遥かなるボーグの記憶
              ロバートドハーティ、ジミーディッグス
            プロローグ
 
 貨物室。
 セブンオブナインは、ボーグ再生装置で立ったまま眠っていた。
 突然、目をけ、歩き出した。
「再生サイクルが不完全です」と、コンピュータ。
 しばらく歩き回ってから、貨物室から出て行った。チャコティがター
ボリフトへ入った。見つからぬよう通路を歩いて行った。
 誰もいない深夜の食堂のキッチンへ行き、食物をあさった。欲しいも
のが見つからず、苛立って、野菜やくだもののカゴをテーブルから叩き
落とした。キャビネットを開けて、やっと欲しいものが見つかり、夢中
で、かぶりついた。
 キャビネットのドアに、肉にかぶりつくクリンゴンの姿。




2

1





            1
 
 会議室。
 ブリッジの上級士官がテーブルについていた。
「夕べのセンサー記録をチェックしたところ」と、ハリーキム少尉。
「無数の残骸が映っていました」パネルに、残骸の映像を映した。「起
きたばかりで、ちょっと」と、ジェインウェイ艦長。「ざっと見ても、
100キロ以上の範囲に及んでいるようね」
「120キロです」と、ハリー。「最初は、小惑星群と考えましたが、
ワープシグナルの痕跡を感知しました」
 セブンは、立ち上がって、パネルの近くに行った。「これは、ボーグ
艦のものだ。テトリオン粒子が見られる。ボーグキューブの大気中にあ
るもの」
「なんにやられたんだろう?」と、チャコティ。
「船体の破片を、間近でスキャンしないと、なんとも言えない」と、セ
ブン。
「コースを変更しないと、ぶつかります」と、ハリー。「コースは、残
骸フィールドの中なので」
「なんとかして、避けるように」と、ジェインウェイ。「おそらく、ボ
ーグは調査のために、ボーグ艦を送って来る。コースを変更して避けて!

4

3





以上」
「ひとついいっすか、艦長?」と、ニーリックス。立ち上がろうとした
ジェインウェイに。「夕べ、食堂に、また、泥棒が忍び込みました」
「真夜中の大食漢?」と、ベラナトレス中尉。
「そうなんだよ」と、ニーリックス。
「被害は?」と、ジェインウェイ。
「ライソン少尉の誕生日用のケラランの肉が、消えました」と、ニーリ
ックス。「トゥヴォック少佐が、容疑者をひとりも挙げられなかった以
上、もっと強行な措置を取るよう要請します」
「武装警備員でも張り込ませるか?」と、トゥヴォック。
「キャビネットの扉に付けるロック装置を、リプリケートする許可を」
「許可します、解散」と、ジェインウェイ。
 
               ◇
 
 通路。
 10才のナオミワイルドマンは、ハンディパネルに記録しつつ、セブ
ンのあとをけた。セブンは、通路を右に曲がってから、さらに右へ曲
がった。コンジットを調べてから、扉を閉めて、左へ行った。ナオミも
左へ曲がると、セブンが立っていた。

6

5





「ナオミワイルドマン」と、セブン。「サマンサワイルドマン少尉の娘
か?なにをしていた?」
「わたし」と、ナオミ。「うう」
「結構!黙っているなら、おまえの行動を艦長に報告しよう」と、セブ
ン。歩き出した。
「お願いやめて!」と、ナオミ。セブンに追いついて、いっしょに歩い
た。「あなたを観察していたの」
「どういうことだ?」
「あの、ニーリックスから、ボーグはいろんな任務をこなすって聞いた
から。完璧になるためでしょう?たぶん、あなたは、もう、ドローンじ
ゃないから、完璧になろうとしているのね?でしょ?」
「そうだ」
「わたしも完璧になれれば、ジェインウェイ艦長は、わたしをブリッジ
アシスタントにしてくれるわ」
「ブリッジアシスタントという階級はない」
「今はね!」
「わたしの行動をまねて、なろうというのか?」
おこった?セブン?」
「いや、こっちもおまえから得ることは、いろいろありそうだ」
「じゃ、先生になって?」

8

7





「目標は、なかなかりっぱだが、おまえの大脳新皮質が未発達なようだ。
ボーグ成熟室で、数か月間、加速成長させる必要がある」と、セブン。
「ええ、ちょっと、それは、遠慮しておくわ」と、ナオミ。
「それなら、おまえは、もっと━━━」
 そのとき、叫び声が聞こえた。セブンは、立ち止まった。それから、
満面の笑みになった。
「ハイ」と、セブン。ナオミは少し戸惑ったが、「ハイ」と、こたえた。
「う〜ん、つまんない、なんかして遊ぼ!」と、セブン。同じ10才の
子どもの声だった。
「たとえば?」と、ナオミ。
「泳ぐとか?」
「ママといっしょじゃないと、泳いじゃだめなの」と、ナオミ。
「じゃあ、カディスコットは?」
「やった!」と、ナオミ。笑顔になった。
「行こう!」ふたりは、手をつないで通路を走って行った。
 
               ◇
 
 娯楽室。
 セブンとナオミは、10才の子ども同士のように、カディスコットで

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9





遊んでいた。
「ブリッジアシスタントをしばらくつとめてから」と、ナオミ。「それか
ら少尉になる予定よ。そのあとは、中尉に昇進。アルファ宇宙域に到達
するころには、ワイルドマン艦長ってわけ!みどり、グリッド14の4」
「カディスコットになった!」と、セブン。
「セブンって強いのね?」と、ナオミ。
「もう一回やる?」
「もちろん」
「艦長になったら、ゲームなんてできないよ?」と、セブン。
「しかたないよ、そのころには、仕事で忙しいから」
「ファーストコンタクトのルールにしない?」と、ナオミ。
「いいよ」と、セブン。
「プライム指令のサブオーダーは?」と、ナオミ。「47、全部やるの
よ!」
「ナオミ、あんた勉強し過ぎ」と、セブン。「わたしの兄貴みたい!」
「お兄さんがいるの?」
「そう、13人兄弟」
「13人?」
「上が9人、下が3人、よくゲームやっていた」
「わたしの相手は、ママとニーリックスだけ。それもオフの時だけよ」

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「そりゃ、寂しいね」
「ちょっとね、でも、慣れちゃった。適応しちゃうの」
「適応?」
「そうよ、ボーグみたいに」
「うう、ボーグ、ヘドが出そう!」
「そうなの?」
「ムズムズするやつら!」
 そのとき、通信スピーカーから声がした。「トレスよりセブンオブナ
イン!至急、機関室に来て!」
「あんたの番!」と、セブン。
 ナオミは、応答しないセブンを不思議に思ったが、1手指した。
「セブン、応答せよ!」と、スピーカー。
 突然、セブンは気が付くと、通信バッジに言った。「中尉、今すぐ向
かう」
「ナオミワイルドマン」と、セブン。立ち上がった。「ここはどこだ?」
「ゲームしてたんじゃない!」と、ナオミ。「セブン?」
 セブンは、なにも言わずに、出て行った。
 
