原稿(novファイル)を書き始めた瞬間、あなたは、すでに、ノヴァリスト!
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SFミステリー 小説家自動生成異次元空間 ノヴァリアン
NOVELYAN 2.40 (株)美利崎人 (ビリザキト)
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NOVELYst AutogeNerating dimensional space
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◆◇◆更新ニュース◇◆◇
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一.
ゲストがひとりで使える専用サイト
をリリースしました。
ゲスト専用非公開サイト自動作成
(使える文字は半角の英数字と_のみ、6〜15文字)
上の入力欄にIDを指定し、自分用のゲストルームを作成。
公開しない(リンクを張られない)限り、他人は入れません。
(Google等あらゆる検索から守られます)
ゲストルームは、1人1ルームまででお願いします。
(複数作る場合は、同一IDにしてください)
9タイトル、ゲスト制限あり(nov:15KB、画像:120KBまで)
1タイトルあれば、15KB制限でも、novを分けて、開始
ページを%pag 20とずらすことで、いくらでも書けます。
URLを、ID_10桁番号の形で作成後、ゲストルームへ入り
ます。そのURLは、メモ帳かお気に入り登録にのみ記し、
他から一切リンクを張らないでください。(1か所でも
リンクを張ると、検索ロボットに無数に侵入されて、
公開しているのと同じことになります)
一)
試用版 ゲストルーム
は、プロトタイプとして保存。
(以下、略)
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京 都 大原
星 銀河
夢 心
人形 宇宙船
月 夜 花 光
月 夜 花 光
、 ◇
令 和
SFミステリー
「トゥーフ!」 キャビア マーストラリア ビックマック 記憶
ホラー シリウス コロシウム ナスティ アボミっぽい 「ギャーッ!」 ねずみ アリス
[夢 心 or検索] ヒット 92 件です。
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アリスのアンダラン
/LC/AliceUnderGround/
8
7
こうもりを捕つかまえられるわ!こうもりってねずみにとても似てるのよ。
でも、ネコって、こうもりを食べるのか?」
アリスはすこし眠くなって、繰り返し自分に、夢のなかで問いかけた。
「ネコって、こうもりを食べるのか?」
あるいは、
「こうもりって、ネコを食べるのか?」
どちらも答えられないので、どちらでもよくなった。眠たくなり、夢
で、ディナといっしょに散歩をして、アリスは熱心にディナに聞いた。
「ねぇ、ディナ!ほんとうのことを教えてくれる?ディナは、今までこ
うもりを食べたことあるの?」
突然、「ババ〜ン!」と、ステッキやヒゲ剃りがどっさりある山の上
に落ちて、落下は終わった。
アリスは、どこもケガはなく、自分の足で山を飛び降りた。見上げて
も暗く、アリスの前には、別の長い通路があって、白のウサギが先を急
いでいた。見失うわけにいかなかったので、アリスは風のようにウサギ
のあとを追った。コーナーを曲がるときに、ウサギの声がした。
「耳もヒゲも、遅れないよう急げ!」
アリスもすぐにコーナーを曲がった。するとそこは、低いホールがの
びていて、天井にはランプが並んでいた。
ホールには、ランプごとにドアも並んでいた。どのドアもかぎがかか
10
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赤の悪夢
/FB1/NightmareInRed/
赤の悪夢
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
彼は、なにによって起こされたのか、わからないまま、目が覚めた。
最初のゆれのあと、1分で、2回目のゆれが来た。ベッドが少しゆれ、
タンスの上の小物が、ガタガタと、音をたてた。3回目のゆれを、横に
なったまま、待っていたが、来なかった。その時までは、来なかった。
ほとんど目が覚めてしまっていて、もう、眠ることができなかった。
時計の夜光盤を見ると、まだ、真夜中の3時であった。ベッドから出て、
パジャマのまま、窓のところまで歩いた。暗い空に、点滅する光が見え
た。夜の音が聞こえた。どこかで、ベル。
2
1
しかし、なぜ、この時間にベルなんか?災害を知らせるベルなのか?
ここの軽いゆれが、どこか近くで、大きな地震につながったのだろうか?
あるいは、これから、ほんとうの地震が来る、とい
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ジバゴ
/SY/Zhivago/
「同志たちよ!進め!」と、軍服姿のパーシャ。塹壕ざんごうからつぎつぎに兵
士たちが出てきて、敵の機銃掃射にむかって走り出し、パーシャに続い
た。
「進め、進め、オレたちの力を見せてやれー」と、パーシャ。銃剣を持
って突撃した。
「行けー!」
そのとき、パーシャの横で迫撃砲が炸裂して、パーシャは、倒れた。
雪の上にパーシャのかけていたメガネが、落ちた。次々に倒れる兵士た
ち。上官を失って敗走する兵士たち。
「そして、ついに、彼らは、夢に見たことを実行に移した。
故郷に帰り始めたのだ」
塹壕ざんごうから出て、敗走してゆく兵士たち。
「それが、革命の始まりだった」
雪原を埋め尽くす、敗走してゆく兵士たち。
ユーリは、軍医の軍服を着て、医療品を積んだ馬車に乗って、前線に
向かう兵士たちとともに、隊列を組んで進んでいた。敗走してくる兵士
たちの一群が、向こうから、ばらばらに歩いてきた。
「脱走兵だ」と、先頭の馬に乗っていた将軍。
「補充兵が来た」と、敗走する救護用馬車の兵士。となりに、看護婦姿
100
99
のラーラが乗っていた。
「捧ささげー、筒つつ!」と、補充兵の隊列の副官。
脱走兵たちは、草原へ逃げ始めた。
「戻って来い!バラバラになるんじゃない!」と、救護用馬車の兵士。
「お
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ノヴァリアン試用版
/novelyan/guestroom/
タイトルは、001.nov〜009.novの9つあります。
novは、NOVELYANの略です。
ゲストルームでは、他に同一タイトルをご使用の方がおられると、
変換・表示の際に、上書きされる場合がございます。
ユーザの方の場合は、
ユーザの方専用ディレクトリ・非公開URLが、ご用意されますので、
他の方に邪魔される心配はありません。
ゲストルームでは、004.nov〜006.novの3つは、変換・表示が、すぐ試せる事例です。ファイル選択は、すでに、それぞれ、
TheWaveries.nov
、
TheHouse.nov
、
DeathOnTheMountain.nov
が、選択されているものとしています。(実際には、ユーザが指定します。)
よって、変換と表示をすぐに試せます。
(004.htm〜006_P.htmは、初期化できません。)
2. 原稿ファイルを選択します。
原稿を、001.novとすると、novファイルは、
テキストファイルで作成してください。
漢字の文字コードは、すべて、シフトJISです。
(シフトJIS以外は、すべて未サポートです。)
novファイルの作成は、お使い慣れたエディタなら、なんでもOKです。
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いつもふたりで
/SY/TwoForTheRoad/
「じゃあ、きみがやればいい!きみの責任で、家や、家庭教師や」
56
55
「欲しくない!」
「欲しくないって?ウソつけ!高級腕時計だって」
「返すわ!いらない!」ジョアンナは、腕時計をはずして、窓から、投
げ入れた。
「女は、夢がかなうと、傲慢ごうまんになる!」
「あなた自身の、夢でしょ!」
マークは、車をとめて、窓から腕時計を出した。
「ジョアンナ、きみの時計だ!」
ジョアンナは、そのまま、歩いていった。
「ジョアンナ、愛してる!」
ジョアンナは、やっと、立ちどまった。戻ってきて、腕時計を受け取
り、助手席に座った。
「さぁ、モーリスが待ってるわ!」
「ふん!」
◇
湖沿いの石橋の欄干に座る、ヒッチハイクのマークとジョアンナ。
「いっしょじゃ、だめみたいだ」と、マーク。「運がない。別れよう!
別々の道を進み、また、会えたら会おう!」
58
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終わり良ければ
/FB1/HappyEnding/
彼が笑うと、マリギーたちも笑った。たまに、ベヌースb星の
16
15
奇妙な形をした木々たちも話しをした。しかし、彼らの声は、ずっとか
すかであった。木々たちは、従順で、よき従者であった。
ときとして、すばらしい考えが浮かんだ。木々の種族は、純血種であ
って、他種と混ざることはなく、常に、しっかりと立っている。つまり、
いつの日か、木々たちは━━━。
いや、これは、たんなる夢、空想だった。当面の問題は、むしろ、マ
リギー、それに、キフという地球のアリに似た虫だった。こいつらは、
いつも、彼を困らせた。大声で鳴くマリギーがいた。「すべて取り逃が
した!」彼は、縫い針銃で、何百回も撃ったが、いつも取り逃がした。
ときには、逃げさえしないマリギーもいた。
「すべて取り逃がした!」
ついには、もう、縫い針を無駄にするのをやめてしまった。マリギー
に忍び寄り、素手で絞め殺そうとした。この方が、ずっとよい方法だっ
た。何千回目に、やっと、1匹とらえ、殺した。手にあたたかい血がし
たたり、羽が飛び散った。
これで、終わりにしてほしかったが、そうでは、なかった。今では、
何十匹ものマリギーが鳴き叫び、すべて取り逃がした。もしかしたら、
ぜんぶで、1ダースしかいなかったのかもしれない。今では、すっ
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つくられた記憶
/ST/DS9_4_5_3/
そんなつもりはなかったと思います」と、ケイコ。
「そうだろうな。しかしアグラッサから報告が来た時には、チーフの刑
の執行は、終わっていた」
「植え付けられた記憶は、取り出せないんでしょうか?」
「彼らは不可能だと言っているが、ドクターベシアに期待しよう」と、
シスコ大佐。
「いつ会えます?」
「ドクターから許可が出たらすぐにだ」
◇
キラ少佐のシャトルは、オブライエンを乗せて、アルファ宇宙域に戻
った。
「よく夢にみましたよ。シャトルに乗って、ワームホールを抜けてステ
8
7
ーションに帰る。今でも目を覚ますと、消えてしまうような気がする」
と、オブライエン。
「投獄されたのが夢よ。こっちが、現実なの」と、キラ少佐。
「ほんとに、なんて、きれいなんだ」
ディープスペースナインは、宇宙に浮かぶ巨大な神殿のようだった。
「ふん、それじゃ、着艦するわよ」
エアロックで待っていたのは
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イェフディの法則
/FB2/TheYehudiPrinciple/
すべてが
置かれていた。オレは、しばらく、躊躇しちゅうちょた。
「ほんものだよ」と、チャーリー。興奮を抑えるように、すこし息が荒
くなった。「ちゃんと動くんだよ、ハンク。ちゃんと動く。ぼくたちは、
金持ちになれる!なんだってできるんだ━━━」
チャーリーは、話し続けた。オレは、ゆっくり立ち上がり、テーブル
まで行った。ボトルとレモンと氷は、ほんものだった。ボトルは、振る
と音がした。氷は、冷たかった。
1分間、オレは、それらがどうやって来たのか、心配になった。しか
し、今すぐ、ドリンクが必要だった。薬棚からグラスを2つと、本棚か
ら栓抜きを出してきた。そして、オレは、2杯作った。1/2くらいを、
ジンで。
それから、思いついて、チャーリーに訊きいた。
「イェフディにも作る?」
「2つでじゅうぶんさ」チャーリーは、ニヤリとした。
「まず、手始めに」オレも、ニヤニヤしながら、ドリンクを手渡した、
グラスに入れて。オレは、自分の分を一気に飲みほして、もう一杯作り
10
9
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さぁ愉快にやろう
/FB6/ComeAndGoMad/
「いいね!並べ直すまで、待って!」
彼は、不注意に指したので、15分で負けた。リベンジのチャンスを
あげようという、チャーリーの申し出を断って、イスの背にもたれた。
彼は言った。「チャーリー、チェスの駒が、赤と黒になる話を聞いた
ことは?」
「いや、ない。黒と白が、赤と白も、今まで見たことない。なぜ?」
「そう」彼は、ニヤリとした。「オレがほんとうに正気かどうか、あん
たに考えさせたあとで、こんな話を、すべきではないのだが、最近、よ
くなんども、同じ夢を見るんだ。同じものがなんども出て来ることを除
けば、普通の夢よりすごく異常ということはない。そのひとつは、赤と
黒の間のゲームのようななにかだ。それが、チェスなのかどうかは、分
64
63
からない。夢を見ているときは、どちらかなんてこと気にせず、意味の
あるように思っている。その夢でも、オレは、赤と黒のビジネスが、チ
ェスかどうかなんて
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帰ってきたカーン
/ST/StarTrek2013/
◇
小惑星。一面、火成岩の平原。遠くに奇妙な形の岩。
シャトルから10メートル離れた場所に、光子魚雷。
ウォレスとマッコイが、装置を運んでいた。
「たしかに」と、マッコイ。「美人と無人星で、ふたりっきりっていう
のは、夢のようだよ。魚雷さえ、なけりゃな」
「ボーンズ、デートに行かせたんじゃないぞ」と、カーク。
「では、自慢の腕で、どのようにお手伝いしましょうか?」
「ボーンズ!」
「魚雷の威力を知るには」と、ウォレス。「弾頭を開あけるしかない。そ
のため、燃料コンパートメントにアクセスするんだけど、この魚雷の弾
頭は、生きてるわ」
「お嬢さん、オレは、ゴーン人の緊急帝王切開をしたことがある。八つ
子だった。しかも、あいつら、噛み付いてくるんだ。ああ、オレのゴッ
トハンドに任せりゃ、心配ない」
◇
128
127
エンタープライズのブリッジ。
マッコイのおしゃべりが、聞
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天使は淋しい道を行く
/TS/LonelyRoad/
この長い年月のあいだ、わたくしは、とうとう、
それを、人々に伝えることができなかったのです。わたくしには、修道
女になる資格はなかったのです。もっと、つらい、仕事をしている方も
56
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いるのに」
「どうしても、あなたは、夢の世界から出られないんですね?」
「夢の世界?」
「信仰の世界だって、実際的な面があるのですよ。ところが、あなたは、
奇跡を求めてるんです、違いますか?1匹の魚、1きれのパンで、何千
も養うような奇跡をね。雷鳴や稲妻とともに、現われる奇跡がないから、
いっさいが、むなしかったっていうんですか?とんでもないですよ!シ
スター、だれかしら、なんかの形で、かならず救われていますよ!」
「ウォーカーさん、思い出のひとつを、お話しましょう。教区の学校で
教えていたころ、インディアンの少年がいました。あの子は、16くら
いでした。ホソギという子でした。ホソギは、ナガギ語で、幸せと正
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SFミステリー ライトノベル風
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SFミステリー 小説家自動生成異次元空間 ノヴァリアン
NOVELYAN 2.40 (株)美利崎人 (ビリザキト)
NOVELYst AutogeNerating dimensional space
試用版 ゲストルーム
原稿(novファイル)を書き始めた瞬間、あなたは、すでに、ノヴァリスト!
