3人以外は、みんな下りた。
「止まれ」と、黒服の女。
 背の高い男が、天井をはずして上へ出た。
 

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               ◇
 
 ブリッジ。
「どうした?」と、チャコティ。保安パネルのトゥヴォックにいた。
「保安グリッドの電力が、不安定です」と、トゥヴォック。
 
               ◇
 
 貨物室。
 黒服の3人が、メンテナンス通路から侵入した。3人は、セブンが再
生中のアルコーブの前に行った。
 
               ◇
 
 ブリッジ。
「セキュリティ侵害があったようです」と、チャコティ。保安パネルで、
ジェインウェイに報告した。「場所は、分かりません」
 
               ◇
 

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 貨物室。
 セブンが再生中のアルコーブのところに、黒服の3人が来た。
 背の高い男が、左手の黒の包帯を取ると、手の甲にボタンが現われて
押した。
「いいぞ」と、背の高い男。
「インターリンクモジュールをセットしろ」と、帽子の男。
 黒服の女は、左足の装置から部品をはずして、セブンのアルコーブに
取り付けた。
「できた」と、黒服の女。
「まだ、心配してるのか?」と、背の高い男。帽子の男に。
「もし失敗したら」と、黒服の女。「決して個人にはなれない。それを
よく考えることだ」
 帽子の男は、うなづいた。
「合意が得られたな」と、背の高い男。セブンの首筋に、左手の甲の鉗子かんし
を2本差し込んだ。「記憶ファイルを見つけた」
「われわれに気がついた」と、黒服の女。
「意識を回復しようとしている」と、背の高い男。
「中止するんだ!」と、帽子の男。
「だめだ」と、黒服の女。「もう少しなのに」
 セブンが、目を覚ました。

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「わたしは従うつもりはない!」と、セブン。背の高い男を、振り払っ
た。
 黒服のふたりにつかまれそうになったが、そのとき、トゥヴォックと
2人の保安クルーが到着して、フェーザーで3人を撃った。トゥヴォッ
クは、すぐにセブンに駆け寄って、フェーザーをホルスターにしまった。





            3
 
 荒れ果てた惑星。月が2つ浮かんでいた。
 火をいて、殺した動物の肉を焼いていた。
「これと同じことを、前にもした」と、セブン。「父がいっしょのとき。
父は、背が高かった」
「オレにも、よく似た記憶がある」と、背の高いドローン。「だが、家
の中だった。暖炉の中で火が燃えていた」
「バイオ物質が焼けた」と、義肢のドローン。みんなに肉を分け与えた。
「この物質は、昔、食べた鳥の味に似ている」と、女ドローン。

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「よく料理をした」と、義肢のドローン。「昔、両親のために。うちは、
川のそばの、小さなビルだった」
「昔、わたしは、暗闇がこわかった」と、セブン。
「同化される直前にオレは」と、背の高いドローン。「仲間と、みんな
と食事していた。いつもおおぜいで仕事をした。計算だ。オレは、方程
式を解く仕事をしていた」
「わたしには名前があった」と、女ドローン。「わたしは、マリーカだ。
マリーカ、ウィルカーラ、ウィルカーラ」
「やぁ、マリーカウィルカーラ」と、背の高いドローン。
「違う!」と、セブン。「彼女は、スリーオブナインだ」いら立ちを感じ
て、その場で行き来し出した。
「オレは、名前がある」と、義肢のドローン。「プシャンだ。ドーナー
とアンシャの息子だ。ふたりの世話が、オレの役目だった」
「わたしは」と、スリーオブナイン。「夫と宇宙船に乗っていた。エク
スカリバーだ。わたしは、そこのエンジニアだった」
「オレの手ではない」と、背の高いドローン。左手のインプラントを動
かした。
「父も母も死んだ」と、義肢のドローン。「ボーグに殺された。ボーグ
が憎い」立ち上がった。
「無関係なデータが入っている」と、セブン。「すべて消去しなくては」

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「手を取り戻したい」と、背の高いドローン。
「勤務中だった」と、スリーオブナイン。「夜のあいだに、ボーグがや
って来た。ああ、なんということだ」立ち上がった。「彼らがしたのだ、
こんな格好に!わたしのからだに、こんなものを埋め込んで!ひど過ぎ
る!」
「命令優先だ」と、セブン。「相互交信はやめろ!従うのだ!この記憶
ファイルにアクセスしてはならない。所定のメンテナンスとサバイバル
プロトコルのみ使用する。集合体に再同化する者に、これ以上の交信は
不必要だ」
「了解」と、3人。
 