               ◇
 

14

13





 機関室。
 セブンが入って来た。
「セブン、ちょっと見てくれない?」と、ベラナ。セブンをパネルの前
に。「低亜空間帯に、気になるエネルギーシグナルを感知したのよ。よ
く調べてみたら、ボーグ調整されているらしいの」
「間違いない、ボーグだ」と、セブン。パネルに入力した。「ここは、
神経連結周波数だ」
「なに?」と、ベラナ。
「ここは、ボーグドローンを統合する周波数だ」
「発生源を、特定できる?」と、ベラナ。
「やってみよう」
「どうかしたの?」と、ベラナ。「ひどく疲れた顔して?」
「調子が悪い」と、セブン。「しばらく記憶が跳んだらしく、ちょっと
混乱していた」
「医療室で検査してもらえば」と、ベラナ。
「いや」と、セブン。「この連結周波数を感知したところに━━━」後
ろを向いて歩き出したところで止まった。人々の叫び声が聞こえた。
 パネルを見上げると、クリンゴンが映っていた。
「ドラク、メロック(やぁ、かわい子ちゃん)」と、セブン。クリンゴ
ンのように、ベラナを見た。

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「なんですって?」と、ベラナ。
「オレは、クボックの息子だ」と、セブン。「おまえは、どの部族の出
身だ?」
「それ、なんかのジョーク?」
「なんで宇宙艦隊の制服なんか着ている?それで戦士のつもりか?」ベ
ラナに近づいた。
「トムに吹き込まれたんでしょ?その手には乗らないわよ」ベラナは、
別のパネルで仕事に戻った。
「おい、おまえ、顔をよく見せろ!」また、ベラナに近づいた。
「いい加減にして!」
 セブンは、ベラナを捕まえて、頬にかみついた。「甘い血だ!」
 ベラナは、セブンを突き飛ばした。「ベラナよりセキュリティ、至急、
だれかを寄こして!」
手強てごわいな、相手に不足はない」と、セブン。
「わたしに近づかないで!」と、ベラナ。ハイパースパナを手に取り、
見構えた。
戦ったたかて、強さを証明するのだ!」
 保安クルーがふたり、機関室に入って来た。セブンは、「どけっ!」
と言って、ふたりを突き飛ばすと出て行った。
 

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17





               ◇
 
 ブリッジ。
 艦長が、入って来た。「なにがあったの?」と、ジェインウェイ。
「機関室でベラナがセブンに襲われました」と、チャコティ。「セブン
は、第9デッキ、セクション23にいます。フォースフィールドを」
「まさか、殴り合いのケンカじゃないでしょうね?」
 
               ◇
 
 通路。
 クルーがひとり、セブンに殴られて壁にぶつかって倒れた。
 セブンは、クルーからフェーザーを奪った。進もうとして、フォース
フィールドにはばまれた。
「ブリッジよりトゥヴォック、セブンを拘束!第9デッキ、セクション
23」
「了解」と、トゥヴォック。保安クルーと通路を歩いて来た。「彼女を
発見しました━━━セブン」
 セブンは、通路のはしで、両膝を抱えていた。近くに倒れたクルー。ト
ゥヴォックは、保安クルーと、フェーザーを構えて慎重に近づいた。

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「ケガしてるの。手当してあげて!」と、セブン。フェーザーを逆に持
った。「わたしのせいなの?」
「きみの名前は?」と、トゥヴォック。
「わたしは、マイル。あなた、バルカン人?」
「コンピュータ、フォースフィールド解除!」と、トゥヴォック。
「ピピ」と、コンピュータ。
「フェーザーをこちらに」と、トゥヴォック。セブンからフェーザーを
受け取った。それを保安クルーに渡すと、手を伸ばして、倒れているク
ルーの動悸を調べた。
「あなたは医者ではありません、司令官」と、セブン。立ち上がった。
「まずは、彼を、診療所へ連れて行くのが賢明かと存じます」
 トゥヴォックは、保安クルーに合図して、倒れているクルーを医療室
に運ばせた。
「マリーか?」と、トゥヴォック。
「サバルタンロロットです、バルカン総司令官。わたくしが助手になり
ましょうか?」
「ああ」と、トゥヴォック。「医療室に案内してくれ!」
「承知しました」と、セブン。歩き出した。「彼は、攻撃されました。
これからは、用心しないと」急に立ち止まった。クリンゴンの叫び声が
聞こえた。「パッティグ(ダム)、自らの血の海でおぼれてしまえ!」

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「そのまま進め!」と、トゥヴォック。セブンは振り返って跳びかかっ
て来た。トゥヴォックは、フェーザーで撃った。セブンは、気を失った。








            2
 
 医療室。
 医療用ベットで、セブンは目を覚ました。眠っているあいだに、ドク
ターは、セブンの左首に丸いセンサーを取り付けた。
「セブン」と、ジェインウェイ。
「艦長」と、セブン。「なぜ、わたしはここに?」
「2時間近く、意識不明だったの」と、ジェインウェイ。「どうも、神
経機能になにか問題があるらしいわ」
「声、声が聞こえる」と、セブン。

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「どんな声だ?」と、ドクター。
「はやし立てている」と、セブン。「無秩序で、大ぜいの人々が」ボー
グ再生装置で、叫んでいる、少女。異星人、艦隊司令官、クリンゴン、
士官、異星人、艦隊少尉の女、異星人、ベイジョー士官の女、クリンゴ
ン、保安クルーの女、異星人、カーデシア人、異星人、少女、異星人、
異星人、異星人、カーデシア人、異星人、ベイジョー士官の女、全員が
叫んでいた。
「みんな叫んでいる」と、セブン。起き上がった。
「皮質抑制物質が不安定だ」と、ドクター。ハンディセンサーで調べた。
「神経伝達物質を増加━━━効いて来た。まだ、声が聞こえるか?」
「小さくなって来た」と、セブン。「消えた」
「良かった」と、ジェインウェイ。「また、症状が出ないよう、対策を
考えましょう。最後に覚えているのは?」
「機関室で」と、セブン。「トレス中尉を手伝っていたことだ」
「中尉と対決したことは」と、トゥヴォック。「なにも覚えていないの
か?」
「対決だと?」と、セブン。ベッドから立ち上がった。
「理由は分からんが」と、ドクター。「きみの中に、他人の人格がつぎ
つぎと現われては消えて行く」
「ナオミワイルドマンは」と、ジェインウェイ。「あんたとふたりで、