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1.自分のオリジナル作品を、非公開URLにて、掲載可能です。
表示は
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お手伝いさんはジーナデービス1
/FD/FD3_2_6/
お手伝いさんはジーナデービス1
ルースベネット、マイケルJウェイトン
登場人物
エリス:キートン家の母、42、2階で出産療養中。(お休み)
スティーブン:父、44、テレビ局でドキュメンタリー番組を製作。
アレックス:兄、18、優秀な成績で、大学に進学。努力家タイプ。
マロリー:姉、16、勉強よりもファッションが得意。
ジェニファー:妹、13、子どもが生まれると、のけ者にされると心配。
カレン:背の高い女性、32、お手伝いさんに応募。
プロローグ
2
1
キートン家の居間。夕方。
テーブルに、アレックスとスティーブン、それに、お手伝いさんに応
募してきた65くらいの女性。
「というわけで」と、スティーブン。「女房が休んでるしばらくの間、
うちのことをやってもらうことって、ふつうの主婦の仕事と変わりませ
んが、買い物とか、料理とか、その程度のこと。給料は、
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死の手紙
/FB3/DeadLetter/
おまえ
自身の罪を認めることになるからな。なぜおまえはオレを訴えて裁判に
かけようとしない?そうしないのは、真実が明らかになったら、おまえ
の名前は永遠に地に堕おちることになるからさ」
ラバティは、引き金を6回引いた。
2
ラバティは、車に戻り、運転して帰る途中、橋の上から拳銃を捨て、
アパートに帰るとすぐ寝室へ行った。
よく眠っていたが、ドアベルで起こされた。バスローブを引っ掛けて、
玄関のドアをあけた。
彼の心臓は立ったまま止まり、そのままだった。
4
3
3
ラバティのドアベルを鳴らした男は、驚いてショックを受けたが、正
しいことをした。ラバティの体をアパートの中に運び、警察と救急車に
電話して待った。
救急隊員は、ラバティが死んでることを確認し、男は警部補に質問さ
れた。
「きみの名前は?」と、警部補。
「バブコック、ヘンリーバブコックです。ミスターラバ
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そよぐ幻影
/OT/SoyoguGenei/
そよぐ幻影げんえい
大手おおて拓次たくじ
あなたは ひかりのなかに さうらうとしてよろめく花はな、
あなたは はてしなくくもりゆく こゑのなかの ひとつの魚うを、
こころを したたらし、
ことばを おぼろに けはひして、
あをく かろがろと ゆめをかさねる。
あなたは みづのうへにうかび ながれつつ
ゆふぐれの とほいしづけさをよぶ。
あなたは すがたのない うみのともしび、
あなたは たえまなく うまれでる 生涯しょうがいの花はなしべ、
あなたは みえ、
あなたは かくれ、
あなたは よろよろとして わたしの心のこころなかに 咲さきにほふ。
みづいろの あをいまぼろしの あゆみくるとき、
わたしは そこともなく ただよひ、
ふかぶかとして ゆめにおぼれる。
ふりしきるさざめきのやうに
わたしのこころは ながれ ながれて、
ほのぼのと 死しのくちびるのうへに たはむれる。
あなたは みちもなくゆきかふ むらむらとしたかげ、
かげは にほやかに もつれ、
かげは やさしく ふきみだれる。
(昭和八年六月二十九日)
2
1
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ヴァンパイア
/FB/Blood/
追い詰められたが、ふたりは、なんと
かタイムマシンに逃がれ、さらなる未来へと向かった。
2
1
遥はるかな未来、ヴァンパイアという言葉さえ忘れ去られ、ふたりが安心
して、暮らし、子孫しそんをふやしていける未来へ━━━。
「お腹なかがへったわ、ヴェロン」と、ドリーナ。「ひどく空腹よ」
「オレもだ、愛するドリーナ。また、タイムマシンを止めてみよう」
ふたりは、すでに、4回、タイムマシンを止めていたが、いずれも、
あやうく殺されるところであった。ヴァンパイアは、決して忘れ去られ
ていなかった。
前回止めたのは、50万年前だった。人類に代わって犬が人類のよう
な文明を築いている社会であったが、まだ、ヴァンパイアは忘れ去られ
ていなかった。一度、ふたりは、犬社会の娼婦の血をむさぼったが、す
ぐに見つかって猟犬たちに追い立てられ、タイムマシンで、さらなる未
来へ逃れるしかなかった。
「
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アンドロメダUの来訪者
/FB/AllGoodBems/
足を踏み鳴らすのをやめて、エルモのひざにもたれ、抱き
かかえられた。そうしなかったら、床に倒れていたかもしれなかった。
「驚かないで、トゥーツ」と、犬。
「おまえがどうなったにせよ」と、エルモスコット。少し我にかえった。
「オレのワイフをトゥーツと呼ぶのはやめろ!彼女の名前は、ドロシー
だよ!」
「きみは、トゥーツと呼んでいる」
「そこは、ちょっと違う!」
「わかったよ」と、犬。口が笑いかけのようにゆがんでいた。「きみが
ワイフという言葉を使う時に、きみの心に浮かぶ概念は興味深い。ここ
8
7
は、性がふたつある星なのか?」
「ここは━━━」と、エルモ。「なんの話をしているんだ?」
「アンドロメダUでは」と、犬。「性が5つある。もちろん、ぼくたち
は高度に進化している。きみたちは、高度に原始的だ。むしろ、低度に
原始的と言うべきかもしれない。きみたちの言語は、ぼくが見たところ、
混乱した意味
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SFミステリー (小説家自動生成異次元空間 ノヴァリアン) ライトノベル風
/
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一)
試用版 ゲストルーム
は、プロトタイプとして保存。
(以下、略)
or
and
京 都 大原
星 銀河
夢 心
人形 宇宙船
月 夜 花 光
月 夜 花 光
、 ◇
令 和
SFミステリー
「トゥーフ!」 キャビア マーストラリア ビックマック 記憶
ホラー シリウス コロシウム ナスティ アボミっぽい 「ギャーッ!」 ねずみ アリス
SFミステリー
☆原作:フレドリックブラウンより☆
緑の世界
小さな子羊よ
ヴァヴェリ
ギーゼンスタック家
ティラノサ
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失われた母星
/ST/StarTrek2009/
他のもんも同様。さ、乗れよ!」
4人は、シャトルへ乗り込んだ。
「エンタープライズは処女航海したんだ!」と、スコット。「あれは、
スタイル抜群だね!この手で、あのワープナセルを直せるのが、エンジ
154
153
ニアの夢ってもんだ」
スポックは、パネルの前で、転送装置が使えるか、調べていた。
「だけど、ただね」と、スコット。スポックに。「あんたを信じても、
オレが、トランスワープ理論を発明といっても、まだ、してねぇわけだ
し、だいだい、ワープしているエンタープライズにさ、まともな、転送
パットもないのに、転送で乗り込むって━━━降りろ!」転送ルームの
手すりに登っている、小さな宇宙人に。「ジャングルジムじゃ、ねぇ!」
カークは、小さな宇宙人を抱きかかえて、降ろした。
「トランスワープ転送ってのは、銃弾を銃弾で撃つようなもんだ。しか
も、目隠ししたまんま、馬に乗ってさ━━━なに、それ?」
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ティラノサウルス
/FB1/Runaround/
弱さ
があった。彼は、100年間、空腹だったが、これが、最悪だった。し
かし、彼を立ち止まらせたのは、弱さではなかった。彼をあやつるなに
かがあって、それが、1歩1歩さえ苦痛であっても、彼を前進させてい
たのだ。
大木の上の方に、なにかがいて、枝にぶらさがって、「ヤーヤーヤー」
と、あざけるように単調に鳴いていた。枝が弧を描いて落下してきて、
彼の頑丈な背中でバウンドした。攻撃なのか?一瞬、なにものかがむか
ってくるかもしれないという期待から、闘争心が沸いた。
ぶつかってきた枝をまわして、ポキッと折ってこなごなにした。直立
姿勢で、大木の上の小さな挑戦者に、大声でほえた。しかし、そいつは、
降りてこなかった。「ヤーヤーヤー」と、鳴くだけで、臆病にも、けっ
して、大木の上から動かなかった。
木の幹にからだごと力強くぶつかったが、幹は5フィートもあって、
ゆらすことさえできなかった。幹のまわりを2回まわって、ほえてから、
木立の影のなかへ進んでいった。
14
13
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お手伝いさんはジーナデービス2
/FD/FD3_3_1/
皿を置いた。
「ありがとう」と、マロリー。
「キートンさんは」と、カレン。やはり、裏のメモを見て「ショッキン
グエッグス」スティーブンの前に、皿を置いた。
「わぁ、どうも」と、スティーブン。
3人は、出された卵料理をじっと見ている。
「あ、カレン」と、スティーブン。「見たところ、みんな同じスクラン
ブルエッグみたいだけど」
「そんな、バカな!」と、カレン。「それしか知らないの、でも、安心
して、ネーミングで、ますますおいしくなってるから!」
「最近、ニワトリの夢ばっかり」と、スティーブン。
4
3
1
「おはよう」と、アレックス。スーツ姿で入って来た。「マロリー、電
話なかった?」
「ないって、言ってるでしょ!」と、マロリー。
「あ。そうね、くせになちゃったんだ」と、アレックス。冷蔵庫をあけ
て、オレンジジュースを出した。「だから、電話は、あ、止まらなくな
っちゃった!」
「ど
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屋根の上の少女
/TZ/IfSheDies/
動きました」と、ポール。
「無意識の反射です。回復の兆候が、見られない。昨夜も、危なかった」
「望みは、ありますよね?希望は、持っていいんですよね?」
医師は、答えなかった。
「お願いです、助けてください。妻のソフィーを、去年、亡くしたばか
りなのに」
「分かっています」
「ぼくには、あの子しかいない。あの子が死んだら、いったい、どうす
れば」
「最善を尽くします。睡眠導入剤を飲んで、ゆっくり休んでください」
「娘が、呼んでいる気がする。きっと、心の中で、ぼくを呼んでるんだ」
キャシーは、まったく、動かなかった。
「帰ってください。何かあれば、連絡します。よく、休んで」
「帰っても、休めるわけない」
◇
病院を出て、通りにとめた車に乗ろうとして、ドアをあけた。そのと
き、病院のとなりの大きな屋根の上に、少女が白の長い服を着て、立っ
ていた。
10
9
ドアをあけたままなので
|
緑の悪夢
/FB3/NightmareInGreen/
緑の悪夢
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
彼は目覚めると、昨夜ベッドの中で考えた強い決意を思い起こした。
それは、ウィリアムがふたたび男に、強い男になるために曲げてはなら
ない決意だった。妻のデイジーに離婚してくれるよう断固として要求す
る。そうしなければ、すべてを失って2度と勇気を持てなくなるだろう。
6年間の結婚生活の最初から、離婚は不可避だった。
今が、そのターニングポイントだった。自分より、あらゆる点ですぐ
れた女性と結婚することは、耐えられないだけでなく、自分がだんだん
弱々しい生き物、希望を失ったねずみになっていってしまうのだ。
2
1
1
デイジーは、あらゆる点で、ウィリアムより優まさっていた。彼女は、ア
スリートだったので、ゴルフでもテニスでもあらゆるスポーツで、彼を
やすやすと打ち負かした。デイジーは、ウ
|
天使が死ぬ時
/TS/TheHabit/
別の建物の屋上から、もう1台のパトカーが入ってく
るのを見た。そこから、2人の警官と2人の警部が降りた。リチャード
は、建物の屋根の上に身を隠した。シスターに案内されて、警官は校内
を捜索した。
◇
夜。シスターベロニカが運転する車は、戻ってきた。
シスターアンジェリカは、廊下の机の前に座っていた。
「どこにもいませんでした。失敗でした」と、シスターベロニカ。