               ◇
 
 医療室。
 3人の元ドローンが、それぞれ、ベッドに寝かされていた。
「腕の悪い医者が」と、ドクター。「インプラントを除去したようだ。
手術中に内蔵が損傷を受けている。体じゅう傷だらけになっている」
「だれか分かったのは」と、セブン。「あとになってからだ。記憶ファ
イルにアクセスされ、一時的に彼らとリンクしたので分かった。ツーオ
ブナイン、スリーオブナイン、フォーオブナインだ。同じユニマトリッ

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クスのメンバーだった」
「あなたの記憶に」と、ジェインウェイ。「アクセスした理由は分かる
?」
「いや」と、セブン。
「彼らはいつ、集合体を離れたの?」と、ジェインウェイ。ドクターに。
「3・4か月前らしい」と、ドクター。「しかし、まだ、互いにリンク
しています」コンソールにイラストを表示させた。「なぜだか分からな
いが全員の脳の左頭頭葉が、インターリンク器官に変えられています。
3人が集合体としてつながっているわけです」
蘇生そせいさせて」と、ジェインウェイ。
 ドクターが、3人にハイポスプレーを打ってゆくと、目を覚まして、
ベッドから起き上がった。
「艦長のジェインウェイです」と、ジェインウェイ。背の高い男、ツー
オブナインに。「身元を知っています。なにをしようとしたのかも。理
由をきたいの」
「彼女は情報を持っている」と、ツー。
「どんな種類の情報?」
「われわれは個人に」
「なりたいの」と、スリー。
「3人をつないでいる神経リンクを切りたいの?」と、ジェインウェイ。

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「当然だろ」と、スリー。「ひとりきりで、考えることも感じることも
できない」
「毎日、毎日、ほかのふたりの声が聞こえて来るんだ」と、ツー。
「寝ているときも」と、フォー。「ほかのふたりの夢が見える」
「集合体の頃と変わらんだろ?」と、ドクター。
「あそこでは」と、セブン。「おおぜいの声がしたから、交じり合って、
気にならなかった」
「だが、3人だけだと」と、ツー。
「お互いの声が」と、スリー。「はっきり聞こえる」
「なんとかして、止めないと」と、フォー。「リンクを切断する必要が
ある」
「ドクター」と、ジェインウェイ。「なんとかならないの?」
「改造範囲が広過ぎるし」と、ドクター。「神経経路が、完全に変えら
れている」
「鍵はおまえにある」と、ツー。セブンに。
「なぜ?」と、セブン。
「おまえもいっしょだった」と、スリー。
「1865アルファ惑星だ」と、フォー。「そう、思い出したか?」
「8年前、墜落事故があって」と、セブン。「生存者は、われわれだけ
だった」

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「再同化されたときに」と、ツー。
「われわれはなぜか、リンクされていた」と、スリー。
「集合体が」と、フォー。「2重になっていたんだ」
「一方の耳から3人の声が聞こえて来て」と、ツー。
「もう一方から、おおぜいの叫び声」と、スリー。
「解放されたかったから」と、フォー。「協力し合って、やっと逃げ出
した」
「イナバープライムでインプラントをはずしたが」と、ツー。
「神経リンクは破壊できなかった」と、スリー。
「8年前、なにがあったか知る必要がある」と、フォー。「墜落のあと
だ」
「集合体に、再同化された夜のことだ」と、ツー。「リンクがどう作ら
れたのか知りたい。だが、われわれの記憶は」
「断片的だし」と、スリー。「混乱している。おまえはなにか知らない
か?」
「いや、知らない」と、セブン。「だが、データ修復に、協力は惜しま
ない」
 ジェインウェイは、うなづいた。
「いっしょに来い」と、セブン。3人と貨物室へ向かった。
 

