ナイトゥアンディ
             パトリックオニール
              
            プロローグ
             
 カンサス州、ウィチタ。
 廃車置場。夥しおびただい数のつぶされた車が積み上げられていた。
 管理人の男が、コーヒーカップ片手に歩いてきた。犬の鳴き声。
「きみ!もう、帰りたいんだけど」と、管理人。1台の車のバンネット
にもぐり込んでる女性に。
「ええ、あとちょっとで終わる。飛行機に遅れちゃうし」と、女性。
 女性は、ジーパンをはいていて、バンネットの下からエンジンパーツ
を取り出してきた。
「これよ!見つかった!」




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 ウィチタ空港。
「ウィチタ空港へようこそ!」と、空港アナウンス。「快適な旅を、ご
いっしょに!」
 サングラスをかけた男が、旅行者が行きかう空港ロビーを歩いてきた。
「禁煙にご協力ください!」
 片手に旅行カバン。
「ボストン便は、遅れているのか」と、サングラスの男。電光掲示板を
見て、つぶやいた。表示は、遅延となっていた。2階の売店でアイスク
リームを買って、かじりながらロビーの旅行者を見ていた。男は、シュ
ーティングゲームをしたり、中世の鎧兜のよろいかぶとフィギアを見たりして、時間
つぶしていた。廃車置場にいた女性が、ジーパンにカートカバンを引い
て歩いていた。男は、フィギアを1つ買った。
「ごめんなさい!」と、ジーパンの女性。カバンが大きいので、人によ
くぶつかった。
「早いフライトに変えてもらえるのね?」と、女性。チェックインカウ
ンターの案内係に。
「お荷物は?」と、案内係。パスポートを女性に返した。
「持ち込むわ。貴重品があるの」

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「どうぞ」案内係は、荷物カードを渡した。
 女性がエスカレータを上がって、後ろ向きにカートを引いていて、男
性にぶつかった。
「ごめんなさい!」と、ジーパンの女性。手に持っていたカードを落と
した。
「いいえ、こっちが悪かったんです」と、サングラスの男。カードを拾
うのを手伝った。
「バッグがすごく重くて」
「ケータイを見てた、いけませんよね」と、男。
 ふたりは、立ち上がった。女性は、金髪の長い髪をかきあげた。
「おでこに、その、汚れが」と、男。
 
               ◇
 
 荷物検査カウンター。
「これは?」と、係員。
「ポンティアックトリパワー用のキャブレターです」と、ジーパンの女
性。
 隣のカウンターでは、先ほどのサングラスの男が検査を受けているの
が見えた。

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 係員が排気管2本をのぞきこんでいた。
「それは、74年型カマロ用の排気管」と、女性。
「うん」と、係員。
「古い車をレストアするので」
「うん」
「それは、ドライヤー!」
 
               ◇
 
 空港ロビー。
 女性がカートカバンを引きながら歩いていると、また、サングラスの
男にぶつかった。
「あ、すいません」と、女性。
「あ、いや」と、男。「ぶつかるのが、くせになった!」
「ごめんなさい」女性は、男が雑誌を拾うのを手伝った。
「ありがとう」と、男。
「どうも」
「ボストンへ?」
「ええ」
「12番ゲート!」

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               ◇
 
 12番ゲート入り口。
「よいフライトを!」と、係員。ゲートの旅行者に。
 ジーパンの女性が、やってきた。うしろに、サングラスの男。
「こんにちわ」と、係員。
「どうも」と、女性。搭乗券を出した。
「あ、この便ではありませんね」と、係員。コンソールを見ながら。
「そう?10分前にチェックインしたのよ!なにかの、手違いじゃない
?」
「コンピュータにお名前がないので」
 
 
 
                      (つづく)





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