「テーラー神父が」と、シスターアンジェリカ。「とても心配してまし
た。待っておいでです」
「寝ていてくだされば、よかったのに。もう、警察に届けるしかありま
せんね」
36
35
「警察は、1日じゅうきていましたわ」
「誰が電話を?」
「逃亡犯人を、さがしにきていましたの。リチャードキンブル博士です」
「見つけましたの?」
「逃げたようです」
「お役にたてなかったけど、逃げられてよかった」
「警察では、楽観していましたわ。傷
|
ミットキーあらわる
/FB1/TheStarMouse/
説明されなかった。それ
48
47
は、外がい延えんを理解することなしに、物事の本質が分かる能力だった。
彼らは、ミットキーの視点のようには、物事を理解してなかった。そ
れで、ミットキーに教えるよりも、ミットキーから教わることに、夢中
になった。ベムジとクラロフに、さらに、12人が、特権を与えられた。
誰かが、ミットキーと話してないと、すぐに、別の誰かが、話しかけた。
彼らの質問で、ミットキーの理解も増した。ミットキーは、ふつう、
質問されるまで、答えを知らない。質問されると、答えを、知らないま
ま、知識をつなぎ合わせ、答えにした。
「きみが話す、この言語は、世界中で使われている?」と、ベムジ。
ミットキーは、それについては、前に考えたことなかったが、すぐに、
答えた。「いいえ、違います。それは、英語です。教授は、他の方言も、
話していたのを覚えています。ほかの独自の方言も話しますが、ア
|
サアルバの国
/FB1/DeathOnTheMountain/
雲は、奇妙な形をしてい
た。その形は、時々刻々変化し、船であったり、城であったり、馬であ
ったりした。ごくたまに、雲は、彼以外は、だれも見たことのないよう
2
1
な形になった。彼は、それを、夢で見ていたのだ。ただよう雲の奇妙な
かたちのなかに、夢で見たかたちを、見つけた。
1
小屋のドア口でひとりたたずんで、毎朝、地面のしずくから昇ってく
る太陽を見ていた。谷に住む人たちは、彼に、太陽は昇るのではなく、
地球が、オレンジのように丸く、まわっているので、それで、毎朝、燃
える太陽が、空のなかに昇っていくようにみえるのだ、と話した。
彼は、人々にたずねた。なぜ、地球はまわっているのか、なぜ、太陽
が燃えていて、なぜ、地球が、さかさになっても、人々が落ちないのか、
と。人々は、彼に、きょうがそうなのは、きのうがそうだったからで、
きのうがそうだったのは、おとといもそ
|
武器
/FB2/TheWeapon/
武器
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
室は、夕暮れのなかで、静まりかえっていた。ジェームズグラハム博
士は、主要プロジェクトの中心メンバーの科学者であったが、お気に入
りのイスにすわり、考えごとをしていた。隣の室で、彼の息子が、絵本
をめくる音さえ聞こえてきそうなほど、静かだった。
2
1
1
グラハムは、このようなときに、もっとも創造的で、すばらしい仕事
をした。昼間の雑用から解放されて、自宅の薄暗い室に、ひとりすわり
ながら。しかし、今夜は、彼の心は乱れて、建設的な方向に進まなかっ
た。考えていたのは、隣の室にいる、精神的に未発達の息子のことだっ
た。おもに感じていたのは、愛情であって、数年前に、息子のことを初
めて聞かされた時に感じたような、怒りでは、なかった。少年は、幸せ
だった。それで、じゅうぶんで
|
ファーストコンタクト
/FB3/Contact/
2
火星は、長いあいだ地求人が来るのを待っていた。火星に残されたも
のは、人口900人だけの小さな村だけだった。火星の文明は、地球よ
り古かったが、死にかけていた。1つの村と900人の人間、それだけ
が残された。彼らは地球とコンタクトがとれる日を待ち望んでいた。そ
れは、利己的な理由と、利己的でない理由があった。
火星の文明は、地球の文明とは、まったく違う方向に発展した。火星
では物理科学は発展せず、技術もなかった。しかし社会科学は発展し、
この5万年のあいだ、ひとつの犯罪もひとつの戦争も発生しなかった。
物理学を越えた科学、つまり心の科学が発展していた。これは、地球で
は、発見しかけたばかりだった。
火星は、多くのことを地球に教えられるだろう。犯罪や戦争をいかに
回避するかは、2つの単純なことだった。これから始めて、さらにテレ
パシーやテレキネシス、エンパシーへと━━━。
一方、地球からは、多くの価値あるもの、科学や技術を教えてもらう
ことを望んだ。それは、火星だけでは、進歩した心をもってしても発展
させるには遅すぎるものだったが、死にかけた火星の人々を復活させ、
もう一度人口を増やしていくことを可能にするものだった。地球にとっ
てもメリットこそあれ、デメリットはなかっただろう。
6
5
|
バーニングマン
/TZ/TheBurningMan/
57年間も、地中
で待っていたんだ。目を覚まして、体を震わせ、あたりを見回して、暑
い土の中から、はい出してくる。しばらくすると、体がパックリと割れ
て、中から、若い肉体が現われて、言うんだ。ギラギラした目で、夏を
味わおう、と」
「なに?」
「夏を楽しむのさ!木を見てみろ!いい、夕飯ゆうはんだ。あっちに広がる草原
は、最高のごちそうだな。朝食には、ヒマワリがいい。屋根のタール紙
は、昼食だ。湖のそばの家には、ワインもあるぞ。ゴクゴク飲みほして、
心行くまで楽しんだら、体が真っ二つになる」
ダニーのひとり舞台に、ローリーもアンドレも、あきれた顔をした。
車は、タイヤ交換を終えて、走りだした。
「なんだか、のどが、かわいた」と、アンドレ。
「のどがかわいた、って?甘いな!」また、前の座席に身を乗り出して
きた。「50年以上も、暑い地中にいた男を、想像してみろ!生きられ
8
7
るのは、1日
|
ドーム
/FB7/TheDome/
それに、あんたは
そんなことをしない、最初のボスでもあった」
10
9
ブラドンは、彼女に笑いかけた。「すまない。期待していたとは知ら
なかった。しかし、マイラ、オレは本気だ、結婚してくれるかい?」
彼女は、考え深げに彼を見た。「わたしは━━━分からない。奇妙な
ことは、わたしはあんたに少し、恋をしていたこと。なぜ、そうなった
のか、分からない。あんたはずっと、自分の仕事に夢中で、非人間的で、
ビジネスパートナーのようだった。わたしにキスしようとしたりしなか
ったし、お世辞ひとつ言ってくれなかった」
彼女は、立ち上がるとオレを見た。「わたしは、こんな突然の、ロマ
ンティックでないプロポーズはイヤ!なぜ、もう一度別の時にしないの?
一方で、わたしを愛してると言ってくれたことは、助けになるわ」
「愛してるとも、マイラ。許してくれ!少なくとも、オレと結婚するこ
とが明らかにイヤではない?断ってはいない?」
彼女は、頭をゆっくり振った。目は、彼を見つめ、とてもきれいだっ
た。
「それなら、マイラ、遅くなったことと急になったことを、説明させて
くれ!まず、オレは必死に仕事をして時間に追われていた。なんの仕事
だったか、知ってる?」
「防衛に関するなにか、だと思う。なにかの装置。わたしが間
|
囚人のピアノ
/TZ/TheConvictsPiano/
と、呼ぶ声がした。
「すぐ行く!」そして、「ミサで使えるかも」と、言って、出ていった。
「そうだな」と、リック。
リックは、ピアノをあけてみた。鍵盤を押すと、音がした。
イスをあけると、楽譜がいくつも入っていた。
「スコットジョプリンのメイプルリーフラグ」
楽譜を開いて、ピアノに座った。
「1899年に発行か━━━」
初めての曲だった。右手だけで、出だしを弾いた。左手は、包帯をし
ていたが、なんとか弾けた。3・4小節で、軽快なリズムが出てきた。
夢中になって弾いてるうちに、いつのまにか、赤の楽団の制服を着て、
夜の公園の野外ステージでピアノを弾いていることに気づいた。
周りには、トランペットやホルンのブラスバンドが一緒に演奏してい
た。公園は、感謝祭のお祝いで、テーブルクロスが敷かれ、帽子をかぶ
って着飾った男女が、散策していた。
10
9
セーラー服を着た女性が、花火を持って
|
“スペーステロリスト”ターナロス
/ST/DS9_1_1_2/
警備体制は大丈夫?」
「ご心配なく、ちゃんとやっていますとも」
「そう?」
「ベイジョー人には、私どもには、とうていマネのできない、能力がひ
とつあります」
「それは?」
「うわべを作る、虚勢をはる能力です。本心を隠すことは、私には、非
常に難しい」
「私が、いつも、あなたに意見を求めるのは、そのせいよ。率直な意見
が聞ける。私の過去を知ってる?」
「かなり詳しく知っていますよ」
「誇りに思えないようなことも、してきたわ。ハルという基地を襲った
ことは、今も、夢に見てうなされる。でも、少なくとも、当時は、信念
を持って行動していたわ」
「それでは、今は、迷いがあるということですか?」
「私もあなたも、連邦の人間じゃない」
「というと?」
「私には、戦うべき相手がいるのに、自分を欺いて現状に甘んじている
のかもしれないわ」
「どうやら、苦しい選択を迫られているようですね。どちらを選びます
54
53
|
ブルーモンスター
/FB5/brmon/
ブルーモンスター
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
彼の生涯にスペクトルがあるとすれば、彼の生涯がほとんど怪奇その
ものだったように、それはまさしく、怪奇だった。光のスペクトルが、
赤外線から紫外線に亙わたるように、それは、絶望の夜の思考である、ウル
トラブラックから、神が山の上から見おろすように、彼が他人の心、思
考や知識を見おろす、ハイテンションの目覚めや輝きである、インフラ
ホワイトに亙わたっていた。しかしその間には、なにかがあって、ブラック
とホワイトの間に、グレーがあるように、単純に接することを拒む、赤
の帯域があった。赤は、激しい怒いかりだった。彼の意識が、赤の帯域に差
し掛かると、殺人鬼となり、非常に危険だった。彼はすでに、まったく
2
1
面識のない、ふたりの男とひとりの女を殺していて、捕とららえられ、
|
アンラッキー
/FB1/Unfortunately/
というのも、彼らには、発声や聴覚のための、いかなる器
官もないからだ。彼らは、地球言語の読み書きを、かなり、流暢りゅうちょうにこな
す」
ラルフNCー5は、なにが食べたいか、考えただけで、口に唾液だえきがあ
ふれてくる気がした。なにしろ、この2日間は、まったく、なにも食べ
ていなかったからだ。その前の5日間もわずかしか食べていなかった。
1週間前に、兵站へいたん部が食料を補充しなかったことに、初めて気づいたか
らだ。
ごはん、すばらしいごはんが、心の中に、いろいろと浮かんでは、消
えた。
偵察艇が着陸すると、アルクトゥルス星人は、10人あまり━━━た
しかに、彼らは、ヒューマノイドではなかった。12フィートの背丈で、
6本の腕、肌は、明るい赤紫あかむらさきだった━━━彼に近づいてきて、リーダー
4
3
がおじぎをして、紙と鉛筆を手渡した。
急に、彼は、自分がほしいものにやっと気づいた
|
ナイトゥアンディ
/SY/KAndDy/
答えろ!ジューン、なにも
覚えてないと、言うんだ。そして、なにがあっても、彼らの車に乗らな
いようにしろ!」
「相手は、だれなの?」
「ひどく悪質な連中だ。政府のエージェントと名乗って、DIPする!」
「DIP?なに、それ?」
「ディスインフォメーションプロトコル、ニセの情報を言うこと!ぼく
のこともウソを言う。精神異常とか。ハハ。ぼくが凶暴で、危険だと、
きみに信じ込ませようとする」
「もう、信じかけてる!」
「DIPのキーワードがあって、もう安心とか、保証、安全を繰り返す
やつらには、気をつけろ!」
「分かった!」
「きみを殺そうとするかも!」
「そんな!」
「あるいは、きみを長いあいだ、監禁するかもしれない。安全だという
やつらは?」
「安全だというやつらは、わたしを殺す!」
「それから」
「車に乗らない!」
36
35
「どんな車にもだ。すぐ、逃げろ!」
「逃げろ、すぐに」
「ぼくのこ
|
カトゥーニスト
/FB4/Cartoonist/
22
21
「オレは、オレはできないと思う」と、ビル。「むしろ、戻りたい、
つまり、支払いは?しばらくやって稼いだら、カネをもらって、あるい
は、その対価物をもらって、地球に戻りたい」
「支払いは、あんたのゴージャスな夢のはるか上を行く。欲しいものは
なんでも手に入る。1年契約で始めることもできる。1年後に、望めば、
生涯契約に変更できるオプションも付けて」
「そう」と、ビル。ゴージャスな夢のはるか上っていくらなのだろう?