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25





1時間ほど、ゲームをしたと言ってる」
「その後きみは」と、トゥヴォック。「トレス中尉を襲った。きみは自
分のことを、クボックの息子と名乗って、無理やり、クリンゴンの求愛
の儀式を始めたそうだ」
「まったく、身に覚えがない」と、セブン。
「ちょっと見てくれ」と、ドクター。分析結果を、パネルに出した。
 セブンは、パネルの近くに行った。
「これは、きみの神経パターンだ」と、ドクター。「記憶痕跡こんせきと、シナ
ップスパターンがきみを個人として定義している。残念ながら、きみは
ひとりではない。きみの大脳皮質に、13の新しい神経パターンが発生
している。クリンゴン、バルカン、テレリアン、人間。識別不能の生命
体もいる」
「なぜだ?」
「きみの中にいる。きみがボーグだったとき、集合体は、さまざまな種
を同化して来た。すべての神経パターンは、ボーグの中枢部に統合され
ていた」
「そうだ」と、セブン。
「これらが、きみの心にある。きみの皮質インプラントにあったものが、
突然、目覚めたんだ」
「さまざまな人格が」と、ジェインウェイ。「前触れもなしに、突然、

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27





無作為に現われる」
「本質において」と、ドクター。「多重人格障害のボーグと同じという
ことになる」
「機能不全を治せるのか?」と、セブン。
「皮質抑制物質は効果的だが、あくまでも一時的な措置」
「トレス中尉が」と、セブン。「ボーグの連結周波数を感知した。それ
が、皮質インプラントの不調の原因か?」
「シグナルは」と、トゥヴォック。「今朝、発見したボーグ残骸フィー
ルドから来ているのでしょう」
「フィールドから離れて」と、ジェインウェイ。「ワープした方がいい
わね?」
「シグナルは」と、セブン。「亜空間に広がっている。避けられない」
「シグナルの発生源を見つけて」と、ドクター。「もとをつしかあり
ません」
「残骸フィールドに向かって!」と、ジェインウェイ。トゥヴォックに
指示した。トゥヴォックは、医療室を出て行った。それから、セブンに。
「到着したら手を貸してもらうけど、大丈夫?」
「お任せを」と、セブン。
「ドクター、セブンを見ていて」と、ジェインウェイ。「また、別の人
格が現われるかも?」ジェインウェイも出て行った。

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29





 
               ◇
 
 通路。
 ターボリフトのドアがあいて、ドクターとセブンが出て来た。
「きみのような症状を」と、ドクター。通路を歩いた。「経験したこと
があるドローンは、いるのか?」
「集合体は」と、セブン。「不完全なものを排除する。ドローンは、わ
たしのような機能不全に陥っおちいたら、直ちに、抹殺だ」
「ボイジャーにいて、運が良かったな」
「あ、セブン、いたいた」と、ニーリックス。通路を走って来た。「ト
レスから、きみが具合が悪いって、聞いてね」いっしょに歩いた。
「そうだが」と、セブン。
「オレになんかできることがないかな、と思って、回復するまで、代わ
りの仕事を片付けようか?」
「いや」と、セブン。
「薬効作用のあるお茶があるんだ。あとで、持って来てあげるよ」
「タラクシアンホメオパシーだ」と、ドクター。「今のところ必要ない
な」
「じゃあ、なにか栄養になるものをこしらえようか━━━」

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「おまえの心配は了解した」と、セブン。「機能が回復したら、ドクタ
ーが知らせる」
「分かった、そうだな、おおっと!忘れるところだった。ナオミワイル
ドマンから預かった」と、ニーリックス。画用紙に描かれた絵を渡した。
「ボイジャーの絵だよ。あるいは、小惑星帯かな、よく分からん。気分
転換に、絵を見て、と」
「ありがとうと、伝えてくれ」と、セブン。絵を見ながら。
「ああ」と、ニーリックス。戻って行った。
 
               ◇
 
 宇宙を航行するボイジャー。
 貨物室。
「これは、おかしい」と、ドクター。ボーグ再生装置のパネルを調べて
いた。「きみが再生中に、なん度も中断しているんだ。18分、5分、
1時間」
「なにも覚えてない」と、セブン。パネルのところへ来た。
「きみの神経機能記録も見てみよう。セレトニンレベルが低いのが、正
常なんだ。異常はない。前頭葉シナップスのスパイクも見てみよう。ア
ルコーブを出てから数分間、まるで夢遊病患者だ」

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「こんなデータファイルは、入れた覚えがない」と、セブン。
「これが真夜中の大食漢の正体のようだ」と、ドクター。「これでニー
リックスも、ひと安心だな」
「ストーン少尉、私的記録、宇宙歴52188・7」と、データファイ
ル。セブンは、再生装置のデータファイルを再生した。「ようやく、勤
務の第一週が終わった。悪夢の一週間だった。アカデミーで4年過ごし、
自分は完璧だと思っていた。だが、この船は、予想以上に規律が厳しい。
そのうえ、ブラックウッド艦長は、新人士官しごきが趣味と来た。気に
しないよう一等航海士に言われたが、冷静になって━━━」セブンは、
再生を止めた。
「ブラックウッド」と、セブン。「惑星連邦艦、トンボーの艦長だ。1
3年前にボーグは、この船を同化した」
「つまり、この日誌を残した新人は」と、ドクター。「クルーの一員だ
ったに違いない」パネルを見た。
「犠牲者のひとりだ」と、セブン。
「別の記録もある」と、ドクター。「通信用に暗号化されている」ドク
ターは再生した。
「ハイ」と、データファイル。「だれだか分かる?毎日メールを送ると
約束したけど、それだけでは、寂しい。まずは、朝、目覚めて1通、寝
る直前にもう一度送る。ずっと、あなたのことばかり考えているの。待

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って、いいこと思いついた。あなたが、そっちを出て、コロニーに来る
っていうのは?きっと、ここを気に入る━━━」セブンは、再生を止め
た。
「知ってる人か?」と、ドクター。
「わたしは」と、セブン。「無数の個人を同化してきた。いちいち名前
などおぼえていられない」歩いて行った。
「セブン」と、ドクター。「きみはボーグのドローンから、個人になろ
うとしているんだぞ。だれも経験したことがない。個人になるまでには、
障害があって当然だ。ひとつひとつ乗り越えよう!」
「ブリッジよりセブンオブナイン」と、チャコティの声。「じき、残骸
フィールドに入る」
「了解した」と、セブン。ブリッジに向かった。
 
               ◇
 
 残骸フィールドを航行するボイジャー。
 ブリッジ。
「生存者は?」と、ジェインウェイ。
「ゼロです」と、トゥヴォック。
 セブンは、ブリッジに来ると、技術パネルの席についた。