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               ◇
 
 貨物室。
「準備はいいか?」と、セブン。
「よし」と、フォー。スリーがフォーの頭部にデータリンクをつないだ。
「データサーチは完了」と、セブン。「なにか思い出したことは?」
「ない」と、フォー。「4人でたき火を囲んだのが」
「最後の記憶だ」と、スリーとツー。
「皮質プロセッサーの」と、セブン。「データファイルには、損傷はな
いようだ。記憶欠落の原因を示すものはない」
「おまえはどうだ?」と、ツー。「なぜ、なにも覚えていない?」
「分からない」と、セブン。「わたしの記憶ファイルにも損傷は認めら
れないし、たき火のことは覚えている。気づいたら、集合体にいた。その
間は、途切れている。でも、その理由は分からない」
「なぜ、セブンと呼ばれているんだ?」と、ツー。「名前があるだろ?」
「セブンが名前だ」
「違う」と、フォー。「それは、ボーグでの名称だ。おまえは個人なん
だろ?」
「昔の名前は、今のわたしには適さないと判断した」そして、スリーに。
「記憶カスケイドの再初期化の用意を!」

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「わたしは」と、スリー。「本名を使いたくてたまらない」
「使えない理由は、なにもないはずだ」と、セブン。
「問題は、自分の名前が分からなくなることだ」と、ツー。「マリーカ
なのか、プシャンか、ランサーか、名前もだし」
「記憶も考えが、ほかのふたりに伝わってしまうんだ」と、フォー。
「愛も憎しみもそうだ」と、ツリー。「笑いもだし」
「悲しみも共有することになる」と、ツーとスリー。
「そんな状態で自分の名前を使えるか?」と、ツー。
「これでは、個人とは言えない」と、フォー。
「ボーグでもない」と、スリー。
「なんにもなれない」と、ツー。
「カスケードの用意をしろ」と、セブン。
 
               ◇
 
 艦長室。
「親善試合?」と、ジェインウェイ。
 トムパリスとハリーキムが呼び出されていた。
「ええ、始めたときには」と、トムパリス。右目にアザができていた。
「なるほど。では、親善試合がケンカに変わった経緯いきさつを説明して!」

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「ハリーとオレは」と、トムパリス。「基地内を見て回りました。つま
り、異星文化の理解を深めようとしていたわけですが」
「余計なことはいいの、バーを捜していたのね?それから?」
「バーは見つけました」と、ハリー。「そこでゲームをしていたキンボ
リ人に、やり方を習ったんです。大きくて変なラケットを使うんですが」
「あれじゃないの?」と、ジェインウェイ。チャコティが持ってきた3
メートルの器具を指差した。
「そうです」と、ハリーとトム。
「それで、ま、とにかく」と、トム。「挑戦されたもので、受けたわけ
ですが、どうもルールをよく理解してなかったようでして」
「酔っていたわけね?」
「ええ、そうです。テニスに似たゲームだと思ったんですが。最初に来
た玉を打ち返した途端に、キンボリ人がネットを越えて、殴り掛かって
来ました、あのラケットで」
「応戦する決まりかと思ったんです」と、ハリー。
「そう」と、トム。
「そのうち、ちょっと暴走したようで」
「ちょっと暴走した?」と、ジェインウェイ。「ボイジャーのクルー7
名、うち2名はブリッジの士官、キンボリ人13名、およびカフェのオ
ーナーのモルフィニア人が全員逮捕。容疑は、治安びん乱から警備員に

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対する暴行まで多岐にわたる」
「それは」と、ハリー。「違っています」
「そう、ミスターキムのいい分は記録しておきます。それでは、ふたり
とも、知らせがあるまで、自室で謹慎するように。行ってよろしい」
 ふたりはドアに向かった。
「で、勝ったの?」と、ジェインウェイ。
「ええ、もちろんです」と、トム。
「やっつけました、コテンパンに!」と、ハリー。
「結構!」と、ジェインウェイ。「行きなさい!」
 ふたりと行き違いに、セブンが艦長室に入って来た。
「進展は?」と、ジェインウェイ。
「われわれは全員」と、セブン。「記憶の同じ部分が欠落しているよう
だ。これが偶然とは考えられない」
「つまり、ボーグが」と、ジェインウェイ。「再同化の際に、故意に、
あなたたちの記憶を消したと思っているの?」
「それは、ありうる話だが」と、セブン。
「だが?」
「ドローンの再同化の記憶など、集合体にはどうでもいいことだ」
「きっと、途中でなにかあったのよ。隠しておきたいなにかがね。別の
観点から見てみましょう。そもそも集合体は、なぜ3人をリンクさせた