金の延べ棒を抱かかえて、地球に戻る自分の姿を想像した。
「受け入れてくれるよう、促しうながたい」と、皇帝。「あんたが描かいたすべ
てのカトゥーンは、希望すれば、1日1つ以上描かくこともできる、惑星
のすべての出版社が出版する。そのすべてからロイヤリティが入る」
「出版社の数は?」
「10万社以上。200億の人々があんたのカトゥーンを読む」
「それなら」と、ビル。「たぶん
|
エコーバック
/FB3/Rebound/
8
7
4
スネルは、チャーター機で、ハドソン西の比較的、旅行者の少ない地
方へ行って、ホテルから━━━そこでは、お客はみんな出てゆくように
言っただけだが━━━ひとりで、考えたり、夢見たりするために、長い
ウォーキングを始めた。いい場所を見つけた。そこは、山に囲まれた谷
にある小高い丘で、景色が雄大であった。考える時間のほとんどをそこ
で過ごした。そこで、さらに、意欲が沸いてきた。やがて、動き出すで
あろう世界が見えてきて、幸福感がさらに高まった。
独裁者。彼が、自分に皇帝の冠をかんむり授けるだろう。世界の皇帝だ。だめ
なことがあるか?パワーを持つ人間に、はむかえるものがいるだろうか?
パワーが誰をも命令に服従させ、与えることも取り上げることも、さら
に━━━。
「死んじまいな!」
丘の上から、スネルは、叫んだ。声の届く範囲に誰がいようが、おか
まいなしに、気兼ねなく大声で━
|
アリスのルッグラン
/LC/AliceLooking/
「それじゃ、考える必要はないわ!」と、アリスは考えた。声に出さな
60
59
かったので、コーラスはなかった。しかし、驚くことに、考えのコーラ
スはあった。(考えのコーラスがどういうものか、分かってほしい。作
者にはあまりピンと来ない)
「なにも言わないのがベストだ!」と、考えのコーラス。「言葉は、1
ワードで千ポンド!」
「今夜は、もう」と、アリスは考えた。「1千ポンドの夢を見たわ!」
車掌は、アリスを見ていた。最初は、望遠鏡で。つぎは、顕微鏡で。
それから、オペラグラスで。
「あなたは、旅行のしかたを間違えている!」と、車掌。窓を閉めて、
どこかへ行った。
「お子さんは」と、白の背広の紳士。アリスの向かいに座っていた。
「自分の名前を言えなくても、行き先は知っていなければ!」
「そうよ!」と、ヤギ。白の紳士の横に座っていた。「名前のスペルが
分からなくても、キップ売り場は知ってるべき!」
「荷物といっしょに送り返すべき!」と、ヤギの横のカブトムシ。
「とても奇妙な乗客ばかりだわ!」と、アリスは考えた。「順番にしゃ
べるルールでもあるのかしら?」
カブトムシのさらに横は、だれなのか見えなかったが、しゃがれ声だ
った。
「エンジンを変えて」と、しゃがれ声。「チョークをかけたら、発車
|
あごひげ彩か
/FB3/Beard/
カ
ラー音痴の妻をもらった。違いが分からないからね。
いままでの妻たちは、みんなカラー音痴だった」
ビリーは、深くため息をついた。
6
5
エピローグ
「オレのあごひげの色にもかかわらず、みんな好奇心いっぱいになって、
マリアンヌのようにクローセットの中を見たがるのはなぜなんだろう?
お墓はそこにはない。屋根裏さ」
ビリーは、マリアンヌをがっしりつかんだ。
「おいで、ダーリン」と、ビリー。「お墓を見せてあげるよ!」
(終わり)
8
7
|
オーマイガー
/FB2/Jaycee/
子どもを欲しがる女性━━━独身で
あろうと、不妊の夫をもつ女性であろうと、単性生殖で子どもを持つこ
とを許可した。2030年代に発生したパンデミックによって、世界の
男性人口の1/3が失われていたため、5000万を越える女性が単性
生殖で妊娠し、子どもたちが生まれた。性のバランスをとるのに、幸運
だったのは、単性生殖で生まれた子どもたちは、すべて、男性であった。
エピローグ
「マルシアが言うには」と、ラルストン夫人。「ヘンリーの心配は、ジ
ョンのことらしいの。でも、理由がわからないって。だって、ジョンは、
あんなにいい子なんですもの、と言っていたわ」
そのとき、いきなり、ドクターグラハムが、ノックもなしに室に入っ
てきた。顔は、まっ白で、目は、大きく見開かれ、同僚を見つめて、言
った。
「ぼくが正しかった」
「正しいって、なにが?」
6
5
「ジョンのことだよ。だれにも言ってなか
|
恐怖のウイルス
/ST/DS9_1_2_1/
「ごめんなさい、キラ、でも昔のことだから、これ以上は」
ジェイクは、病室で、看護婦に何かを伝えようとした。
46
45
「どうしたの、ジェイク?」
「光が廻っている、光が廻っている」と、ジェイクが看護婦を引っぱっ
た。
「夢の中から、炎が上がっている」
オブライエンは、ベッドの上で苦しんでいた。
「ものすごい高熱だわ」と、看護婦。
「道をあけないと、道をあけて!」と、ジェイク。
「ドクター、至急こちらへいらしてください」
ドクターベシアは、医療室に戻ると、シスコ大佐に報告した。
「オブライエンは、どうだ」と、シスコ大佐。
「あまり良くありませんね。ウイルスが自律神経まで犯しているんです」
と、ドクターベシア。
「食い止められないのか?」
「神経を刺激しても反応がないんです。第二次感染を防ぐため、30c
cコロファイジンを投与しましたが、熱が全然下がりそうもないんです」
「助かる見込みは
|
致命的なミス
/FB3/FatalError/
「ウォルターバクスターか?」と、保安官。「逮捕状が出ている。服を
着て、いっしょに来なさい!」
「逮捕状?」と、ウォルター。「なんの?」
「不法侵入と窃盗せっとう。きみの叔父お じさんが、寝室のドアのところで一部始終
を見ていた。きみが行くまで静かにしていて、それからダウンタウンに
来て通報した」
エピローグ
ウォルターバクスターは、アゴを撃ちぬかれた。やはりミスをしてい
たのだ。
完全な殺人計画だったが、どろぼうに夢中になりすぎて、肝心なこと
を実行するのを忘れていた。
(終わり)
6
5
|
黄の悪夢
/FB2/NightmareInYellow/
黄の悪夢
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
彼は、目覚まし時計の音で目覚めた。音を止めたあとも、しばらくベ
ッドのうえに横になったまま、その日の昼間に実行する盗みと、夜中に
実行する殺人の計画を考えながら、最後の時間をすごした。
どんなささいな事柄でも、見逃してはならなかった。しかし、これは、
最終チェックだった。今夜の8時46分に、彼は自由になるのだ。あら
ゆる意味で、自由に。
2
1
1
今夜を選んだのは、今日が彼の40回目の誕生日で、夜中の8時46
分が、まさに彼が生まれた瞬間だったからだ。時刻まで詳しく知ってい
るのは、母が占星術にこっていて、生まれたときのことを、なんども聞
かされていたからだった。彼自身は、迷信深くはなかったが、40才で
新しい人生を、正確な時刻にはじめることは、彼のユーモアのセンスに
強
|
暗黒の地球帝国
/ST/ENT_4_5_2/
「地球帝国や艦隊が」と、ホシサトウ。「別の宇宙に?」
「だから、なんだって、いうんです?」と、タッカー。
「ソリア人が、製造年を調べたところ」と、アーチャー。「この船は、
別の宇宙のものというだけでなく、100年後のものでもあった。使わ
れている、テクノロジーのことを考えてみろ!未来の戦術システム。進
化した生物兵器。エンジンは、夢のようなスピードを可能にする!すべ
て、われわれの手に、入るんだ!」
「聞く価値は、ありません」と、トゥポル。「あの船は、誰かが、われ
われをおびき出すために、作り出したおとりにすぎない。アーチャー副
長は、反乱騒動の責めをおうべきです」
「もう、よせ、少佐」と、フォレスト。
「船長、われわれは、ただちに━━━」
「黙れ!調査は、元帥の命令だ」そして、タッカーに。「すぐに遮蔽装
置を直せ!」
フォレストは、護衛とともに、会議室を出ていった。
アーチャーは、勝ち誇った顔で、トゥポルを見た。
◇
60
59
|
ファマドユニヴァース
/FB5/WhatMadUniverse/
「絶対だめ。それは、わたしの母校の同窓会パーティで、スピーチしな
8
7
きゃならないし、ラブストーリー雑誌をどう編集するか、話すつもり」
「それなら」と、ケイス。提案した。「SF雑誌の編集について話すと
いい。あるいは、ホラー雑誌とか。ボーデンに、『サプライジングスト
ーリー』に回される前は、『ブルーディングテイルズ』をやっていたん
だ。その仕事は、かつて、オレに悪夢を運んで来た。あんたの同窓生た
ちも、聞きたいはず、どう?」
ベティハードレイは、笑った。「そうね、でも、それは、静かな女だ
けのパーティだから、ビックリするようなことはだめ。明日、オフィス
で会えるわね?これが、世界の終わりでは?」
「そう、ノー」と、ケイス。否定した。彼は、ある意味、間違っていた
が、まだ気づいてなかった。
ベティがテニスコートから、雑誌のボーデンシリーズの出版人である
L・A・ボーデンの夏用の大きな家に向かって歩き出すと、彼も脇をつ
いて歩いた。
彼は言った。「けれど、ほんとうはここにいて、花火を見るべきだと
思う」
「花火?ああ、月ロケットのこと?なにか、見える、ケイス?」
「そう言われている。それについての記事を読んでは?」
「少しだけ、知ってるのは、月に衝突すると稲妻フラッシュのような
|
ザ・オフィス
/FB5/TheOffice/
手紙をファイルしようと、体を曲げていた。ウィロー
32
31
ビィ氏には、マーティレインズにあるような、そのようなことについて
考える上での、いかなる禁止事項もなかった。例えば、ステラのスカー
トのふちと、巻き上げたストッキングの間の露出した温かそうな肌は、
なんとすべすべして、なんていい感じで触さわれるんだろう、というような
ことを考えても。彼の心は、それがなんであれ、さらに白昼夢を見て、
彼の下で働く部下たちを楽しく淫みだらな想像をすることに、なんのルール
もなかった。
そのとき、彼は簿記係のデスクを見て、愉快なことを思いついた。マ
ーティレインズは、ステラのことを、まるで月に取り憑つかれた子牛のよ
うに見ていた。マーティの目はオフィスを見まわして、彼の目と合った。
マーティの顔は赤面して、すぐにまた台帳を見るように頭を下げた。
ウィロービィ氏はマーティをしばらく見続けて、彼の愉快なことは、
ゆっくり哀れみへと変わっていった。それは地獄に違いない、と彼は考
えた。その子が縛られているように結び目に縛り付けられているのは。
女のことはもちろん、影にもおびえて。それに彼は20だ。いや、21
だ。ちょうど1年前に仕事を始めたときは、20だった。21は、感情
的にも、少なくとも女に関して
|
暗闇の間奏曲
/FB4/Interlude/
暗闇の間奏曲
原作:フレドリックブラウン、マックレイノルズ
アランフィールド
プロローグ
ベンランド保安官は、おごそかな目をして言った。「オーケー、ボー
イ。イライラするのも当然だ。あんたの言ってることが本当なら、なに
も問題ない。なにも心配するな!すべてうまくゆくよ」
「3時間前、保安官」アレンビィは言った。「町に来るのが遅れて、起
こしてしまって悪かった。姉がヒステリーを起こして、落ち着かせてい
て、おんぼろ車のエンジンがなかなか掛からないで」
「オレを起こしたことは気にするな。保安官の仕事は24時間だ。遅く
ならなくても、たまたま今夜は早めに寝床に入ったんだ。さぁ、なにが
あったのかもう少し詳しく話してくれ!
