感想
            目次
          1 「ザ・ハウス」について 
          2 著者について      
          3 作品について      
          4 詩について       
          5 SFノベルについて   
          6 雑稿について      
 
¶A−B=C§
+−±×÷=≠<>≦≧∞∴♂♀°′″℃¥$¢£%#&*@§☆★○
●◎◇◆□■△▲▽▼※〒→←↑↓〓∈∋⊆⊇⊂⊃∪∩∧∨¬⇒⇔∀∃
∠⊥⌒∂∇≡≒≪≫√∽∝∵∫∬ʼn♯♭♪†‡¶◯01234567
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2

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            1
 「ザ・ハウス」について━━━キーは存在しない
          ◇テレンスブレイク 2014年12月17日◇
 
 「ザ・ハウス」は、フレドリックブラウンが1960年に発表した、
たった3ページのショートストーリーである。しかしそれは、多くのな
ぞに満ち、外見上、意味が氾濫はんらんしている。
 SFFオーディオポッドキャストのジェセウィリスは、このストーリ
ーを読み解くキーがあるに違いない、と考えた。そのキーは数式だとい
う。その数式を発見したやつには10ドルの賞金を出すそうだ。しかし、
オレはキーは存在しないと思う。もしもキーが見つかってしまったら、
ストーリーは台無しになってしまうだろう。
 
 仮説:キーは存在しない。
 




4

3
























































 プロット:名前のない男(彼)が「家」のポーチで、ためらっている。
道や緑の木々、黄の平原、遠い丘、明るい陽射しも、これが最後の見お
さめだった。中に入ると、ドアが閉まった。うしろを振り返ると、ドア
ノブも鍵穴も、ドアのへりさえなかった。彼は「家」の中を見てまわる。
そして最後に、ドアに自分の名前が書かれた室に入る。ドアを閉めると、
鍵のかかるカチッという音が聞こえ、2度と開かないことがわかった。
室は彼が生まれた寝室を再現してあった。ろうそくに火をつけ、もう、
ずいぶん前に亡くなった妻のこと、いっしょにすごした何年ものあいだ
の、ちょっとしたできごとを、いくつも思い出した。ろうそくの残りが、
あと1センチになるまで、9時間もかからなかった。暗闇が、室の片隅
から集まりはじめ、近くまではいよってきた。彼は、悲鳴をあげて、ド
アをたたき、両手が原料のままの血のにじんだパルプになるまで、つめ
でひっかいた。
 
 




6

5
























































 全体的な動きは、明るい開けたところから、暗い閉じたところへ向か
う。ストーリーは、型通りに進む。なにかを暗示するかのように、シン
ボルがいくつも出てくるが、その意味は不明のまま残される。全体像は、
生と死の間を揺れ動く「バルド」状態となる。オレができることは、感
じたままの発想をいくつも羅列られつするだけだ。
 
[1]神秘主義:悪あるいは低位の神が支配する世界で、囚われたもの
の解放。「家」は子宮で、神の光が去ると、闇が支配する。
 
[2]キューブ:出口なし。プランもなし。危険と緊張が、およそ意味
のない寓話的試練をもたらす。「家」は悪意が支配する世界で、そこに
は陰謀がある。あるいは、単に盲目的で官僚的な論理が、予測できない
結果をもたらす。
 
[3]ストーカー:「家」は自然の法則に従わないゾーンで、自己啓示
が可能な場所。「家」はこの世のものでない、あの世のもの。断片的な
思い出や異質な空間や不可解なオブジェに満ちている。
 
[4]2001(世紀末):生のステージ(幼年期、成熟期、老齢期、
死)の同時性。アイデンティティを関連性のない、いくつものブロック

8

7
























































に分解。宇宙へと生まれ変わることが可能。
 
[5]ドゥルーズ=ガタリ:「家」は宇宙の力と人間の転生を有限の領
域や広がりに「あいまい」に結び付けている。いずれもオレたちを分解
して宇宙へと結びつけている。部分的に宇宙の力をフィルタリングした
り使用しながら。「家」は決まりきったルーチンが支配する領域。つま
り、内部の転生と外側の力が新しい感情を作り出す場所。
 