38

37





「ボーグ船の気配は?」と、チャコティ。
「ありません」と、トムパリス。「われわれが最初のようです」
「連結周波数の発生源を感知」と、ハリーキム。「027、マーク3」
「スクリーンへ」と、ジェインウェイ。「拡大」
「ボーグのリンク装置だ」と、セブン。
「リンク装置?」と、チャコティ。
「各ボーグ船の中心にある、処理装置だ」と、セブン。「全ドローンの
心をひとつに結んで、個人というものを排除。集合体に関連する情報を
統合」
「秩序を整えるわけね?」と、ジェインウェイ。
「その通りだ」と、セブン。
「これがあなたの皮質インプラントに、リンクを作ったようね?」
「わたしを迷子のドローンと識別したらしい。ふたたび、集合体に組み
込もうとしている。リンク装置が機能不全になって、間違った指令を送
ったのだろう」
「秩序を整えるためだな」と、トゥヴォック。
「ああ」と、セブン。
「リンクを断ち切れる?」と、ジェインウェイ。
「組織に」と、セブン。「永久的なダメージを与える危険性がある。リ
ンク装置のパワーを無くすしかない。船に転送する許可を!このテクノ

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39





ロジーには詳しいので、無力化できるかもしれない」
「これは、ボーグキューブの心臓部でしょ?」と、ジェインウェイ。
「できれば、ボイジャーには乗せたくないの。遠隔操作で停止できない
?」
「ああ、できるが数日かかる」と、セブン。「それまでにボーグ艦が戻
って来る。リンク装置を転送し、すぐにここを立ち去るのが賢明だ」
 ジェインウェイは、迷っていたが、立ち上がった。「トゥヴォック、
機関室に転送の準備を!レベル10のフォースフィールドを張って、警
戒を怠らないように!脅威を与えるなら、直ちに放り出して!トム!転
送が終わり次第、ワープ9で領域を立ち去って!」
「了解!」と、トムパリス。
「たいへんな経験だったようね」と、ジェインウェイ。セブンに。「わ
たしたちもできる限りの、力を貸すけど、なによりクルーの安全が第一。
ボーグのことでは、ボイジャーはつきがないかも」
「わたしもそうだ」と、セブン。
 
               ◇
 
 宇宙をワープ9で航行するボイジャー。
 機関室。

42

41





 長さ3メートルのリンク装置が、グリーンに輝いていた。
「アンチグラブ支柱から目を離さないで!」と、ベラナ。「ボイラン、
すべての第一指令コンソールを閉鎖!それから転送コントロールをメイ
ン機関室に送って!」
「了解」と、ボイラン
 機関室に、セブンとドクターが入って来た。
「セブン?」と、ドクター。
「声が聞こえる」と、セブン。
「リンク装置とつながっているからだ」と、ドクター。「ここは、リン
クが強くなっている。神経伝達レベルを調整しよう」ドクターは、セブ
ンの首筋にハイポスプレーをあてた。始めていいぞ!」
 ベラナが、上の階からリフトで降りて来た。
「安心しろ、中尉」と、セブン。「クボックの息子は、もう現われない」
機関室のパネルの前に立った。
「よかった」と、ベラナ。「これは2度目のデートってこと?」となり
のパネルに立った。
「私は、付き添いってとこかな?」と、ドクター。
「それで?」と、ベラナ。「どこを切ればいいの?」リンク装置を見上
げた。
「リンク装置には」と、セブン。「さまざまな安全装置が付いている。

44

43





トランス神経マトリックスにアクセスして、直接、切断する」
「パワーサージを感知した」と、ベラナ。パネルから、警告音が鳴り出
した。
「侵入に対する正常な反応だ」と、セブン。「アラームではない」
「おかしいな」と、セブン。警告音が止まらなかった。「リンク装置内
部に、有機体を感知した。ウィルス性の病原体だ」
「まさか」と、ドクター。パネルを見に来た。「これは合成の病原体だ。
ウィルスは、生物学的病原体だが、変化させたんだ。生きた細胞のよう
に、リンク装置がプログラムを攻撃している」
「有機体がテクノロジーを攻撃ですって?」と、ベラナ。
「キューブが」と、セブン。「3日前に、異星人のシャトル船を同化し
た直後に感染している。生命体6339。彼らが、最後に、ボーグキュ
ーブに接触している」パネルに、ミイラのような異星人を出した。
「大もとの犯人が見つかったな」と、ドクター。







46

45





            3
 
 天体測定ラボ。
 スクリーンに、異星人の姿とデータが表示され、セブンが、ジェイン
ウェイとドクターに説明していた。
「生命体6339、ヒューマノイド、ワープ可能。発生源、グリッド1
24、オクタント22シータ。彼らが最初にボーグに出会ったのは、4
年ほど前だ。それ以来、110億の個人が同化されて来た。3日前、集
合体は、最後の生き残りのシャトル船を見つけ、そこにキューブが送ら
れた」
「ウィルスは」と、ドクター。説明を引き継いだ。「6339の体内よ
り運ばれ、同化されて、リンク装置に広がる仕組みか」
「ドローンは」と、セブン。「わたしのような症状を経験したことがな
いはずだ。当然、ドローンは破壊されるだろう」
「生命体6339を」と、ジェインウェイ。「捜し出さなきゃ。治療法
を知ってるかもしれない。長距離天体スキャンを始めて!6339の船
を捜し出しましょ!」
「了解」と、セブン。「さっさと長距離スキャンを━━━」セブンは、
急に黙った。大勢の声が聞こえた。「イヤ〜イヤ〜、こりゃたまげたね」
と、セブン。商売人の人格に乗っ取られた。「スクリーンだ!こんなど

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47





でかいの、初めて見たよ」スクリーンをまじかで見に行った。「これな
ら、いい値段で買い取ってやるぜ!」
「抑制物質が切れたんでしょう」と、ドクター。ジェインウェイに、耳
打ちした。そして、セブンに。「ちょっとこっちへ来てくれないか?」
「うっるせぇ、取り込み中なんだよ」と、セブン。「あんたの名前は?
艦長さん?」
「ジェインウェイよ、あなたは?」
「デイモントロットだ」セブンは、艦長と握手した。
「フェレンギ人ね?」
「そう、フェレンギだ。オレのでか耳をバカにしようってのか?」
「いいえ、違うの」と、ジェインウェイ。「あなたと商売できてうれし
いけど、医療室へ行きましょ?」
「なんで、医療室に?」
「それは、病気だから」
「この通り、ピンピンしている」
「ドクター」と、ジェインウェイ。ドクターを促した。
「あ、じつはな、きみは、ひどいアンカラ風邪にかかっている。ずっと、
きみを治療して来ただろう?覚えてる?」
「ぜんぜん」
「一時的記憶喪失が特徴なんだ。心配ない。命に別状ないが、治療を続