2
1
名前はルイアレンビィと言ったな。アレンビィはこのあたりでは有名
だ。クーパービル一帯でレストランをやっていた、ランスアレンビィの
親戚か?
|
殺人レッスン
/FB4/Lesson/
制裁は長く
は続かなかった。終わると、スティンキーはレーンに倒れ、少し涙を流
し、ぶつぶつののしりながら、鼻から血を流していた。完全にやられた
わけでなかったから、もっと殴られるためにすぐに立ち上がることはで
きた。
胸のうちの怒りや憎しみにもかかわらず、スティンキーはもっとよい
ことに気づいた。自分は殴られたってことだった。
スティンキーは倒れたまま、手の近くには石があった。それが、小さ
な悪魔がスティンキーの心のなかに入ってきた瞬間だった。スティンキ
6
5
ーは石を拾い上げた。
「殺せ!」なにかが囁いささやた。「ねずみを殺せ!」
それは、なににもいたらなかった。ハリーキャランは、スティンキー
の手から石を蹴り出し、スティンキーの顔を蹴り上げて歯を3本折ると、
ボーリング場の裏口から出ていった。
それは、なににもいたらなかった。スティンキーは石を投げなかった
し、とにかくハリーキ
|
ドール
/XF/Chinga/
バディは、メリッサの向かいの席についた。メリッサは、泣きそうな
顔をしていた。
「はやく、町を出ろ」と、バディ。
「出て、どこへ行くのよ?」と、メリッサ。「今だって、やっと、暮ら
しているのに!」
「金なら、だいじょうぶだよ。オレの蓄えたくわを使えばいい」
「そんなの、だめよ」
「今まで、黙っていたが、ずっと、前から、きみのことが好きだった。
一度は、あきらめたが、これも、なにかの、巡めぐり合わせだ。こんなこと
になって、心から気の毒に思う。でも、だからこそ、力になりたいんだ」
「余計なこと、しないで!」
「それは、オレみたいな男の世話には、なれないってことか?」
「そんなんじゃないけど━━━」
ポリーは、チェリーがなくなったアイスクリームを持って、席を立っ
た。
「今日、スーパーで起きたことも━━━」と、メリッサ。「デイブが死
んだことも、どうしようもなかったのよ」
「なにを、言っている?」
28
27
|
悪魔のジョーカー
/TZ/DealersChoice/
ポーカーを楽しみたかったんだ」
16
15
「金を、まきあげてくれたな!」と、ジミー。
「この金は、返すよ!」ニックは、10枚くらい溜まったお札を、前に
出した。
3人は、そろって、不満の声を出した。
「そういう問題じゃない!」と、トニー。
「ああ、そうさ」と、ピート。「ポーカーをやりたいんなら、ちゃんと、
名乗れよ!闇の王子です、とかなんとかさ」
「悪かった、心から謝る。金は、返すよ。必要だろうからね━━━」
3人は、謝罪に、少しホッとした。
「ひとりは、別だが━━━」
3人は、互いに、顔を見合わせた。
「そのひとり、とは?」と、ピート。
「察してくれ!」ニックは、言いにくそうな顔をした。
3人は、また、不満の声を出した。
「悪魔だからって、もったいぶるなよ!」と、ジミー。
「ピートのパーティで」と、トニー。「迷惑かけた、ジミーか?」
「あのときの女全員に、新しい靴を贈っている!」
トニーとジミーは、ピートを見た。
「オレが、怒鳴り散らしたせいで」と、ピート。「嫁は出ていったが、
だからって、殺すことはないだろ!厳しすぎるぞ!」
18
17
|
ミットキーふたたび
/FB1/MitkeyRidesAgain/
月の大気中で、
彼が生きているかどうかを、教えてくれる━━━」
「大気」という教授の声には、侮辱の響きが含まれていた。「月には、
大気がないと言っていたバカどもめが!たしかに、分光器では、そうだ
が━━━」
教授の声に含まれる、ちょっとした痛みは、ミットキーの小さな心に、
広がりつつある痛みとは、まったく、別のものだった。
ミットキーは、今や、ふたたび、ミットキーであった。記憶は、その
ままでは、すこし混乱して、バラバラであった。マーストラリアの夢や
ら、ほかのすべても。
帰ってきて、ミニートを、最初に見て、電気の通った、金属ホイール
を踏んだ一歩が、彼の夢のすべてを終わらせた。わな。そう、わながあ
ったのだ。
12
11
教授は、ミットキーを裏切って、彼の知性を繊細に破壊する、ひょっ
とすると、命さえも奪いかねない、電気ショックを与えた。どしんどし
んと歩く、人間たちの利益を、知性あ
|
ふくろぅ3兄弟
/FB3/Owl/
ひどく傷ついていたが、そのときは気づかなか
った。
6
5
3
末っ子は、木のうろに帰った。
「今、ワイルドキャットとハンターと赤ぎつねを殺したよ!」と、末っ
子。兄たちに、誇らしげに。
「夢でも見たんだよ!」と、長男。
「たしかに夢だな!」と、次男。
「じゃ、夜になったら見せてあげるよ!」と、末っ子。
◇
ワイルドキャットとハンターは、気絶しただけだった。ワイルドキャ
ットはしばらくして起き上がると、逃げていった。ハンターは、目覚め
ると、銃が偶然しとめた赤ぎつねを見つけて、家に持ち帰った。
◇
夜がきて、3兄弟は、木の外へ出た。
末っ子は、ワイルドキャットとハンターと赤ぎつねを捜し回ったが見
つからなかった。
8
7
|
ヴァヴェリ
/FB/TheWaveries/
待ってくれているんだ。
ここには、新聞店があって、小さなミール印刷機があり、仕事もある。
正面部分は、事務所だけど、これはこれで、すごく、効率的なのさ!」
マルベニーは、あたりを見渡して、微笑ほほえんだ。
「ジョージ、きみは、自分の居場所を、ついに、見つけたね。小さな町
の新聞の編集って、ジョージにふさわしいよ」
「ふさわしい、どころじゃないよ!もう、夢中さ!みんなに、もっと、
喜んでもらいたいし、信じられないかもしれないが、イヌのように働い
て、仕事が大好きなんだ。さぁ、二階へ行こう!」
階段で、ピートは、訊きいた。
「前に、きみが書いていた、小説は?」
「半分、書いたまま。悪くはないが、オレが前に、書いていたものは、
小説じゃないな。前は、オレは、すごく冷笑的 シニカルで━━━今は」
「ジョージ。ヴァヴェリは、きみのベストフレンドだった、と思うよ」
「ヴァヴェリ?」
「ということは、ニューヨークのスラングが、ここまで、伝わってない
らしいね!もちろん、ヴェイダーのことさ。やつらを研究していた学者
が、ヴァヴェリプレースとか、ヴァヴェリスタックと呼んだのが広まっ
たのさ━━━やぁ、メイジー、ひさしぶりだね。百万ドルの笑顔は、ま
すます、その輝きかがやを増してるね!」
90
89
|
3つの願い
/XF/JeSouhaite/
モルダーは、アンソンが置いてあった、死体安置室を調べた。
スカリーは、手で顔をおおっていた。
「ああ、もう、死んじゃいたい!」と、スカリー。「ああ、あんなに興
奮して、はしゃいじゃって、バカみたい!どうか、してたわ!なにが、
透明人間よ!」
「あれは、たしかに、本物だよ」と、モルダー。
「わたし、夢でも、見てたのかも。ああ、冷静になって、考えてみれば、
あんなうまい話、あるはずないのよね」
「死体が消えたのには、わけがある」
「わけがあるって、どんな?」
「これは、願いがかなった、結果だよ」
「願いが?誰の?」
「アンソンを、愛してるのは、誰だ?心から、愛してるのは?」
「弟のレスリー?」
◇
ストークス家。
アンソンは、叫ぶのをやめた。
レスリーは、女性を、責めるように見た。「こんなのありかよ?」
52
51
「オレになにを、した?」と、アンソン。
「へ?」と、レスリー。「
|
ファブクリップ
/FB5/FabClip/
ダッチレーガン:どこにでもいるチンピラ、ハリーの子分。
ベニーザトーピード:別のチンピラ、ハリーの子分。
クレアレイモンド:ギャングの女、すぐ電話を教えてしまう、
ウェントウォース、スリーエイトフォーツー。
プロローグ
夢で、オレは、質屋のガラス窓に顔をつけて見ていた。北クラーク通
りの西側の、グランドアベニューを北に1ブロック行ったところにある
質屋だ。シルバーのトロンボーンに手が届きそうだった。窓以外のもの
は、ぼやけてはっきりしなかった。
シルバーのトロンボーンをつかむ前に、歌声がして振り返った。ガー
ディの声だった。
ガーディは、歩道で歌いながら、なわとびをしていた。去年、高校に
進学して男狂いになって顔じゅうに口紅やパウダーを塗る前のガーディ
4
3
のようだった。ガーディは、まだ15にもなってなかった。3・5才オ
レより年下だ。夢では、いつもより濃くすでに化
|
夢、遥かなる地にて
/ST/DS9_6_4_1/
夢、遥かなる地にて
アイラスティーブンベア、ハンスべイムラー、
マークスコットジクリー
プロローグ
シスコ大佐のオフィスは、沈痛な雰囲気に包まれていた。
カーデシア国境近辺の警備にあたっていた連邦の艦船が一隻、消息を
絶ってからすでに10時間が経過していた。
「ディファイアントが該当地区を6時間も捜索していますけど、生存者
が居そうな痕跡は、全くありません」
キラ少佐の報告に、シスコ司令官は、やり切れない苛立ちを感じた。
「コルテスは、いい船だった」
「ああ、スワフォード艦長は友人でしたね」
2
1
「私の紹介で結婚したんだ」
「カーデシア境界のパトロールは、ますます危険になっています。いつ
ジェムハダーの戦闘機に、出くわさないとも限りません」
「シャンパンのコルクを抜くのが早すぎたようだな。ディープスペース
ナイン奪還で誰もが、戦争は終わったと思った、
|
フィッシュストーリー
/FB3/FishStory/
そして、わたしたちを結婚させてくれる。あな
た、泳ぎはだいじょうぶ?トリートーンに会いにゆかなくてはならない
わ。トリートーンの一行は、けっして岸の近くには来ないの」
「もちろん」
「それでは、あしたの夜、トリートーンに会いにゆきましょう!」
ロバートは、友人の家に幸せの絶頂の気持ちで戻った。
ロバートは、トリートーンがロレーヌを人間に変えるのか彼を人魚に
変えるのか知らなかったが、どちらでもよかった。ロバートは、ロレー
ヌに夢中になるあまり、結婚さえできればその形態は気にならなかった。
6
5
3
つぎの夜、結婚式の夜、ロレーヌはさきに来て、ロバートを待ってい
た。
「座って!」と、ロレーヌ。「トリートーンは、到着の合図に、巻貝の
トランペットを吹くわ!」
ふたりは、腕を互いの腰にまわして待った。
やがて、海のはるか沖から巻貝のトランペットが聞こえてきた。
ロバー
|
幻の指揮官
/ST/VGR_6_1_4/
「アカデミー時代の古傷がね。まだ、ときどき、痛むの。いつものこと
よ。でも、よかったら診みてもらえない?痛むの、ここが」と、ジェイン
ウェイは、ドクターの手を自分の腰にあてさせた。
「彼から離れなさいよ!」と、ベラナ。
「あなたは、持ち場へ戻りなさい!」と、ジェインウェイ。ベラナは、
怒おこって会議室を出て行った。
◇
「ドクター!ドクター!」と、呼びながら医療室に入ってきたのは、ジ
ェインウェイ艦長。
「はい」と、まだ、夢うつつのドクター。ジェインウェイ艦長を見て、
急に現実に戻された顔をした。
「例の報告書の件だけど」と、ジェインウェイ。ドクターを連れて、艦
長室へ戻った。
「かなりの裁量権を与えているつもりよ」
20
19
「それに、異論はありません」
「でも、満足もしていない」
「私も、他のクルーと同様に、能力に見合った役割を、与えられるべき
です」
「でも、限界も知らなき
|
白の悪夢
/FB3/NightmareInWhite/
白の悪夢
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
彼は、突然目覚めた。完全に目覚めていて、眠るつもりもなかったの
に、なぜ眠ってしまったのかと訝りいぶかながら、すぐに腕時計の蛍光文字板
を見た。文字板がなければ真っ暗闇の中で、明るく光っていた。11時
数分過ぎだった。彼はホッとした。ほんの少し、うたた寝しただけだっ
た。このソファに横になってから、まだ30分もたっていなかった。妻
がおやすみを言いに来るには、まだ早い。彼の姉が、完全に眠り、寝息
をたてるまで待ってからだ。
2
1
1
それは、バカらしい話だった。ふたりは、3週間前に結婚したばかり