[6]デリダ:テキストに外側はない。「家」はテキスト。一度中へ入
ってしまえば、それ自身で閉じていて、その内部で解釈される。外へ出
るキーはない。このことは、第2パラグラフで分かっている:「ドアノ
ブも鍵穴も、ドアのへりさえなかった。へりがあったとしても、うまく
まわりの壁に溶け込んで、輪郭さえ見つけられなかった」
 
[7]ユング:そのテキストは、答えを見つけたら解決するパズルでは
なく、複数の意味が反響し合うシンボルである。「家」は精神であり、
記憶であり、夢であり、回想。原型をいくつも呼び起こし、ひとつの精
神的空間に並置される。ユングによると、夢における家は、しばしばそ
の人の精神を表す。「エゴはそれ自身の家の主人ではない」
 

10

9
























































 中心的なキャラクターの「彼」は、家に入った瞬間、光と生の昼の宇
宙から切り離され、なぞのような記念品やオブジェ、暗号のようなでき
ごとに満ちた夜の世界に入り込む。だが、外では昼は終わっていて、
「暗闇が、室の片隅から集まりはじめ、近くまではいよってきた」全体
的な動きは、郷愁や超越から、パニック、熱狂へ、あるいはある特別な
感情が生まれるかもしれない場所へと向かう。
 
 注:「家」の解釈に、オレの考えの裏付けである、ベルナールスティ
グレールの本を引用した。

    ◇ラリーホーム 2015年12月11日◇
 
 「ザ・ハウス」は、誰かの悪夢を記述したものだとオレは考える。悪
夢を見ているやつは、そいつの死を夢で見ているのだ。
 
 その夢を見ているやつは、やつ自身の死が近づいている、とても年寄
りか、あるいは重い病気だが、オレたちには分からない。どのできごと
でも、夢の最初から、そいつは自分の死を受け入れている。自分自身で
安らかに、避けられない生の終わりを受け入れる準備ができている。そ
れで、やつは死ぬために家に入った。自分の名前の書かれた室へ行き、

12

11
























































その室に入る。戻れないことを知りながら。
 
 室の中では、ろうそくに火をつけ、静かに死を待つ。しかし時間が過
ぎて、死が迫ってくると、まだ死ぬ準備ができていないことに気づく。
まだ死ねないと考えるが、その瞬間は目の前に迫り、やつは、恐怖を覚
える。絶望しながら、室を出ようとする。だが、もちろん、死からは逃
れられない。それが悪夢の結末だ。
                  ラリーホーム Seattle
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    ◇アランフィールド 2018年7月24日◇
 
 フレドリックブラウンは、オレが思うに、彼の魔法のようなショート
ストーリーで、時として最後のセンテンスに秘密を明かす。最後のワー
ドにさえ。「ザ・ハウス」においては、最後のセンテンスは以下だ。
 
 ろうそくの残りが、あと1センチになるまで、9時間もかからなかっ
た。暗闇が、室の片隅から集まりはじめ、近くまではいよってきた。彼
は、悲鳴をあげて、ドアをたたき、両手が原料のままの血のにじんだパ
ルプになるまで、つめでひっかいた。

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13
























































 
 ここで、最後のワードは「パルプ」、すなわち「彼」はパルプで作ら
れたなにか。おそらく本か雑誌。
 より秘密を分かりやすくすれば、最後のセンテンスは以下になる。
 
 ろうそくの残りが、あと1センチになるまで、9時間もかからなかっ
た。暗闇が、室の片隅から集まりはじめ、近くまではいよってきた。彼
は、悲鳴をあげて、ヴィンテージものの古雑誌であることも忘れて、ド
アをたたき、両手が原料のままの血のにじんだパルプになるまで、つめ
でひっかいた。
 
 もちろん、どう解釈するかは常に、読者個人のものである。
                  アランフィールド Tokyo
 
                            (終わり)




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            2
        著者について
 
 フレドリックブラウンは、1906年10月29日シンシナティで新
聞記者の息子として生まれた。両親は高校生の頃に亡くなった。192
2年に卒業し、その後、オフィスで働いていた。その経験は1958年
の小説「ザ・オフィス」のベースとなった。ハノーバーカレッジ、およ
びシンシナティ大学に通い、1929年に最初の妻ヘレンと結婚した。
ふたりの息子、ジェームズとリンをさずかった。1930年代の初めは生
活が苦しく、ブラウンはもらえる仕事はなんでもした。おもにオフィス
ワークが多かったが、皿洗い、バスの車掌、探偵の仕事もした。この頃、
ミルウォーキー作家組合に参加し、書くことを始めた。おもに、ユーモ
ラスなショートストーリーだった。1937年にミルウォーキージャー
ナルの校正係の仕事を得て、1945年まで続けた。
 