50

49





ける必要がある」
「治療代は」と、セブン。近くにしゃがんだ。「高くつくのか?」
「治療費は掛からない」と、ドクター。
「ただ?」
「ええ」と、ジェインウェイ。
 それを聞いて、セブンは明るくしゃべり出し、医療室へ向かった。
「じつはさ、左の耳たぶの痛みが取れなくて、気になっているんだ。治
療するときにいっしょにてよ!フェレンギの健康委員会が、オレの商
売許可を取り消そうとしてるんだ」
 
               ◇
 
 医療室。
「なかなかいい船だ」と、セブン。ジェインウェイに腕を抱えられなが
ら、入って来た。ドクターも戻って来た。「ギャラクシー級か?イント
レビットか?ああ、ここがさっきから言っていた、医療室ってわけか?
しかし、まぁ、医療室と言うには、ちょっとおそまつ」
「どういうことだ?」と、ドクター。
「バイオベッドも貧弱だし、ライトもひどい」セブンはライトを後ろに
放り投げた。あわてて、ドクターが受け止めた。「しかし、あんたはつ

52

51





いてる!オレが、いい医療サプライヤーを紹介するよ。あっという間に、
最新式に変身だ。手数料は、まけておこう。30%だ」
「そりゃ、どうも」と、ドクター。セブンを室の隅に残して、ドクター
とジェインウェイは離れた。「コンピュータ、フォースフィールド作動」
と、ドクター。フォースフィールドによって、セブンは室の隅に隔離さ
れた。
「フォースフィールド」と、セブン。「伝染病じゃないんだろうな?」
「安全のためだ」と、ドクター。そして、ジェインウェイに。「皮質抑
制物質を最大限セットしました。しかし、これ以上、抑えておくのは無
理です。さまざまな人格が、これからも表に出て来るでしょう」
早急にさっきゅう」と、ジェインウェイ。「リンク装置を断ち切る必要があるわ
ね」
「断ち切っても遅いかもしれません。セブンの神経パターンが不安定で、
消えてしまう可能性があります」
「だれか、助けて!」と、セブン。「息子を捜しているの。グレゴリー
バーガン、バーガン中尉。息子を知らない?」
「いえ、残念だけど」と、ジェインウェイ。
「宇宙艦メルボルンから」と、セブン。
「メルボルン?」と、ジェインウェイ。
「息子と、ウルフ359で会うことに。ボーグがその領域を攻撃してい

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ると、宇宙艦隊から警告が━━━戻るに戻れず、たいへんな戦いに巻き
込まれてしまって、わたしの船も被害を受けて、救命ポッドに乗り込み
ました。グレゴリーの消息がつかめない。息子と音信不通になって、も
う、3日以上つわ。宇宙艦隊の本部と、連絡を取ってくれませんか?」
「早速、調べましょう」と、ジェインウェイ。
「ありがとうございます。もしもグレゴリーと話ができたら、母はこの
通り元気だと伝えてください。息子に会ったら━━━」
 急に黙った。本来のセブンに戻った。「艦長!」と、セブン。
「セブン!」と、ジェインウェイ。
「ええ」と、セブン。「リンク装置は?」
「今、切断する準備をしているところ。準備が整い次第、指令を出す」
「どのくらい自分を失っていた?」と、セブン。
「約20分」
「なん人現われた?」
「2人よ。ひとりはこの船の設備をねらう商売人だったわ。名前は、たし
か、デイモントロット」
「生命体180、フェレンギ人だ」
「ええ。もうひとりは、女性。ボーグの攻撃で、行方不明の息子を捜し
てた。大丈夫、もとに戻れるわ」
「そう、楽観的にはなれない」と、セブン。

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 ジェインウェイは、ドクターに合図して、フォースフィールドを解除
させた。
「わたしをボーグから引き離し、個人としての意識をもたせようとした
とき、わたし自身の心の声が聞こえないことに耐えました。わたしは、
集合体の声を求めて来た。だが、個人の自覚が生まれた今になって、ま
た、悩まされている。驚きだ。艦長、わたしがいつまでこの状況に耐え
られるか分からない。わたしには、もう、自信がなくなった」
「がんばり続けることが、肝心よ」と、ジェインウェイ。「たとえ、自
分が、無理だと感じてもね。あとは、わたしとクルーに任せて!」
 
               ◇
 
 宇宙を航行するボイジャー。
 ブリッジ。
 ドアが開いて、ジェインウェイが戻った。
「よりいい人格は、ありました?」と、チャコティ。
「ボリアン人のマニキュアストとジョークを飛ばし合ったわ。その前は、
クレニム人の科学者と理論物理学について、議論をした。1時間になん
と12の人格が現われた」
 艦長席についた。チャコティが艦長を見た。

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「セブンもつらいでしょうね。鎮静剤を打ったところ」と、ジェインウェ
イ。
「艦長もお疲れでしょう?」と、チャコティ。
「大丈夫よ、チャコティ。わたしね、副長の言う通りだったんじゃない
かと思い始めているの」
「なにがです?」
「あなたは最初から、セブンをボイジャーに連れて来るのは不可能だと
言っていた」
「ボーグを集合体から引き離すことができても、そこまでだと思ってい
た。それ以上は無理。セブンが耐えられるはずはない、1日でも、まし
てや1年も持つはずないと。オレが間違っていた」
「トレスよりブリッジ」と、スピーカー。「リンク装置を無力化する準
備が完了」
「実行!」と、ジェインウェイ。
 
               ◇
 
 機関室。
 トレスとトゥヴォックは、メイン機関パネルの前に立っていた。
「トランス神経マトリックスをねらって!」と、トレス。「減退フィー

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ルド作動。スタンバイオーケー。位置に着いて!3、2、1、発射!」
 リンク装置のグリーンが点滅した。
「パワー出力低下」
 
               ◇
 
 医療室。
 ベッドに横たわったセブンの体が、痙攣けいれんした。
「ドクターよりブリッジ」と、ドクター。「効いてる模様、セブンの神
経パターンが安定して来た」
 
               ◇
 
 機関室。
「出力77%までダウン」と、ベラナ。「71%、おかしいわ、増加し
ている」
「減退フィールドに、再び照準」と、トゥヴォック。
「やっぱり増えている!」と、ベラナ。
「リンク装置が、パワーの改善に適応した」と、トゥヴォック。
 

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               ◇
 
 医療室。
 セブンは、横たわりながら、体を苦しそうに動かした。「プチャ、メ
ロッキュ(役立たずめ)」
「機関室!」と、ドクター。
「母上」と、セブン。
「セブンのシナップス経路が、不安定になっている!作業を中止しろ!」
「声が」と、セブン。「助けてくれ!助けて!」
「中止だ!」と、ドクター。
 
