遥かなるボーグの記憶
              ロバートドハーティ、ジミーディッグス
            プロローグ
 
 貨物室。
 セブンオブナインは、ボーグ再生装置で立ったまま眠っていた。
 突然、目をけ、歩き出した。
「再生サイクルが不完全です」と、コンピュータ。
 しばらく歩き回ってから、貨物室から出て行った。チャコティがター
ボリフトへ入った。見つからぬよう通路を歩いて行った。
 誰もいない深夜の食堂のキッチンへ行き、食物をあさった。欲しいも
のが見つからず、苛立って、野菜やくだもののカゴをテーブルから叩き
落とした。キャビネットを開けて、やっと欲しいものが見つかり、夢中
で、かぶりついた。
 キャビネットのドアに、肉にかぶりつくクリンゴンの姿。




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 会議室。
 ブリッジの上級士官がテーブルについていた。
「夕べのセンサー記録をチェックしたところ」と、ハリーキム少尉。
「無数の残骸が映っていました」パネルに、残骸の映像を映した。「起
きたばかりで、ちょっと」と、ジェインウェイ艦長。「ざっと見ても、
100キロ以上の範囲に及んでいるようね」
「120キロです」と、ハリー。「最初は、小惑星群と考えましたが、
ワープシグナルの痕跡を感知しました」
 セブンは、立ち上がって、パネルの近くに行った。「これは、ボーグ
艦のものだ。テトリオン粒子が見られる。ボーグキューブの大気中にあ
るもの」
「なんにやられたんだろう?」と、チャコティ。
「船体の破片を、間近でスキャンしないと、なんとも言えない」と、セ
ブン。
「コースを変更しないと、ぶつかります」と、ハリー。「残骸はコース
の場なのです」
「なんとかして、避けるように」と、ジェインウェイ。「おそらく、ボ
ーグは調査のために、ボーグ艦を送って来る。コースを変更して避けて!

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以上」
「ひとついいっすか、艦長?」と、ニーリックス。立ち上がろうとした
ジェインウェイに。「夕べ、食堂に、また、泥棒が忍び込みました」
「真夜中の大食漢?」と、ベラナトレス中尉。
「そうなんだよ」と、ニーリックス。
「被害は?」と、ジェインウェイ。
「ライソン少尉の誕生日用のケラランの肉が、消えました」と、ニーリ
ックス。「トゥヴォック少佐が、容疑者をひとりも挙げられなかった以
上、もっと強行な措置を取るよう要請します」
「武装警備員でも張り込ませるか?」と、トゥヴォック。
「キャビネットの扉に付ける拘束装置を、リプリケートする許可を」
「許可します、解散」と、ジェインウェイ。
 
               ◇
 
 通路。
 10才のナオミワイルドマンは、ハンディパネルに記録しながら、セ
ブンのあとをけた。セブンは、通路を右に曲がってから、さらに右へ
曲がった。コンジットを調べてから、扉を閉めて、左へ行った。ナオミ
も左へ曲がると、セブンが立っていた。

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「ナオミワイルドマン」と、セブン。「サマンサワイルドマン少尉の娘
か?なにをしていた?」
「わたし」と、ナオミ。「うう」
「結構!黙っているなら、おまえの行動を艦長に報告しよう」と、セブ
ン。歩き出した。
「お願いやめて!」と、ナオミ。セブンに追いついて、いっしょに歩い
た。「あなたを観察していたの」
「どういうことだ?」
「あの、ニーリックスから、ボーグはいろんな任務をこなすって聞いた
から。完璧になるためでしょう?たぶん、あなたは、もう、ドローンじ
ゃないから、完璧になろうとしているのね?でしょ?」
「そうだ」
「わたしも完璧になれれば、ジェインウェイ艦長は、わたしをブリッジ
アシスタントにしてくれるわ」
「ブリッジアシスタントという階級はない」
「今はね!」
「わたしの行動をまねて、なろうというのか?」
おこった?セブン?」
「いや、こっちもおまえから得ることは、いろいろありそうだ」
「じゃ、先生になって?」

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「目標は、なかなかりっぱだが、おまえの大脳新皮質が未発達なようだ。
ボーグ成熟室で、数か月間、加速成長させる必要がある」と、セブン。
「ええ、ちょっと、それは、遠慮しておくわ」と、ナオミ。
「それなら、おまえは、もっと━━━」
 そのとき、叫び声が聞こえた。セブンは、立ち止まった。それから、
満面の笑みになった。
「ハイ」と、セブン。ナオミは少し戸惑ったが、「ハイ」と、こたえた。
「う〜ん、つまんない、なんかして遊ぼ!」と、セブン。同じ10才の
子どもの声だった。
「たとえば?」と、ナオミ。
「泳ぐとか?」
「ママといっしょじゃないと、泳いじゃだめなの」と、ナオミ。
「じゃあ、カディスコットは?」
「やった!」と、ナオミ。笑顔になった。
「行こう!」ふたりは、手をつないで通路を走って行った。
 
               ◇
 
 娯楽室。
 セブンとナオミは、10才の子ども同士のように、カディスコットで

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遊んでいた。
「ブリッジアシスタントをしばらくつとめてから」と、ナオミ。「それか
ら少尉になる予定よ。そのあとは、中尉に昇進。アルファ宇宙域に到達
するころには、ワイルドマン艦長ってわけ!みどり、グリッド14の4」
「カディスコットになった!」と、セブン。
「セブンって強いのね?」と、ナオミ。
「もう一回やる?」
「もちろん」
「艦長になったら、ゲームなんてできないよ?」と、セブン。
「しかたないよ、そのころには、仕事で忙しいから」
「ファーストコンタクトのルールにしない?」と、ナオミ。
「いいよ」と、セブン。
「プライム指令のサブオーダーは?」と、ナオミ。「47、全部やるの
よ!」
「ナオミ、あんた勉強し過ぎ」と、セブン。「わたしの兄貴みたい!」
「お兄さんがいるの?」
「そう、13人兄弟」
「13人?」
「上が9人、下が3人、よくゲームやっていた」
「わたしの相手は、ママとニーリックスだけ。それもオフの時だけよ」

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「そりゃ、寂しいね」
「ちょっとね、でも、慣れちゃった。適応しちゃうの」
「適応?」
「そうよ、ボーグみたいに」
「うう、ボーグ、ヘドが出そう!」
「そうなの?」
「ムズムズするやつら!」
 そのとき、通信スピーカーから声がした。「トレスよりセブンオブナ
イン!至急、機関室に来て!」
「あんたの番!」と、セブン。
 ナオミは、応答しないセブンを不思議に思いながら、1手指した。
「セブン、応答せよ!」と、スピーカー。
 突然、セブンは気が付くと、通信バッジに言った。「中尉、今すぐ向
かいます」
「ナオミワイルドマン」と、セブン。立ち上がった。「ここはどこだ?」
「ゲームしてたんじゃない!」と、ナオミ。「セブン?」
 セブンは、なにも言わずに、出て行った。
 
                  (第五_二_三話 つづく)


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