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のかしら?」
「分からない。ドローンを3人リンクさせたところで、なにも利点はな
い」
「でも、なにか理由があるはずよ。その疑問さえ解ければ、なにもかも
見えて来る気がする。抜けた記憶を元に戻す方法があれば、いいのだけ
れど」
「方法ならある」と、セブン。
「今まで言わなかったのには、わけがありそうね?」
「わたしの神経インターフェースをリンクすれば、データを復活させら
れるかもしれない。だが、わたしは、また、集団の一部になる」
「もう、その経験をしたくはないんでしょ?」
「そのうえ、神経リンクから抜け出せなくなる危険性もある」
「3人のリンクが、4人になるわけ。そんな危険を犯せとは言えない」
「彼らの力になるべきだとは思う」と、セブン。「だが、その方法でい
いかどうかは分からない」
「ひとつ聞かせて。あなたはあの3人を、家族だと思う?」
「なぜ、そんなことを?」
「こんな言葉があるの。血は水よりも濃い。つまり、家族の関係は、ほ
かのどんなつながりよりも濃いということ。他人のためにはできないこ
とでも、家族のためだったらできるものなの」

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               ◇
 
 通路。
 セブンが歩いていると、ナオミワイルドマンが走って来た。
「セブン、セブン」と、ナオミ。
「ナオミワイルドマン」と、セブン。
「ドローンのこと聞いたわ」と、ナオミ。「なにかされた?」
「ダメージは受けてない」
「用はなんだった?」と、ナオミ。
「わたしの情報を欲しがってる。だが、手を貸せるかどうか分からない」
「そう、気を付けてね!」と、ナオミ。
「ナオミワイルドマン」と、セブン。立ち止まっていた。「わたしの
ことを家族だと思うか?」
「わたしは別に、うう、思うわ」と、ナオミ。「ね、これでいい?」
「わたしに異議はない」
「わたしも家族だと思ってる?」
「思ってる」と、セブン。
 ナオミはそれを聞いて、笑顔になった。
 

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               ◇
 
「艦長日誌、補足」と、ジェインウェイ。「セブンオブナインは、ほか
のドローンたちとリンクするための処置を受ける決意をした。危険を伴
うが、彼女は、遠い従妹たちを助ける義務を感じているようだ」
 貨物室。
「リンク中は、きみをモニターしているが」と、ドクター。セブンに。
「きみが取り込まれたら対処できるかどうか、オレの側から」
「ドクターは、ベストを尽くす」と、セブン。
「医者が患者に励まされるのは、良くない兆候だな。幸運を祈る」
 セブンは、アルコーブに立った。「用意は?」
「オーケー」と、3人の元ドローン。それぞれのアルコーブに立った。
 荒れ果てた惑星に不時着した記憶がよみがえった。
 セブンは、3人から離れ歩いていた。ひとりのドローンが倒れていた。
「損傷を受けている」と、セブン。駆け寄った。「手を貸してやろう」
ドローンは、苦しがってセブンを強くつかんだ。「大丈夫だ、心配しな
くていい」傷ついたドローンは、セブンをつかんだまま死んだ。
 セブンが3人のところに戻って来た。
 修理した通信ビーコンが、点滅を始めた。
「位置を確認した」と、フォー。「すぐボーグの船が来る」

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「われわれはボーグに戻る」と、セブン。
「いやだ」と、ツー。「もう集合体には戻りたくない」
「賛成だ」と、フォー。
「それは所定のプロトコルに反している」と、セブン。
「プロトコルがなんだ」と、スリー。「おまえは、もうドローンじゃな
い!人間なんだ!」
「名前もある、人生もだ」と、フォー。「ほんとうの自分を受け入れれ
ば、それでいいんだ」
「だめだ」と、セブン。「わたしは存在しない。集合体の一部でしかな
いのだ」
「やつらがわれわれに」と、ツー。「そう思わせたがっているだけだ」
「われわれはボーグだ」と、セブン。「集合体での服務が、基本機能だ」
「いや、もう違う」と、ツー。通信ビーコンを岩に投げつけて破壊した。
「エラーだ!入力ミスがある」と、セブン。
「やつらは惑星が分かっても」と、ツー。「ビーコンがなければ、位置
を特定できない」
「皮質インプラントを再調整できれば」と、スリー。「きっとボーグの
センサーをかわせる」
「ここから離れないと」と、ツー。
「今、行われた会話は」と、セブン。「すべて所定のプロトコルに反し