               ◇
 
 機関室。
「ドクター」と、トゥヴォック。「待機を!パワー出力98%」
 リンク装置は、グリーンに輝いて、点滅をやめた。火花が散った。
「フォースフィールドが破られた」と、トゥヴォック。
「緊急パワーを入れて!」と、ベラナ。
「効果なし、中尉」と、トゥヴォック。ハンディセンサーを見た。「中
止しよう!」

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「トゥヴォックよりブリッジ」と、トゥヴォック。通信バッジに。「作
業は、失敗しました。リンク装置は、最大出力を回復」
 
               ◇
 
 ブリッジ。
「了解」と、ジェインウェイ。「ドクター、容体は?」
 
               ◇
 
 医療室。
「艦長、セブンの神経パターンが消滅しました」と、ドクター。横たわ
ったセブンの状態を、医療パネルに表示させた。「彼女の体は、ほかの
神経パターンに支配され、見失いました」
 それを聞いて、ジェインウェイは、悲しそうな表情を浮かべた。






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            4
 
 宇宙を航行するボイジャー。
「艦長日誌、補足」と、ジェインウェイ。「長距離センサーが、生命体
6339に属する船を捜しあてた。なんとかセブンオブナインを回復で
きるように、彼らに最後の望みを託す」
 艦長室。
 報告のため、ドクターとトゥヴォックが訪れていた。
「セブンの皮質機能を」と、ドクター。「安定させようとしましたが、
彼女は、もはや、セブンでないので無理です。別人だ。新しい人格が現
れては消えて行く。ひとこと言い終わらないうちに、すぐ、つぎの人格
が現われる。大脳皮質に、多大な緊張をいているはずだ。早くリンク
装置を無力化しないと、永遠にセブンを失う」
「トゥヴォック」と、ジェインウェイ。
「リンク装置が適応しないよう」と、トゥヴォック。「トレス中尉が、
今、対策を講じています。だが、成功する保証はありません」
「医療室での治療は」と、ドクター。「もう、やり尽くしました」
「では」と、トゥヴォック。「医療科学を越えた治療が必要だ。セブン
と精神融合を試みましょう」
「精神融合?」と、ドクター。すぐかみついた。「そんなものが有効?」

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「セブンの神経パターンと自己意識は、カオスの中に埋もれています。
そこで、本来の彼女を分離し、外に誘導します」
「危険が伴うわ」と、ジェインウェイ。「なん百もの人格のなかから、
セブンを掘り出すなんて」
「危険すぎる」と、ドクター。
「危険は、百も承知です」と、トゥヴォック。
「分かってる」と、ジェインウェイ。「でも、ほかに方法はないの?」
「残念ながら、ありません」と、トゥヴォック。
「準備には、どのくらい掛かる?」と、ジェインウェイ。
「艦長!」と、ドクター。「本気でやらせる気ですか、融合なんて?バ
ルカン人のまやかしだ」
「2時間も瞑想めいそうすれば」と、トゥヴォック。「実行できます」
「始めて」と、ジェインウェイ。「準備ができたら、医療室に連絡を」
トゥヴォックは、出て行った。
「ドクターが言ったのよ」と、ジェインウェイ。「治療は、もう、やり
尽くしたって」
「フラフラして、こっちが今にも倒れそうです」と、ドクター。
「艦長、ブリッジへ」と、チャコティの声。
「すぐ行きます」と、ジェインウェイ。隣りのブリッジへ。ドクターも
出て行った。

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               ◇
 
 ブリッジ。
「どうしたの?」と、ジェインウェイ。
「生命体6339の船です」と、チャコティ。
「船は」と、ハリー。「完全武装されています。先にフェーザー砲22
基、感知しました」
「呼びかけて!」と、ジェインウェイ。
「応答あり」と、ハリー。
「スクリーンへ」と、ジェインウェイ。
 スクリーンに、向こうの艦長と副長が映った。
「こちら連邦、宇宙艦ボイジャーのジェインウェイ艦長です。われわれ
はボーグテクノロジーの残骸を発見しました。装置はウィルスに感染、
感染源は、あなた方の船」
「リンク装置が、あるのだな?」と、向こうの艦長。
「ええ」と、ジェインウェイ。
「余計なことをしてくれたものですな、艦長」と、向こうの艦長。
 
               ◇

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 機関室。
「武器?」と、ジェインウェイ。
「ええ」と、向こうの艦長。リンク装置の場所に、転送されて来た。
「われわれは、ボーグに壊滅状態にされて、報復の方法をさぐって来た
のです」
「それでボーグテクノロジーを感染させるウィルスを作った?」
「ウィルスを注射された仲間13人が身を犠牲にし、リンク装置を感染
させるために、ボーグに同化されたのです。別のボーグシップが、リン
ク装置を回収したら、その船も感染し、あとは、広がって行く。なん百
というボーグ船を感染させるチャンスを、あなたたちが邪魔した。なぜ
だ?」
 ベラナとチャコティも機関室に来ていた。
「予想外のウィルス感染者が出たのです」と、ジェインウェイ。「わた
したちのクルーの」
「ボーグ以外の種が感染するはずはない」と、向こうの艦長。
「セブンはボーグよ」と、ジェインウェイ。
「1年前」と、チャコティ。「彼女を集合体から切り離した。今は個人
として生きている」
「なんとかセブンを助けて欲しいの」と、ジェインウェイ。

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「艦長」と、向こうの艦長。「ウィルスはボーグを破壊するために作ら
れているんですよ。治療など考えもしなかった。お気の毒だが、クルー
はあきらめることだ。われわれは、直ちに、リンク装置を残骸フィール
ドに戻さなくては。ボーグが先に着いたら、感染のチャンスは、永遠に
消えてしまう。13人の仲間の死を、無駄にするわけには行かないので
す」
「分かったわ」と、ジェインウェイ。「返しましょう。でも、まずは、
われわれのクルーを助ける努力をして!」そして、ベラナに。「リンク
装置のパワーを打ち消す方法がある?ベラナ?」
「これから減退フィールドを再調整する試みを始めて」と、ベラナ。
「そんな時間はない」と、向こうの艦長。「リンク装置を引き渡しても
らおう!」
「それはできないわ」と、ジェインウェイ。「今わね」
「われわれの船をご存知でしょう?」と、向こうの艦長。「完全武装さ
れています」
「ボイジャーは壊滅的なダメージを受けるでしょうね」と、ジェインウ
ェイ。「それに、リンク装置もね。それでもいいの?」
「船が破壊されても、リンク装置は生き残る。だが、果たしてボイジャ
ーは、生き残るかな?」
 