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17
























































 ブラウンの最初の探偵小説が売れたのは、1937年だった。その後、
1940年代初めまで、多くの探偵小説やSF小説をパルプ雑誌に発表
した。最初の長編である「ファブクリップ」は、12社の出版社から断
られたのち、1947年にダットン社から出版された。これは成功し、最
初のベスト長編に与えられるエドガーアワードを受賞した。この本は、
エド&アムハンターが登場する最初の小説で、続編を6冊出した。その
後も成功が続く。古典SFとされる「ファマドユニヴァース」(194
9)、アニタエクバーグ主演で映画化された「ミミ、遠い叫び」(19
49)、語り手が交錯する実験小説「キャンドルがやって来る」(19
50)。ブラウンは1950年代を通じて、SFミステリーの分野で、
数多くの小説を書き続けた。
 1960年代に入って、健全な身体を維持できなくなり、書く量もス
ローダウンした。ブラウンと家族は、医者のアドバイスでアリゾナのツ
ーソンに移った。しかし1961年、ヒッチコックのテレビ版のシナリ
オを書くためにハリウッドに行ったが、1963年にツーソンに戻った。
この年、最後のノベル「ミセスマーフィーのアンダーパンツ」を出版。
このときまで病気のためほとんど書くことができず、深刻な気腫きしゅ患っわずら
て、1972年3月11日に亡くなった。65才だった。
 
                            (終わり)

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            3
        作品について
         パート1=詩         
         パート2=ノンフィクション  
         パート3=シナリオ      
         パート4=ノベル       
         パート5=ショートストーリー 
         パート6=短編集       


パート1=詩
 
発酵したインク:10の詩、自費出版1932年
    内容:「太りすぎのふくろうに捧げる歌」「間奏曲」「ギフト」
    「聞きなれないセレナーデ」「モダンメロディ」「ラプソディ」
    「オーチュア」「ロマンス」「ミッドナイトソナタ」「ゆっく
    りと目覚める」
シャドースーツ:15の詩、自費出版1932年
    内容:「赤ワイン」「ハーレムの子守唄」「忘却のためのプレ
    リュード」「シャドーダンス」「反映」「ありえない疑問」

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    「エピック」「アイドル」「船荷ふなに」「不死」「牡蠣か きさめ」「憎
    しみの賛歌」「街灯を巡る戦い」「贖罪のしょくざい祈り」「死の舞踏ぶとう
「トレイシーの前奏曲」、アメリカ詩マガジン35巻2号1954年
「手」、アメリカ詩マガジン35巻3号1954年
その他の詩:
    「アルマゲドンの後」
    「すべてのものが奇妙、ぼんやりとしか見えない」
    「フィナーレ」
    「オレは嘘つき」
    「メンスサナ」
    「無敵の王メルエンプタハ」
    「リュートで愛を歌うスカラムーシュ」
    「オレのために歌を、愛の、あんたの口びるで」
    「ソロモン、ソロモン」







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パート2=ノンフィクション
 
「校正係のページ」、アメリカ印刷誌1937年3月〜46年11月
「クレジットで飲食店売上アップに」、飼葉袋1937年5月
「プレスルーム最前線」、アメリカ印刷誌、日付不詳
「校正資料室」、アメリカ印刷誌、日付不詳
「スーパーマンのあとは?」著者&ジャーナリスト1940年10月
「なぜ選んだ?ナッシングシリウス」マイベストSF1940年
「全球凍結フロゲル星」について、海外SF1950年10月
「手のなかの宇宙」について、1951年
手紙1952年6月14日付等、『終わり良ければ』1990年に収録
序章と7つの前書、SFカーニバル1953年
「プロットをどこから得るか」、ライターズヒント1953年3月
「F・ブラウンは言う」、『人間?』ジュディスメリル編1954年
序章「エンジェルとスペースシップ」1954年
手紙1963年11月17日付、『バークにまかせろ』の原稿について
「SFの定義」「ファンタジー&サイエンスフィクション」1963年
「それがすべて」ゴリアード836、1965年4月
手紙1964年6月22日付、ロジャーヴァディム監督の電話について
「火星での結婚」『火星での結婚生活』1986年に収録