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ている」
 ツーは、歩いて行った。フォーが続いた。
「おまえはここに残っていて、再同化されればいい」と、スリー。「わ
たしはイヤだ」スリーも2人のあとに続いた。
 セブンは、ひとり残された。どうしていいか分からず、うろうろした。
 フォーを見つけて、フェーザーで撃って倒した。
「なにをしている?」と、フォー。
「ナノプローブで」と、セブン。フォーの首筋に左手の甲の鉗子かんしを2本
差し込んだ。「左脳にインターリンク器官を作る。抵抗しても無駄だぞ」
ツーも見つけて、同様の処置をした。
「わたしは従わない」と、スリー。「わたしは従わないぞ」しかし、セ
ブンはスリーをつかまえて、同様の処置をした。
「ボーグにおける名称を言え!」と、セブン。
「ツーオブナイン」と、ツー。「ユニマトリックス01第一付属物」
「スリーオブナイン」と、スリー。「ユニマトリックス01補助プロセ
ッサー」
「フォーオブナイン」と、フォー。「ユニマトリックス01第二付属物」
「基本機能はなんだ?」と、セブン。
「集合体での服務」と、3人。
「通信ビーコンの修理にかかれ!」3人は従った。

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 貨物室。
「おまえだったのか!」と、ツー。「おまえがやったのだな!よくもわ
れわれに」
「おまえがリンクした」と、スリー。
「結びつけたのは、おまえか」と、フォー。
「なんでそんなことを」と、スリー。
「あのとき集合体には、戻りたくなかったのに」と、ツー。
「おまえのせいで」と、フォー。
「なんでそんなことを」と、スリー。
「だれか助けてくれー」と、セブン。
 トゥヴォックが、貨物室に入って来た。
「いったい、どうした?」
「彼らが、セブンとのリンクを切った」と、ドクター。「機能不全だ、
医療室に運ぼう!」







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 医療室。
 3人はベッドに寝かされ、ドクターがトリコーダーでていた。「リ
ンクを切断したときに」と、ドクター。「彼らのインプラントがオーバ
ーロードしたんだ。神経ショックに陥っおちいてる」
「わたしだけ」と、セブン。「ダメージがなかった」
「わけは見当がつく」と、ドクター。「ナノプローブを注入したのを思
い出したと言ったな」
「そうだ」と、セブン。「わたしがインターリンクを作った。集合体に
戻すには、そうするしかなかった」
「だが、思わぬ副作用があったのだ。彼らの高頭脳機能が、インターリ
ンクと接続していた。そのために、きみとのリンクを切ったときに、彼
らの認知システムは、過度のショックを受けた」
蘇生そせいはできるか?」
「インターリンクを取り除けば、可能だ。それで彼らのリンクは無くな
るが、同時に、死を意味する。生きていられるのは、まぁ、長くて、1
か月だな」
「ほかになにか方法は?」
「ボーグに戻すこともできる。集合体に同化すれば、意識は取り戻すだ

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ろうし、寿命を全うまっとできるだろう」
「ドローンとしてか?」
「ドローンとしてだ。だが、生きてはいられる」
 
               ◇
 
 天体測定ラボ。
 セブンは、仕事しながら、チャコティに報告した。
「集合体に戻らないと、長く生きられないらしい」と、セブン。
「いい結末とは、言えないな」と、チャコティ。
「そうだ」
「惑星のことに戻って、なぜ、きみだけ彼らと反応が違ったんだね?な
ぜ、個人になりたがらなかった?」
「集合体に同化されたとき、わたしは、まだ、子どもだった。だが、お
となとして扱われた。だから、頭に浮かんで来た昔の記憶は」
「子どもの記憶だったのか」と、チャコティ。立ち上がって、セブンの
方へ行った。「おびえた子ども」
「恐怖感に支配された。目の前でドローンが死ぬのを見たあとも、わた
しはおびえていた。死んで行く自分が見えた。ひとりで。慰めなぐさてくれる
ドローンの声も聞こえず、だから、みんな連れ戻して、左脳にナノプロ