で、ハネムーンの帰りだった。ふたりが別々に寝るのは、これが初めて
だった━━━すべては、彼の姉のデボラが、帰り道の途中にある自分の
アパートに泊まってゆくよう、バカらしい提案をしたから
|
ブラックジョーク
/FB4/Joke/
大男は笑った。「それなら、ブラックノートにある別のやつを呼ぶさ。
怒おこらないでくれ”ただ、からかっただけさ。ホテルに言ったが、正式に
予約したわけでない。からかっただけさ。1つには、あんたが好きだ、
マリエ。ユーモアのセンスがある。ユーモアが分かる。オレが好きなの
は、ユーモアのセンスがあるやつ。オレのように」
「だれでも好き?」
「だれでも。ところで、だんなはどんなかんじ?ユーモアのセンスは?」
「少し。変わった種類の、あなたようなのとは違う。なにか新商品は?」
「すばらしいのがいくつか。見せてあげる。ひとつは、トリックカメラ、
どういうのかと言うと、そう、見せるから、心配しないで、ハニー!不
思議な時計があると言ったのを覚えてる。恐ろしいトリックを使わない
でほしい。オレを怖がらせないで、ハニー!むしろ、逆!」
「いいわ、オーケー、ジム!8時前はだめ!9時よりはずっと前に!」
「ベルをセットするよ、ハニー!それじゃ、また!」
彼は、『今夜はきみといっしょに』を鼻歌で歌いながら電話ブースか
ら出て、ロビーの柱の前にある鏡でシャレたネクタイを直した。彼の顔
に冒険心が走った。そう、ヒゲをそる必要があった。鏡で見なくても、
じゅうぶん荒かった。そう、時間はたっぷりあった、2時間半も。
8
7
|
失われた文明3永遠の生命
/FB3/Discovery3/
失われた文明3永遠の生命
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
20世紀に発見されたが失われた大きな発見の3番目は、永遠の生命
の秘密だった。
これは、はっきりしないが、モスクワのイバノビッチスメタコフスキ
ーという化学者が1978年に発見した。スメタコフスキーは、どのよ
うにして発見し、どのようにしてそれを試す前に有効なことを知ったの
かについての記録を残さなかった。2つの理由から、彼がそれを身が凍こお
るほど怖おそれていたからだ。
2
1
1
スメタコフスキーは、それを世界に発表することを怖おそれていた。自分
の政府にさえ、一度報告すれば、秘密はすぐに鉄のカーテンを漏れて、
世界に混乱をもたらすだろう。USSRはうまく処理できるだろうが、
ほかの野蛮で不道徳な国では、永遠の生命の薬は、たちまち人口爆
|
アボミっぽい
/FB3/Abominable/
プロローグ
シャウンシーアサートン卿は、キャンプを手伝ってくれていたシェル
パに、手を振って別れを告げ、その先は、ひとりで進んだ。ここは、ヒ
マラヤのエベレスト山の北数百マイル、アボミっぽい、つまり、忌いまわ
しいスノーマンの国だった。アボミっぽいスノーマンは、しばしば、エ
ベレストやチベット、ネパールの山々に現われた。しかし、オブリモフ
山は、今、彼が現地ガイドと別れた山だが、シェルパは、彼を心配して、
ほんとうに山に登る気なのか、引き返せる地点まで、待っていてくれた。
ここを越えるのは、勇敢な男だった。シャウンシー卿も、そうだった。
2
1
1
シャウンシー卿は、女性の目利きでもあった。ここでひとりで挑戦す
る理由がそれで、危険な登山というだけでなく、危険な救出でもあった。
もしも、ローラガブラルディが、まだ、生きていれば、アボミっぽいス
ノーマンにつ
|
グレーの悪夢
/FB3/NightmareInGray/
グレーの悪夢
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
彼は、すばらしい気分で目覚めた。明るい春の日射しが暖かく降りそ
そいでいた。30分くらいうたた寝していたようだ。暖かい太陽の影は、
寝ているあいだにわずかに角度を変えた。公園のベンチで座ったまま、
わずかに頭が下がり、前のめりになっていた。
公園は、夏よりやさしい春の緑であふれていた。その日は、重要な日
で、彼は若く、恋に落ちていた。すばらしい恋。目がくらむ恋。幸せに
なれたのは、昨夜のことで、土曜の夜だった。
2
1
彼は、スーザンに結婚を申し込み、スーザンはそれを受け入れたよう
に見えた。スーザンは、イエスと言う代わりにこう言ったのだ。
「そうね、返事をする前に、あした、うちに来て、家族に会ってほしい
の。うちの家族みんなを愛してほしいし、わたしと同じように、うちの
家族みん
|
感想
/CO/Comment/
「家」はテキスト。一度中へ入
ってしまえば、それ自身で閉じていて、その内部で解釈される。外へ出
るキーはない。このことは、第2パラグラフで分かっている:「ドアノ
ブも鍵穴も、ドアのへりさえなかった。へりがあったとしても、うまく
まわりの壁に溶け込んで、輪郭さえ見つけられなかった」
[7]ユング:そのテキストは、答えを見つけたら解決するパズルでは
なく、複数の意味が反響し合うシンボルである。「家」は精神であり、
記憶であり、夢であり、回想。原型をいくつも呼び起こし、ひとつの精
神的空間に並置される。ユングによると、夢における家は、しばしばそ
の人の精神を表す。「エゴはそれ自身の家の主人ではない」
10
9
中心的なキャラクターの「彼」は、家に入った瞬間、光と生の昼の宇
宙から切り離され、なぞのような記念品やオブジェ、暗号のようなでき
ごとに満ちた夜の世界に入り込む。だが、外では昼は終
|
ハーフベア
/FB3/Bear/
ハーフベア
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
もしも病院の待合室で、行ったり来たりしながらタバコに━━━たい
ていは間違えてフィルターの先に火をつけて、なにかを待っている父親
を見たら、その仕草からどんなに心配か分かるだろう。
しかしそれが心配だと思うなら、今、出産室の外のローカでうろうろ
している、ジョナサンクインビーをひと目見てほしい。クインビーは、
タバコのフィルターの先に火をつけて、そのまま吸っても違いが分かり
もしないのだ。
ジョナサンクインビーは、たしかに心配ごとを抱えていた。
2
1
1
始まりは、最後に動物園を訪れた夜だった。「最後に」は2つの意味
でそうだった。1つは、クインビーが1マイル以内には近づかないとい
うことであり、もう1つは、妻も近づかないということだった。彼女は
落ちて、そう、穴の中へ━━━
|
失われた文明2不死
/FB3/Discovery2/
失われた文明2不死
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
失われた大きな発見の2番目は、不死の秘密だった。
不死の秘密は、1952年、合衆国海軍無線技師のポールヒッケンド
ルフ中尉が発見した。その装置は小さな箱に入った電子基盤で、ポケッ
トに入れて手軽に持ち運べた。箱のスイッチをオンにすると、装置を持
っている人のまわりがフォースフィールドで覆おおわれ、その力の強さは、
ヒッケンドルフのたくみな数学で計算しても、ほとんど無限であった。
2
1
1
フォースフィールドは、いかなる熱や放射線も完全にシャットアウト
した。
ヒッケンドルフ中尉の計算によると、人間は━━━男だろうが女だろ
うが、子どもでも犬でも━━━このフォースフィールドの中にいれば、
至近距離で水爆が爆発しても守られ、かすり傷さえ負わな
|
小さな子羊よ
/FB/TheLittleLamb/
小さな子羊よ
原作:フレドリックブラウン
ランベスシモーヌ
プロローグ
彼女は、夕食の時間に戻らなかった。8時になっても戻らなかった。
冷蔵庫からハムを出して、自分用のサンドイッチを作った。全く心配は
していなかったが、少し落ち着かなくなった。窓際を歩いたり、丘から
街の方角を見下ろしたが、彼女が歩く姿はなかった。
2
1
月明かりの夜で、明るく澄んでいた。街頭の明かりは点々と、丘の曲
線は、黄の大きい月に、青に黒を重ねて、続いていた。ここを描かくべき
気がしたが、月はだめだ。誰でも画えに月を入れたとたん、それは、こっ
けいで、こぎれいな画えになってしまう。ヴァンゴッホは星空の画えに月を
入れたが、これは、こぎれいどころか、驚嘆 きょうたんする画えだった。ただ、彼は
これを描かいたとき、正気ではなかった。正気な人間は、なかなか、ヴァ
ンゴッ
|
ナッシングシリウス
/FB2/NothingSirius/
了解が得られれば」と、ジョニー。
8
7
オレは、咳払いをして、ママとエレンを見た。ふたりは、異論なさそ
うだったので、指示を出した。
「ジョニー、コースを変更してくれ!まだ、人の手が触れていない、新
しい惑星を、発見することが夢だったんだ。酸素マスクが必要だとして
も、そこへ、着陸しよう!」
「はい、船長」と、ジョニー。敬礼した。だが、彼の目には、すこし同
意しがたいものがあった。それが多少あったにせよ、どうということは
なかった。なにが、前人未到の地へかきたてるのだろうか?テントやス
ロットマシンは、冒険家の正しい装備では、なかったかもしれない。
しかし、完璧なパイロットは、けっして、船長の命令に、疑問を持つ
ことはない。
ジョニーは、操縦席に座り、パネルを操作した。オレたちは、邪魔し
ないよう、操縦室を出た。
「ママ」と、オレ。「オレは、恥ずべきアホだ」
「そうじゃなかったとして
|
オブライエンの孤独
/ST/DS9_2_4_2/
「ふーん、ま、がんばって!」
「行ってきます」
ケイコは、モリーを抱いたまま、玄関を出ていった。
◇
ステーションのメンテナンスルーム。
オブライエンが入ってきた。すでに、部下のひとりは、センサーでリ
レーをチェックしていた。
「どうしたんだ?」と、オブライエン。
「今朝け さ、早出はやでしたんです」と、部下。
「早出はやでね。今朝け さは、だれもかれも、早起きだとみえる」
「は?」
「デカーティス、仕事熱心なのは、非常にありがたいんだが、この仕事
はな、オドーがベイジョーから戻るのを待って、やるつもりだったんだ。
和平交渉に備えて、セキュリティネットを再編成するのに、オドーを無
視するわけに、いかないだろう?」
10
9
「あ、でも、シスコ司令官は、かまわないからと」
「司令官が、始めていいって、言ったのか?私に相談もなく、そんなは
ずは、ない!」
「でも、そうなんです。
|
星雲を越えて
/ST/StarTrek2016/
引き続き、新らたな生命体をさがし、友好の絆をきずな
結ぶこと」
通路では、2人の保安部員が、まだグレムリンを追いかけていた。
「まだ、星図にのっていない宇宙を旅する不安は大きいが、われわれに
は、幸運なことに、優秀な機関室長ミスタースコットがついている」
機関室では、スコットが小さな宇宙人キーンザーをからかっていた。
キーンザーは、おこって機械をたたいた。
「船は安心だが、長引く共同生活は、クルー同士の関係にさまざまな影
響を及ぼす。いい関係を結ぶ者もいれば、関係を終わらせる者もいる」
カークは、船長席に座った。
「私の場合、日々が、なんというか、少々行き詰ってはいる。遠くへ行
くほど、迷子になる気がした。われわれの宇宙探査の任務も、本当に宇
宙が無限なら、われわれの努力は、永遠に報われないのではないかとい
う不安からだ」
スポックは、古代の遺物の記録を残してから、保管庫にしまった。
「エンターブライズは、まもなく、ヨークタウンで休暇をとる。最新鋭
で、地球から最も遠い基地だ。ルーティーンから解放され、未知の謎を
追うのも、しばらくは、お休みだ」
カークは、船長日誌を惑星連邦に送った。
12
11
◇
宇宙を航行する、エンタープライズ。
カークは、バーカウンターに
|
葬送曲
/FB3/Recessional/
ひ
とりずつ彼のために命を落とした。
2
1
1
われわれは王を守るために、血だらけの平原でひとりずつ命を落とし
た。ここは、騎士が生きてたころに馬が泥を蹴けち散らしていた場所だった。
騎士も今では━━━われわれの騎士もブラックの騎士もどちらもいなく
なり━━━いったい終わりは来るのだろうか?勝利?
