デッドリンガー
          原作:フレドリックブラウン
          アランフィールド
           
            プロローグ
             
 それは、殺しの前奏曲になるようには、まったく見えなかった。どん
より曇ったグレーの午後で、しかし温かく、入場口には行列ができてい
た。オレたちはなんとか、準備を終えたところだった。8月15日、木
曜、インディアナのエバンスビルに来てから4日目だった。
 6時半に夜のビジネスの準備を始めたころ、雨が降り出した。普通だ
ったら、カーニバルには悲劇だが、このときは、だれもそれほど気にし
てなかった。南オハイオからケンタッキーまで移動しているあいだ、天
候には、ここなん週間もがっかりさせられた。みんな毎日働き、たっぷ
り稼いだ。夜のオフになると、打って変わって、笑顔になった。




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            登場人物
             
エドハンター:見習い印刷工、叔父アムのカーニバルに転がり込む。
アムハンター:エドの叔父、カーニバルで働く、たまに私立探偵をやる。





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 オレの叔父のアムは、彼とオレが働く、ボールゲームコーナーのテン
トをけたところだった。夕闇のなか、最初のボールゲームが始まった。
 彼は、ハットをうしろにずらして、空を見上げた。雨粒が2・3滴、
顔にあたり、そこで輝いた。すると、彼はテントをまた閉めて、オレに
向かってニヤリとして、言った。「さて、エド、夜のオフにしよう!」
「ただの通り雨では?」と、オレ。
「いいや、一晩中降る。雨雲がどんどん来ている。ロープで秘密情報活
動と行こう!」

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                            (つづく)

















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