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               ◇
 
 医療室。
「ドクター」と、セブン。目を覚ました。
「セブン」と、ドクター。「前もって、警告して欲しいね。なん人か、
暴力的な人格のやつはいたか?」
「リンク装置は?」
「パワーを出し続けている。無力化することは、できなかった」ハンデ
ィパネルでセブンの体を調べた。「きみの神経パターンは、危うく、破
壊されるところだった。きみが戻って、ほんとうに良かった」
「ケガをしている」と、セブン。
「ある人格が」と、ドクター。「拘束されて抵抗したあとだ。彼女が自
ら自由になろうとして、抵抗したんだ」
「すまなかった」
「きみはなにも悪くない。病気のせいだ」
「言い訳にならない。わたしは、ボーグだ、適応すべきだ」
「驚いたね、きみには無理なことがあったとは!このつぎの授業で、そ
れを克服しなきゃならんな」
 セブンに、また、声が聞こえた。
「声か?」と、ドクター。

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「大きくなって来た」と、セブン。
「今のうちに、話しておくか」と、ドクター。「主持医として伝えてお
く。医療科学でなくとも、別の治療法がある」
「どんな治療法だ?」
「トゥヴォック少佐が、きみの神経パターンを安定させるために、精神
融合を申し出た。オレも同じ反応をした。きみが反対なら」
「成功の確率は、どのくらいだ?」
「分からん、精神融合は医療行為とは言い難いから」
「トゥヴォックに危険はないのか?」
「脳にダメージを受ける可能性があるが、トゥヴォックはその前に融合
を終わらせられる自信があると言っている」
「リンク装置を断ち切ることができても、それだけではだめだ。トゥヴ
ォックが力を貸してくれるか」
「分かった」と、ドクター。室を出て行き掛けた。
「ドクター」と、セブン。「あなたは、根気強く治療してくれた」
「それが仕事だ」
「クルーたちにも、わたしが感謝していたと伝えて欲しい」
「病気が直ったあとに、自分で言うことだ」
 セブンは、また、苦しみ出した。「声が」
「セブン」と、ドクター。また、駆け寄った。「集中するんだ。オレの

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声だけに耳を傾けろ!」
「ここから出て行け!」と、セブン。「やめろ〜」
 ドクターは、急いで、ハイポスプレーをセブンの首筋に打った。
「やめろ〜、やめろ〜」と、セブン。
 
               ◇
 
 トゥヴォックの自室。
 2時間の瞑想めいそうを終え、立ち上がると、トゥヴォックは医療室に向かっ
た。
 
               ◇
 
 ブリッジ。
「状況は?」と、ジェインウェイ。ブリッジに入って来た。
「6339の船が」と、トムパリス。「接近しています。武器をチャー
ジしています」
「シールドオン」と、ジェインウェイ。艦長席に座った。
 
               ◇

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 医療室。
 トゥヴォックが入って来た。そのとき攻撃を受けて、船が揺れた。
「まったく、こっちの気も知らずに」と、ドクター。「やつらは、武力
でリンク装置を取り返そうとしている。チャコティ副長が、指揮を執る
んだ。きみは、セブンのそばにいてくれ!」トゥヴォックの右首に、丸
いセンサーを取り付けた。「融合しているあいだ、これで、きみの神経
活動を監視する。ドラブルのきざしが見えたら」
「なにもするな」と、トゥヴォック。
「なんだって?」
「トラブルのきざしが出るのは、当然のことだ。オレなら耐えられる。信
用して欲しい」
 船が揺れた。
「努力しよう」と、ドクター。「ふたりの脳にダメージが残らなければ
いいがね」
「ドクターの心配は、了解した」と、トゥヴォック。
「きみのためにも、もう少し融通の利く、いい加減な人格を取っておく
んだったよ」
「コンピュータ、フォースフィールド解除!」と、トゥヴォック。セブ
ンが拘束されているベッドに近づいた。

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「なぜわたしを縛り付けるの?」と、セブン。「お願い、離して!」人
格が変わった。「パットク(離せ)ノドをっ切るぞ、おくびょう者!」
人格が変わった。「いくら欲しいんだ?10ラチナムか?20か?これ
じゃ拷問じゃないか!不正行為で訴えてやる!」トゥヴォックは、左手
を広げて、ゼブンの顔の右頬に指をあてた。セブンの人格が変わった。
「司令官、この融合には論理性がまったく見えない」
「心をひとつに」と、トゥヴォック。精神融合を始めた。
「あなたがさばき切れるひとつの心を、なん千という心の中から」
「思いをひとつに」と、トゥヴォック。
「捜し出すなど、きっと、失敗する」
「心をひとつに」と、トゥヴォック。
「ボーグが船を同化しようとしている、早く撤退を!」
「思いをひとつに」と、トゥヴォック。
「聞いてくれ!」
「心をひとつに」と、トゥヴォック。
「ママ〜、ママ〜」
「思いをひとつに」と、トゥヴォック。
「ママ〜」
「思考をひとつに」
 そのとき、トゥヴォックは、精神融合に成功して、セブンの心に入り

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込んだ。
「セブン」と、トゥヴォック。再生装置で気が付くと、セブンを捜しに
歩き出した。







            5
 
 セブンの心の中は、おおぜいの人々でごった返していた。
「セブン、セブン!」と、トゥヴォック。人ごみをかき分けて進んだ。
 クリンゴン、カーデシア、さまざまな異星人、艦隊司令官もいた。
 もみくちゃにされながら、トゥヴォックは、遠くにセブンを見つけた。
「セブン、セブン!」と、トゥヴォック。セブンもおおぜいに、もみく
ちゃにされていた。
 
               ◇

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 医療室。
 トゥヴォックは、横たわったセブンの右頬に指をあてたまま、セブン
は苦しそうに顔をゆがめた。
「助けて」と、セブン。少女の人格だった。「こんなところにいたくな
い!家に帰りたい!」
 
               ◇
 
 セブンの心の中。
「ママ〜、お願い、助けて」と、少女。「家に帰りたい、ここにいたく
ない!」
 トゥヴォックは、人々をかき分けて、少女を追った。
「ママ、お願い、もう、やだ、ああ」少女は叫んだ。
 
               ◇
 
 医療室。
 トゥヴォックは、横たわったセブンの右頬に指をあてたまま、セブン
は苦しそうに顔をゆがめた。

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「医療室より機関室」と、ドクター。見かねて連絡した。「リンク装置
が停止するまでどのくらいだ?」
「2分、いや、3分くらい」と、ベラナ。攻撃で、火花が散った。「そ
れまで、ボイジャーがバラバラにされなければの話だけれど」
 