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25
























































パート3=シナリオ
 
「人類おもしろ話」、「最後の火星人」に基づく、ヒッチコック劇場1
959年5月24日放送、「ピックドパンクス」1991年に収録
「ミラー」、未発表短編「ミラー」に基づく、未発表シナリオ
「地球報告」1952年6月付、『終わり良ければ』1990年に収録
「女の2つの顔」、『終わり良ければ』1990年に収録



パート4=ノベル           エド&アム◇    ◆SF
 
1947年 ファブクリップ                ◇
1948年 デッドリンガー                ◇
1948年 殺しのプロット
1949年 ファマドユニヴァース             ◆
1949年 血だらけの月の光               ◇
1949年 ミミ、遠い叫び
1950年 悪魔のあいさつ                ◇
1950年 キャンドルがやって来る

28

27
























































1950年 ナイトオブジャバウォック
1951年 ダンシングサンドの場合
1951年 死はいくつものドアを持つ           ◇
1951年 遠い悲鳴
1952年 みんなに殺されたグランドマ
1952年 ディープエンド
1953年 マッドボール
1953年 ライトインスカイスター            ◆
1954年 彼の名は死
1954年 ゴーホームマーティアン            ◆
1955年 死んだ売春婦
1956年 情け深い野獣
1957年 宇宙の一匹狼                 ◆
1958年 ザ・オフィス
1958年 ひとりドライブ
1959年 死んだ夫                   ◇
1959年 ノック、312
1961年 マインドシング                ◆
1961年 マーダラー
1962年 悪夢の5日間

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29
























































1963年 ミセスマーフィーのアンダーパンツ (160頁)◇
1987年 ブルーモンスター (100頁8章までの遺稿) ◆








パート5=ショートストーリー
 
1936年
「ミュンヒドリラーの真空報復」、ミシガンドリラー9月
「ビジネスはブーム」、掘削技術11月
1937年
「すべてに疲れた」、掘削技術2月




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31
























































パート6=短編集
 
1951年
「手のなかの宇宙」
内容:著者序章、「緑の世界」「危機、1999」「空のパイ」「ノッ
ク」「アンドロメダUの来訪者」「白日夢」「ナッシングシリウス」
「ミットキーあらわる」「さぁ愉快に行こう」
1953年
「ほとんど殺し:18の物語」
内容:「笑う肉屋」「4人の盲」「世界が終わる夜」「映画は巡る」
「叫びと沈黙」「ドンアリスティッドの鼻」「背後の声」「ミス暗闇」
「キャサリーン、またノドを切り裂きに行くよ!」「町求む!」「かつ
て最も偉大な詩」「盗むのが難しい小さなリンゴ」「ここは出口」「小
さくて白いライ」「危険な人々」「カイン」「リリーの死」「うしろを
振り返るな!」
「SFカーニバル」ブラウン・マックレイノルズ共編
内容:ブラウンの作品は「パラドックスロスト」のみ。
1954年
「エンジェルとスペースシップ」
内容:序章「パターン」「おかしな星プラセット」「ファイナルアンサ

34

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ー」「エタオイン騒ぎ」「非常識」「アルマゲドン」「挨拶」「ヴァヴ
ェリ」「すい星はさりゆくとも やがて きたらむ」「帽子の手品」
「探索」「不死鳥への手紙」「フランス菊」「ミミズ天使」「死刑宣告」
「イェフディの法則」「唯我論者」
1958年
「地獄へハネムーン」
内容:「地獄へハネムーン」「効きすぎ」「選ばれた男」「ミレニアム」
「ドーム」「ヴァンパイア」「鏡の間」「気まぐれ」「最後の火星人」
「歩兵」「ねずみ」「あたりまえ」「土人の魔術」「闘技場」「地球人
は出ていけ」「タイムマシン第1号」「かくて神々は笑いき」「武器」
「スポンサーから一言」「翼のざわめき」「空想せよ」
1961年
「悪夢とギーゼンスタック家」
内容:「ナスティ」「アボミっぽい」「エコーバック」「グレーの悪夢」
1963年
「シャギードッグとほかの殺し」
内容:「シャギードッグ殺し」
1968年
「白日夢」
内容:「暗闇への門」「白日夢」「さぁ愉快に行こう」「ミミズ天使」