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ーブを注入して、新しく、インターリンクのネットを作り上げた、抵抗
できぬように、そして、その証拠の記憶を消した」
「感情に刈られ、わけも分からずしたことだ」と、チャコティ。「きみ
に責任はない」
「彼らをいっしょに集合体にいさせる原因を作ったのは、わたしだ。だ
から、責任は、わたしにある」
「命があるのと、生きるのは違う」と、チャコティ。「集合体にいるの
は、生きているとは言えない。きみなら分かるはずだ」
「ほかに方法はない」
「ドクターが彼らのインターリンクを処置した場合、どのくらい生きら
れるのか?」
「長くて、1か月」と、セブン。
「個人で1か月か、ドローンで一生。きみなら、どっちを選ぶ?」
 
               ◇
 
 医療室。
 セブンが入って来た。
「命があるだけでは不十分だ」と、セブン。
「なんだって?」と、ドクター。コンソールから顔を上げた。

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「わたしは一度、彼らを集合体に連れ戻した。もう、同じ間違いはしな
い。彼らは個人になってもいいはずだ。リンクを取り除くべきだ」
「あの3人は、きみが責任を感じるのは分かる」と、ドクター。立ち上
がった。「しかし、オレは医者だ。患者の命をできるだけ伸ばすのが務
めだ。たとえそれが」
「彼らをボーグに引き渡すつもりはない」と、セブン。
「それは彼らのためか?きみのためか?」
「どういう意味だ?」
「さっき言っただろ?」と、ドクター。「間違いをした。きみは間違い
を犯すのは嫌いだ。完璧を求める。きみの決断の理由を、よく考えるん
だ。彼らのために正しいことをしているか、昔のことで感じている罪悪
感を、減らしたいだけじゃないのか?」
「わたしのしたことは」と、セブン。「取り返しがつかないし、罪の意
識など、今は無関係だ。ただ、彼らに個人の経験をさせたいだけだ。わ
たしのように。おまえと同じように。昔、おまえは医療室を出られず、
プログラムも、緊急医療プロトコルだけだった。ある意味では、ドロー
ンと似た状態だった。だが、その後、おまえには個人としてのチャンス
が与えられて、プログラムを拡大できたし、モバイルエミッターのおか
げで、歩き回れる。自分の考えを持てる。もしも、また、ドローンに戻
れと言われても、きっと、抵抗するはずだ」

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「ああ」と、ドクター。「そうだろうな」
「彼らも抵抗する」と、セブン。「きっと、自由を選ぶだろう。短い命
でも、それは、おまえとわたししか、ほんとうには理解できない」
「命が」と、ドクター。「あるだけでは不十分か?」
 
               ◇
 
 夜の食堂。
 3人が、窓の外を見ていた。セブンがいっしょだった。
「とっても、静かだ」と、マリーカ。
「なにを言うつもりか」と、プシャン。「分からなかった。ふたりの考
えも分からない」
「ああ」と、ランサー。「自分の考えをもつのが、どんなことか忘れて
いた。ここを出る」
「どこへ行くつもり?」と、マリーカ。
「宇宙ステーションを見てみたいし」と、ランサー。「人と出会いたい。
自分の人生を、取り戻したい。まだ、生きてるあいだに」ランサーは、
ふたりに無言で別れを告げ、セブンにもうなづいて、出て行った。
「オレも出て行く」と、プシャン。マリーカに。「無人の惑星がある。
数光年のところだ。広々として場所で、死ぬまで過ごしたい」互いに肩

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を抱いて、別れを告げた。そして、セブンに。「オレの種族は、うらみを
持たない。幸せを祈る、セブンオブナイン」
「ありがとう」と、セブン。
 プシャンは、出て行った。
「また」と、マリーカ。「連邦の船に戻れて、ほんとうに嬉しい。わた
しはボイジャーに残る」
「艦長が」と、セブン。「いつまでいてもいいと言っている」
「死ぬまでということだ」と、マリーカ。「おまえのしたことを許すの
は、無理だ。でも、なぜしたのか、わたしにもよく分かる」

            エピローグ
 
 天体測定ラボ。
 ナオミが入って来た。
「ナオミワイルドマン」と、セブン。
「だれかにいて欲しいんじゃない?」と、ナオミ。
「なぜ?」
「だって、ドローンのこと聞いたの」
「うわさが広がるのは、早い」
「宇宙船は、狭いとこだから。きっと、いっしょにいたいだろうな、と

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思ったの。家族とね」
 セブンは、ナオミを見た。なにも言わずに、また、仕事を続けた。
 
━━━ボイジャーは、ふたたび、アルファ宇宙域への、帰還の旅へ。
 
 
 
                  (第六_一_二話 終わり)













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