われわれは、忠誠心だけを持とう。チボルト司教のように皮肉や邪教
をもつのではなく。
チボルト司教は、戦いの初期に私にこう囁いささやた。
「戦って死ぬ?なんのために?」
それは、平原のはるかかなたで戦いが起こり、王を守るためにわれわ
れが整列したときだった。
それは、司教の邪教の始まりでしかなかった。司教は1つの神を信ず
るのをやめ、いっしょにゲームをプレイする神々を信ずるようになった。
神々はわれわれを人間として扱いもせず、戦う動機もわれわれのもので
はなく、われわれは、無用な戦いにくり出された操りあやつ人形に過ぎないと
信じていた。さらに悪いことに━━━なんというバカげたことだろう!
━━━ホワイトはかならずしも善ではなく、ブラックはかならずしも悪
ではないという。宇宙のスケールから見たら、どちらが戦いに勝とうと
問題ではないという。
|
オレとフラップジャックとマルスd星人
/FB4/Flapjack/
と、オレ。周りの景色
を見回した。「いいじゃろ、どこも同じように見える。12マイル以内
には、どこも水はない」
フラップジャックの背の荷物を降ろし、小さなテントを張り始めた。
オレはもともと、大当たりの前は、荷物にテントを詰めたりはしなかっ
た。フラップジャックもそんなことは言わなかった。しかし、店の店員
が、オレのポケットのカネのにおいをかぎつけて、そうするようすすめ
てきた。ちょっとは見栄えが良くなった。それを運ぶ権利は、フラップ
ジャックのものだった。
フラップジャックはしばらくこちらを見ていた。それから、砂漠に地
虫がいたのか砂を蹴り上げた。オレはそれほど心配する必要はないと分
かっていたが、やつの好きなようにさせていた。オレのことはオレの問
題で、やつのことはやつの問題だった。
やつに言い続けていたことは、誇張なんかではなかった。やつはこの
数日好き放題やってきて、その理由は見ればあきらかだった。フラップ
ジャックは毎晩自分の分のビールを飲めて、うまいわらが食える場所へ
戻りたいだけだった。岩を蹴っているうちに銀鉱脈の大当たりをやって
から、周りの町のすべての酒場に入り浸びたるようになった。やつが店に入
ると、バーテンダーは桶おけいっぱいにビールをついで、やつはそれを飲み
8
7
|
ねずみ
/FB1/Mouse/
1
ビルヒラーは、窓枠にいるシャムネコのやわらかい毛をなでる、手を
とめた。
「ビューティ、あれは、なんだろう?」と、ビル。とまどいながら。
しかし、シャムネコは、答えず、ゴロゴロとのどを鳴らすのをやめた。
ビルがなでるのを、やめたからだ。彼女は、ビルとは違う、なにかを感
じていた。たぶん、ビルの指が、急に、こわばって硬くなったとか、ネ
コ特有の予知能力や、モードの違いを感じ取る能力で。彼女は、背中で
1回転した。
「ミャオー」と、ビューティ。強く、訴えるように。
ビルは、彼女に答えず、公園通りをはさんで起こった、信じられない
できごとに、心を奪われていた。
それは、葉巻タイプで、長さは、7フィート、直径は、最も太いとこ
ろで、2フィートだった。サイズからいったら、ちょっと大きめの、お
もちゃ飛行船であったが、窓と向かいの空中50フィートに出現するの
を、初めて見たときから、ビルは、それが、おもちゃであるとは、まっ
たく思わなかった。
それは、あえて呼ぶなら、エイリアンだったが、そう呼んでも、それ
が、なんであるかを示してなかった。エイリアンとか地球のものとかは、
4
3
その外形を特定するわけではなかった。それは、翼がつばさなく、プロペラも
ロケットブースターもなく、な
|
ハンスカーベルのリング
/FB3/HansCarvel/
ハンスカーベルは、若い妻に疑いを持ち始
めた。妻を深く愛してはいても、妻は元気がよすぎて活発すぎるのでは
ないかという気がした。彼が与えられるものが、もちろんお金は十分あ
ったが、お金以外で与えられるものが、彼女を満足させるには十分では
なかったかもしれなかった。かもしれない?はっきり言おう。十分では
なかったのだ。不自然にならないように、ハンスカーベルは、調査を依
頼して、妻が浮気をしていることを知った。ハンスカーベルは、心が動
揺して苦しみ、夜眠るたびに悪夢に悩まされた。
2
その悪夢のひとつに、ある夜、デビルが現われた。ハンスカーベルは、
悩みを打ちあけて申し出た。
「なにか妻の貞操ていそうを保証してくれるものがあったら、ここにあるお金で
譲ゆずってほしいのだが!」
「もちろん、いいとも!」と、デビル。「魔法のリングをあげよう。目
覚めたら、リングがあるよ。そのリングをはめている限り、きみの奥さ
んがきみに隠れて浮気をすることは不可能だ」
4
3
|
発酵したインク
/FB5/FermentedInk/
発酵はっこうしたインク
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
もくじ
太ふとりすぎのふくろうに捧ささげる歌 ∨
間奏曲 かんそうきょく ∨
ギフト ∨
聞ききなれないセレナーデ ∨
モダンメロディ ∨
ラプソディ ∨
オーチュア ∨
ロマンス ∨
ミッドナイトソナタ ∨
ゆっくりと目覚め ざめる ∨
2
1
太りすぎのふくろうに捧げる歌
Ode to a Stuffed Owl
太りすぎの ふくろう The stuffed owl
遠ぼえも Does not howl、
うなりも しない Or yowl。
飛ぶとき When flies
目の光 Light on its eyes
またたきも It doesn’t blink
ウィンクも しない Or wink、
止まり木から Nor from its perch
ね
|
パターン
/FB2/Pattern/
パターン
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
ミスメーシーは、鼻で笑った。
「なぜ、みんなは、そんなに心配するのかしら。彼らはなんにもしやし
ないじゃない?そうでしょ?」
町では、どこでも、パニック状態であった。しかし、ミスメーシーの
庭は、静かだった。彼女が静かに見上げる先には、モンスターように巨
大な、1マイルはあろうかというインヴェイダーたちの姿があった。
1週間前に、彼らは、100マイルの長さの宇宙船を、アリゾナ砂漠
に静かに着陸させて、地球にやってきた。1000人近い数の仲間が、
宇宙船から出てきて、今も、そこらじゅうを歩きまわっていた。
2
1
1
しかし、ミスメーシーの言うように、彼らは、なにも、あるいは、だ
れも、傷つけなかった。彼らは、人々に影響するほどは、実体的ではな
かった。1匹が、人を踏みつけたり、あるい
|
緑の世界
/FB/SomethingGreen/
赤い太陽の直下の32℃の
範囲で、安定していた。食料も豊富であった。長い間に、マクガリーは、
植物と動物について、食べても平気なものと、食べると体をこわすもの
の区別を、学んだ。試したもののなかには、完全に毒であるものはなか
った。
そう、すばらしい世界だった。ここでは、マクガリーは、唯一の知的
生命体であった。そして、ドロシーは、いい助手であった。なにかを話
しかけても、なにも、こたえてはくれなかったが。
ただし、緑を除いて。ああ、心の底から、マクガリーは、緑の世界を、
また、この目で見たかった。
地球。そこでは、緑が、そこらじゅうにあふれる色であり、植物の生
命が、葉緑素ようりょくそに支えられている、宇宙で唯一の惑星であった。地球のあ
る太陽系でさえ、他の惑星には、岩肌に緑っぽい筋以上のものは見つか
っていなかった。ごくたまに、生命体らしき痕跡こんせきが見つかっても、むり
に呼んでも、茶色っぽい緑以上のものではなかった。宇宙のどこにも、
10
9
|
眠れるステーション エムポックノール
/ST/DS9_5_6_4/
◇
チーフオブライエンは、エアロックでガラックに訊きいた。
「司令官はなんて言って、きみを説得したんだ?」
「志願したとは思わない?」と、ガラック。
「へへ、脅されたんだろ」と、オブライエン。
「違いますよ、ワイロをつかまされたんです。私の店のスペースを増や
してくれるそうなんです。最近の仕立ての機械は、かさばるのでね」
「とにかく、来てくれて嬉しいよ。どうしたんだ?」
「いやはや、まったく、最近、みなさん、私を信用してるみたいなんで
す。なんと言いますか、居心地が悪くってね。この調子だと、そのうち
食事に招かれだすかもしれません」
「そうか、そんなにいやなら、僕は君を招待するのは、やめておくよ」
「ありがとうございます」
「お礼なんかいいって、君には借りができたしな、カーデシア人が仕掛
けたわなを、解除するのは、僕向きじゃないよ」と、オブライエン。
「それが当然ですよ。ご心配なく、私の得意分野ですから」と、ガラッ
ク。
ボリアン人のボクタは、シャトルに乗り込んできたクルーたちに言っ
た。
10
9
「わなの解除だと?それを知ってたら、この任務には志願しなかったの
に」
「だけど、ゴミ処理よりは、おもしろそうだろ?それに、エンジニアが
フェーザーを撃てるなんて、めったにないぞ
|
人形の家で
/TZ/Miniature/
チャーリーは、手をさし出した。バディも、握手した。
「母さん、来てくれて、うれしいよ!」母に、あいさつして、イスに座
54
53
った。
「チャーリー、気分はどう?」と、精神科医。
「最高としか、言えません!先生のおかげです」
「夢を見ることは?」
「赤ちゃんのように、よく眠れます」
「人形の家の女性は?」
「あれは、ただの人形です。先生のおかげで、目が覚めました。感謝し
ます」
「ご自分で、解決されたのですよ。私は、ヒントを与えただけ」
母は、チャーリーの受け応えを見ていて泣き出した。
「母さん!」
「チャーリー!どれほど、心配したことか!ほんとうに」
「心配させて悪かった。でも、もう、大丈夫だ!ですよね?」
「ええ」と、精神科医。
「仕事を見つけて、元通りの生活に戻るよ!」
◇
チャーリーの家。4人そろって、ココアを飲んでいた。
「母さんのココアは、やっぱり格別だ」と、チャー
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聖なる神殿の謎
/ST/DS9_1_1_1/
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「わかった」
◇
シスコ中佐は、ターボリフトを降りて、プロムナードのクワークの店
へ入った。店は、多くの人で賑わっていた。
「さぁ、賭けて!一攫千金も夢じゃないからね」と、ロムは客に呼びか
けていた。
「ダーボ!」と、女性の声。
シスコ中佐は、クワークの店の賑わいに満足して、カウンタに腰掛け
た。
「いやぁ、中佐、何を飲む?」と、クワーク。
「ベイジョーのシンセール!」と、シスコ中佐。
「ああ、やめときな!ベイジョー人っていうのは、信仰もあつい連中だ。
でも、奴らの作る酒は、最低だ。信心深い奴らの作った酒は、飲めたも
んじゃない。子供を牢屋にぶちこむような、連邦の士官の酒もな!」
◇
「ステーション日誌、宇宙暦46390・1。エンタープライズは、小
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失われた文明1透明人間
/FB3/Discovery1/
プロローグ
20世紀に3つの大きな発見があったが、残念なことに失われた。
最初の発見は、透明人間だった。
透明人間の秘密は、1909年にアーキバルトプレーターによって発
見された。プレーターは、エドワード7世の宮廷に仕つかえる使者で、オス
マン帝国とゆるい同盟関係にあった小さな州の統治者だったサルタンア
ブデルクリムの宮廷に送られていた。
プレーターは、アマチュアだがとても熱心な生物学者でもあった。
2
1
1
プレーターは、ねずみにさまざまな血清を注射して、突然変異をもた
らす注射を発見しようとしていた。3019匹目のねずみに注射したと
き、ねずみは消えた。ねずみは、まだ、そこにいて、手のひらに乗せれ
ば感じるが、体毛もつめも見ることができなかった。プレーターは、慎
重にねずみをケージに入れた。2時間後、ねずみはふたたび現われた。
どこにも傷は
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アリーナ
/FB6/Arena/
砂の平面に、引
っくり返ってかぶさってるようだった。
そして、すべてが青だった。1つを除いて。遠くのカーブしている壁
の近くに、なにか、赤の物体があった。ほぼ球体で、直径がだいたい1
ヤードに見えた。遠すぎて、点滅する青を通して、彼には、はっきりと
見えなかった。
しかし、なにか分からないが、彼は身震いをした。
彼は、手の甲で、額のひたい汗をぬぐった、あるいは、ぬぐおうとした。
◇
これは、夢なのか?悪夢?この暑さ、この砂、あの赤の物体を見たと
きの、漠然とした恐怖の感情は?