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35
























































「ミットキーあらわる」「ミットキーふたたび」「地獄へハネムーン」
「空のパイ」
 
 
 
 
 
 
 
 
                            (終わり)










38

37
























































            4
        詩について
 
 ノベル2作目の「デッドリンガー」で、エド&アムハンターは、ロン
スタッフォルドの過去を調べるためにシンシナティへ行った。彼は小人
で、3人が働くカーニバルで旅しているあいだに殺されてしまったのだ。
旅の前、スタッフォルドは、アムがカーニバルの以前からの古い知り合
いのフロツェンスキーがやっている下宿屋に住んでいた。スタッフォル
ドについて分かってることはほとんどなかったが、フロはアムに、彼の
所持品のトランクを見せた。そこには彼の死のヒントになる手がかりが
あるかもしれない。
 トランクには、小人サイズの服とタイプライター、紙の束があった。
紙の束を調べると、小人のカーニバルパーフォーマーが残した、おそら
く誰にも読まれることのない詩があった。アムはすぐにこう評価する。
「偉大な詩とは言えない。いくつかは思ったよりもおもしろいが」たま
たま読んでしまった者として、アムの評価は正しい。それらの断片は偉
大な詩ではない。しかし、いくつかは、フレドリックブラウンが前に自
費出版した詩を含むことで、注意する必要がある。彼のキャリアの間、
私的に書き続けてきた詩のテーマにも近い。ブラウンの詩は、詩人とし
て認められようとして書かれたものではないが、その多様性、そのテー

40

39
























































マ、その後の仕事と関わる土地柄について、注目する価値がある。初期
の詩の多くは中西部の生活で経験した大恐慌のイメージにあふれ、その
印象はとても強烈だった。
 ニュートンベイアードは、自分の文献リストにブラウンの詩集を2つ
挙げている。その2つは、1930年代の初期に同時期に出したものだ。
発酵したインク:10の詩」は、そのままよみがえって、1987年
ブルーモンスター」に収録されている。ベイアードは、未亡人エリザ
ベスの手紙を引用している。そこには詩集を自費出版した経緯が書かれ
ている。
 
               ◇
 
フレッドは印刷ショップで、活字の組版や校正係として昼間は働き、夜
は店長の許可を得て、活字を元に戻しておくなら、自分の私的な印刷に
使用してよいことになっていた。(注釈付き文献リスト、44ページ)
 
               ◇
 
 この詩集には日付がない。もう1つの詩集「シャドースーツ:15の
詩」は、1932年のコピーライトの日付があるが、この部分は、植字

42

41
























































で組まれたものではなくて、単にタイプされたものだ。これら15の詩
のほとんどは今は残ってない。ハリーアシュラーは詩について、「見た
ことも聞いたこともない」(著者への手紙、1988年6月28年)と
書いている。いくつかはブラウンのファイルから見つかって、短編集
『ウォーターウォーカー』1990年に収められた。詩について、オレ
は『発酵したインク』から始めたい。それは完結した詩集として。そし
て次に、『シャドースーツ』で現存するもの、散逸したが復活された詩、
最後にショートストーリーやノベルに登場する詩。
 
               ◇
 
 『発酵したインク』の最初の詩「太りすぎのふくろうに捧げる歌」は、
軽いクリップ調で、1行5音節を越えないイメージスタイルで書かれて
いる。
                        
 
 
 
                            (終わり)


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43
























































            5
        SFノベルについて
 
 「マインドシング」の初版は、ペーパーバックで出版されたが、評論
家からはほとんどなんの関心も持たれなかった。唯一「アナログ」の前
向きなレビューは、「これは、ハリウッドの頭の良い監督なら、ストレ
ート小説として映画化しただろう」と言っている。ノベルは、外見上は、
アルフレッドヒッチコックが映画化しそうな話だったが、そこからはな
にもやって来ない。わすかなSFとしての批評以外では、「マインドシ
ング」は、重要なメッセージや読む価値を含みながらも、注目されるこ
とはなかった。
 「マインドシング」のあとは、フレドリックブラウンはSFノベルを
存命中に出版することはなかった。彼の作家としてのキャリアはほとん
ど終わりに差し掛かっていて、健康状態が書くことを不可能にする前に、
2・3のミステリーノベルを書いただけである。
 しかしながら、フレドリックブラウンは次のSFノベル「ブルーモン
スター
」を書き始めていた。書くのをあきらめる前に、100ページま
で書いた。この未完成ノベルは、1987年にペーパーバックサイズの
ハードカバーでそのまま限定出版された。ハリーアシュラーの序章は経
緯を説明している。アシュラーはツーソンのブラウン家を1970年と