               ◇
 
 ブリッジ。
 6339の船が、ボイジャーを連射攻撃し、船が揺れた。
「シールド60%にダウン」と、ハリー。
「回避作戦!」と、ジェインウェイ。艦長席から指示を出した。「武器
をねらって!」
「標的システムが機能不全!」と、チャコティ。武器パネルの前にいた。
「メインスラスター」と、トムパリス。「パワー減退」
「シールド35%」
「全パワーをシールドに回して!」と、ジェインウェイ。「チャコティ、
手動で標的をねらって!」
「トレスよりブリッジ」と、スピーカー。「リンク装置が適応をストッ
プしました。新しい減退フィールドが効いているいる模様、1分以内に
は、なんとか断ち切れます」

92

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               ◇
 
 医療室。
「警告」と、コンピュータ。「神経化学シナップスが不安定です」
「コンピュータ」と、ドクター。「皮質抑制物質のパワーを上げろ!」
 攻撃に船が揺れて、火花が散った。
「実行できません」と、コンピュータ。「パワー転送システムがオフラ
イン」
「トゥヴォック」と、ドクター。「今すぐ、融合を終わらせろ!トゥヴ
ォック!トゥヴォック!」
 
               ◇
 
 セブンの心の中。
「レラッハ、トゥッハ、メロック!」と、クリンゴン。トゥヴォックを
壁に突き飛ばして、つかみ掛かった。トゥヴォックは身をかわして、正
拳突きで攻撃すると、クリンゴンは崖の下へ落ちて行った。
「少佐!」と、セブン。人々に、もみくちゃにされていた。「少佐!」
 

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               ◇
 
 医療室。
 トゥヴォックは、横たわったセブンの右頬に指をあてたまま、セブン
は苦しそうに顔をゆがめた。
 
               ◇
 
 セブンの心の中。
「セブン!」と、トゥヴォック。人々に、もみくちゃにされていた。
「少佐!」と、セブン。人々に、もみくちゃにされていた。
「セブン!」と、トゥヴォック。手を伸ばした。
 
               ◇
 
 機関室。
「パワー出力、29%にダウン」と、ベラナ。「22、17」
 そのとき、パネルに火花が散った。ベラナはそこへ行った。
「フィールドエミッターを失いました」と、ベラナ。
 

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               ◇
 
 ブリッジ。大きな火花が散った。
「パワーグリッドに直撃」と、ジェインウェイ。「スタンバイ!緊急バ
ックアップに交換して!」
 
               ◇
 
 医療室。
 トゥヴォックは、横たわったセブンの右頬に指をあてたまま、セブン
は苦しそうに顔をゆがめた。
 
               ◇
 
 セブンの心の中。
 人々に押されて、セブンは崖の下に落とされそうになって、必死につ
かまった。
「セブン!」と、トゥヴォックの声。
 
               ◇

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 機関室。
 リンク装置のグリーンが点滅した。抑制フィールドが消失した。
「ブリッジへ、リンク装置のパワーが戻っています」と、ベラナ。「フ
ィールドエミッターがオンラインに戻った。プラグを抜いて!」パネル
に入力した。「効果あり、パワー出力は下がっています。19%、13
%」
 
               ◇
 
 医療室。
「ううっ!」と、トゥヴォック。苦しそうだった。
 
               ◇
 
 セブンの心の中。
「セブン!」と、トゥヴォック。もう少しのところまで来たが、セブン
は崖へ落とされそうになった。
「トゥヴォック!」と、セブン。
「セブン!」と、トゥヴォック。

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               ◇
 
 機関室。
 リンク装置のグリーンの点滅が消失した。
「艦長、やりました」と、ベラナ。「リンク装置は停止」
 
               ◇
 
 セブンの心の中。
 トゥヴォックを邪魔していた人々が、突然、消えた。すぐにセブンの
ところへ行った。セブンは、トゥヴォックに気づいて、崖の下を見た。
 
               ◇
 
 医療室。
 セブンは、目をけた。
「セブン」と、ドクター。すぐに駆け付けた。
「ふう」と、セブン。トゥヴォックも、目をつむったまま、体を立て直
した。

102

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「セブンが戻りました」と、ドクター。艦長に報告した。
 
               ◇
 
 ブリッジ。
「船に呼び掛けて!」と、ジェインウェイ。「リンク装置を渡すと伝え
て!」
「応答ありません」と、ハリー。
「粗大ゴミをロックして、宇宙のかなたへ放り投げて!」
「転送完了!」と、チャコティ。「撤退して行きます」
「さっさと引き上げましょう!ワープ9」
「了解」と、トムパリス。









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            エピローグ
 
 宇宙をワープ9で航行するボイジャー。
「艦長日誌、宇宙歴52356・2」と、ジェインウェイ。「再生から
1週間が過ぎ、セブンは、ようやく、試練を乗り越え、自分を取り戻し
た」
 貨物室。
「神経処理装置、皮質受容体、すべて安定してます」と、ドクター。セ
ブンを、ハンディセンサーで検査した。「いつでも仕事に復帰できる」
「ほかの人格は、どうなったの?」と、ジェインウェイ。「また、現わ
れる?」
「彼らの神経パターンは、休眠状態に戻りました」
「声は、もう」と、セブン。「聞こえないのか?」
「先のことは分からないがね」と、ドクター。「声は聞こえないだろう
が、きみから離れることはないだろう」
「クルーたちは」と、セブン。「全員、危険を犯して、わたしを助けて
くれた。彼らに、どう報いたらいいのだろう?」
「小さなことから始めるのね」と、ジェインウェイ。「EPS集合体の
調整とか。ベラナが機関室で待ってるわ」
「あとで行く。真っ先に、会いたいクルーがいるんだ」

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               ◇
 
 通路。
「ボイジャーが通過予定の3星系の恒星チャートだ」と、セブン。歩き
ながら、ナオミワイルドマンにハンディパネルを渡した。「頭に、叩き
込んでおけ!」
「了解」と、ナオミ。渡させたハンディパネルを5・6枚抱えていた。
「これはデルタ宇宙域内の生命体173種のデータだ、覚えておけ!」
「分かりました」
「ブリッジアシスタントにとって、どれも役に立つ情報だ」
「しっかり勉強します」
 ターボリフトの入口に来て、ボタンを押した。
「もうひとつ、仕事がある」と、セブン。「わたしに手を貸して欲しい」
「わたしが?」と、ナオミ。
「今後は、レクリエーション活動にも参加したいと思っている」
「やった!」
 ターボリフトに乗り込んだ。
「カディスコットだ」と、セブン。「ルールを教えてくれ」
「指令に従います」と、ナオミ。笑顔になった。

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━━━ボイジャーは、ふたたび、アルファ宇宙域への、帰還の旅へ。
 
 
 
                  (第五_二_三話 終わり)















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