46

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1971年に訪れた。フレッドの気腫きしゅは「なにをするのも不可能にして
いた。起き上るだけでも全エネルギーが必要で、別の室へ行くことさえ
もそうだった」、さらに視力は「崩壊していた」(6〜8)、彼は19
65年までに、「ブルーモンスター」を、書き終えていたが、その先を
書かなかった。彼はハリーに原稿を読ませ、後に手紙で、「もう完成さ
せられないので」手を入れて完成させてくれと言っている。テーマは、
どういうものだったのか見てみよう。テーマをプロットに沿ってじっく
り展開できれば、物語を完成させられる。
 
               ◇
 
 物語は、サイコ殺人鬼、ウォルターフレモントが収容されている、犯
罪的精神疾患リハビリセンターから始まる。
                        
 
 
 
                            (終わり)



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            6
        雑稿について
 
 彼はクックと笑ってから、引用した。
               ◇
「あなたは年寄り、ウィリアム牧師!」と、若者。「あなたの頭は、白
髪。なのに、いつも、頭で逆立ちしている!それって、あなたの年齢と しに、
ふさわしい?」
                        
               ◇
 そう、キャロルはそれに答えたので、オレもそう答えた。
               ◇
「たしかに若いころは」と、ウィリアム牧師。息子に答えた。「頭に悪
いんじゃないかと、心配しておった。けれど、今、まったく悪いことな
んかないと、断言できる。なぜなら、いつも、こうしておるからじゃ!」






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49


































































            3
 楽しそうに笑い
 ツメをきちんと広げて
 うおを迎えると
 アゴもやさしく笑う    






52

51


































































            4
 『ちょっと 待って!』と カキたちは叫んだ『話す前に
  息を切らしてる者がいる みんな 太っているし』
 『急がなくていいよ!』と 大工 みんなは大工に感謝した  







54

53


































































            5
 砂がみんな 乾いていると 威勢がよく
 サメを バカにしたように しゃべる
 しかし 潮が満ちて サメたちに囲まれると
 声は ふるえて おくびょうに
 





56

55


































































            6
「どのくらい遠く?」鱗のうろこある友人が答えた
「向こう岸だよ 反対側
 イングランドのとなりは フランス
 そしたら元気を出して いっしょにダンス」
 





58

57


































































            7
 『それは ずるい!』と セイウチ『トリックにかけるのは
  遠くから連れてきて すばやく 料理してしまうとは!』  








60

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            8
  女子戦士は 剣を手に
  はるかなる 追跡ついせきの旅
  タムタムの木陰こかげで 眠り
  思いをめぐらして 立ち止まった    






62

61


































































            9
 『まず 魚は つかまる』
  それはやさしい 簡単につかまる
 
 『つぎに 魚は 売られる』
  それはやさしい 1ペニーで売られる    





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            10
  立ち止まった そのとき
 「ガルゥールルルゥ!」
  いかり狂った ジャバウォックが
  タルシーの森から おそってきた    






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 『カキたちは』と 大工『みんな楽しく走った!
  また 家に急いで帰るのかい?』だれも こたえなかった  








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 「グラスにワインを いそいでそそいだら
  テーブルには ボタンとブランをまいて
  コーヒーにはネコ 紅茶にはネズミ
  女王アリスを 歓迎しよう
  30かける3!」    





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            13
  さらに、がんこに 言った
 『私が 小さな魚たちを起こす もしも』
 
  たなのコルク栓抜せんぬきを 手にしたら
  小さな魚たちを起こしに 行く    





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「あなたは、若くはない」と、若者。「視力も、かなり弱ってるはず。
なのに、鼻の上で、ウナギを乗せてバランスがとれるのって、器用すぎ
る?」    







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  剣でき 剣で貫いつらぬ
 「トゥーフ!」
  ジャバウォックを倒した
  野獣のツメを 持ち帰った    
 
 
 
                            (終わり)


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