夢?いや、眠ってなかったし、宇宙戦争の真っ最中に、夢を見るはず
ない!
死んだのか?いや、決してそうじゃない!不死があるとしたら、この
ような意味のないようなものではあり得ない。青の熱さ、青の砂、赤の
恐怖のような。
そのとき、彼は声を聞いた。
16
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それは、耳からでなく、彼の頭の中から聞
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存在のわな
/FB4/Trap/
彼は超人的パ
ワーを持っていたとする、現在の迷信を信用することもできるかもしれ
ない。しかし、彼がスーパーマンだとしても、かなり歪ゆがんだスーパーマ
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ンだった。
それは、あたかも、あらゆる面で心の狭い、無知で偏見に満ちた思想
を持つ男が、奇跡的に大多数の人々を扇動する能力を与えられて、自身
の狭量な憎しみを聴衆のすべての、ほとんどすべての、心に植えつける
ことができたかのようにみえる。少人数の、免疫を持った、武装テロ集
団が、世界をアルマゲドンから救ってくれた。
彼の死に際ぎわの正確な様子は、今日に至ってもなお、ミステリーに包ま
れている。彼が新しい兵器によって殺され、目的達成後にそれが破壊さ
れたのか、ローズボウルの聴衆によって目撃された恐ろしいものは、た
だのイルージョンで、並はずれた手品師によるトリックだったのかどう
かは、いまだ定かでない」
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青の悪夢
/FB3/NightmareInBlue/
青の悪夢
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
彼は、今まで見たことのないような輝く青の朝に目覚めた。ベッドの
脇の窓から、ほとんど信じられない青空が見えた。ジョージは、すぐに
ベッドからすべり出ると、完全に目覚め、休暇の1日目のほんの1分も
無駄にしたくなかった。しかし妻を起こさないように、静かに服を着た。
休暇のために1週間友人から借りたロッジに着いたのは、昨夜遅くで、
ウィルマは旅にとても疲れていて、すこしでも長く寝かせてあげたかっ
たのだ。靴も居間に行ってからはいた。
2
1
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息子のトミーは、まだ5才だが、髪をくしゃくしゃにして、寝ていた
子ども室から出てきて、あくびをした。
「朝ごはんは、いるかい?」と、ジョージ。トミーはうなづいた。「服
を着てから、台所に来なさい」
ジョージは台所に行ったが、朝食を始める前に
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ネコどろぼう
/FB3/CatBurglar/
ネコどろぼう
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
ミッドランドシティ警察の署長は、2匹のダックスフンドを飼ってい
た。名前は、リトルノートとロングリメンバーだった。しかしこのこと
は、ネコどろぼうとは全く関係ない。このストーリーは、いわゆる署長
が、一見すると不可解な一連のどろぼうに━━━ひとりの男の犯罪に興
味をもったその関心事から始まる。
どろぼうは数週間で、19の家に侵入した。見たところ犯罪は計画的
だった。侵入した家にはかならずネコがいた共通点があったからだ。
どろぼうはネコだけを盗んだ。
2
1
1
たまには、現金が見えるとこにあったり、宝石があったが、どろぼう
は目もくれなかった。家主が帰ると、窓やドアがこじあけられ、ネコが
いないことを発見するが、ほかに盗まれたものはなく、室を荒らされて
も
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レッドダイアモンド
/RD/RedDiamond/
と、担当医。「弾たまが大動脈をかすめていた。助
かったのは、とてもラッキーだった」
「オレがラッキーだったら、やつの弾ためは当たらなかった」と、レッド。
頭を枕から上げた。「やつの方は?」
「ミスターバーガスのことなら、だめだった。警察が到着したとき、4
人の死体があった。警察が話したいそうだ」
「だろうな」と、レッド。頭は重く、枕に頭を落とした。
「今は、休んで」と、担当医。「話はできないと言っておく」
「あんたがドクター」
つぎの3日間、意識のはざまをさまよった。繰り返し見た夢は、黄の
キャブに追い回される夢で、そのボンネットは、ロボットの口のように
閉じたり開いたりした。
皮膚は、栄養注射、輸血や抗生物質の大量投与で穴だらけになった。
しかし、目が覚めるたびに、胸の包帯はだんだん小さくなっていった。
それがペーパーバックスの大きさになったとき、ドクターは刑事の入
室を許した。
レッドはベッドに座り、ブラウニングが入ってきた。他の殺人課の刑
事や法廷速記者が補佐としていっしょだった。
「ドクターによると、あんたは回復に向かっているそうだ。コングラチ
ュレーション!」と、ブラウニング。
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「サンキュー!病気見舞いに?」
速記者は、家庭的な中年の女性で、熱心にガムを
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ギーゼンスタック家
/FB1/TheGeezenstacks/
人形を、ひとつも持っていない、と。これなら、オーブリー
も納得してくれると思うよ。エディスが、強めに言ってくれれば」
「でも、ディック。サムには、なんて、言うの?理由を知りたがるんじ
ゃない?」
「サムには、オーブリーがいないときに、人形で遊ぶには大きくなりす
ぎたとか、人形に興味をもちすぎているから、お医者さんのアドバイス
で、とかなんとか言ったらいいんじゃないかな」
オーブリーは、あまり、乗り気ではなかった。最初のころほどは、ギ
ーゼンスタック家に夢中ではなかったが、どうして、人形とダンスレッ
スンの、両方できないのか、と訊きいた。
「両方は、時間的に無理だわ、ハニー。それに、貧しい子どもたちは、
いっしょに遊ぶお人形が、ひとつもないのよ。貧しい子どもたちが、か
わいそうでしょ?」
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オーブリーは、しぶしぶながら、うなづいた。けれど、ダンススクー
ルは、10日後からだったので
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白日夢
/FB7/Daymare/
まだ、そこへは帰りたくなかった。
セクター3シティの通りは、夜の遅い1時間にしては、混んでいた。
遅い?腕時計を見ると、軽く口笛を吹いた。今は、夜中でもなかった。
朝の2時で、この時間、普段なら通りに人はまったくいなかった。
しかし、今夜は違った。人々は、ひとり、あるいは、少人数で、歩き
回っていた。みんな、薄気味悪い沈黙を保っていた。足を交叉ささせたり、
しかし、ささやき声さえ立てなかった。
ささやき!この通りや通りにいる人々が、カクアに昨夜の夢を、今、
思い出させた。今、思うと、それは夢でなかったと気づいた。普通の言
葉の意味で、眠りながら歩いていたのでもなかった。
彼は、服を着た。ビルから盗んだ。通りの明かりは、また、消えてい
た。つまり、サービス部門の従業員は、自分の仕事を無視したことを意
味する。彼らも、みんなと同じに、群衆にまぎれて歩いていた。
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昨夜は、ささ
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ボディスナッチャー
/SY/BodySnatcher/
街を歩く、リサ。なん人かが、リサを見ていた。
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「この町の人々の雰囲気が、違って感じるの。ジェフリーもみんなも、
きのうまでは、普通だったのに、きょうは、違和感を感じる」バスの人
々が、みんな、リサを見ていた。「悪い夢かしら?恐ろしいわ。一晩で、
町が変わったなんて」
マシューは、赤信号で、車を止めた。
「英軍ラクダ部隊の話をしたことは?」
「ええ」
「サハラ砂漠でのことだ」青信号に変わったので、車を発進させた。
「敵に40日間、包囲され、食料もつきていた。そのとき、隊長が、部
下たちに言った。諸君、いいニュースと悪いニュースがある。すると、
部下のひとりが━━━」
「それ、聞いたわ、ははは」
「もう一度、話す?」
赤信号で車を止めると、男性が、フロントガラスの上に、飛び乗って
きた。
「いったい、なんだ!」と、マシュー。「ドアをロックしろ!」
「やつらが来る!」と、男性。フ
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八甲田 歩のスペースドライバー日誌
/RM/SpaceDriver/
タワー
「東京駅まで!」と、料亭のおかみさんふう女性。
「ここからだったら、新目白通りを抜けてゆくのが断然早いわよ!」
「いいわ、私が教えてあげる!そこの高戸橋を右に曲がって新目白通り
に入ってくれる?」
「高速道路に沿って、飯田橋を抜けて」
「皇居に出たら、お堀ぞいに行くと」
「ほら、東京タワーが一番よく見える場所に出るから」
「ここで左折すれば、正面が東京駅よ!」
「あら、今夜のタワーは、ずいぶんブルーなかんじだこと!」
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想おもふ雲
「それって、なんなの?」と、女の子。
「どれ?これなら、安全の全の字よ」と、お母さん。
「金の字かと思った!」
「あら、金の字も忘れてしまったの?最近、覚えたばかりじゃない?」
「知ってるわよ!ただ、金の字をそう書く人もいるのかなって思ったの」
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パペットショー
/FB2/PuppetShow/
大佐は、ため息をついた。「そう聞いても、安心できないな。わしら
は、ヒューマノイドとは、なんとかやってゆけると思う。銀河の支配種
族は、結局のところ、人間、少なくとも、ヒューマノイドと聞けば、少
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しは、安心するだろう。ところで、2番目のテストは、なんだね?」
「もう、始まっている」と、デードグラント。指を、パチンと鳴らした。
「こう、呼んでくれないか━━━エドガーバーゲンのチャーリーマッカ
ーシーの次の、2番目の人形の名前は?」
大佐は、思いつかなかった。軍曹が、代わりに、答えた。
「モーチマスネード」
「そう、オレのことは、モーチマスネードと、呼んでくれ!しかし、今、
オレは━━━」
デードグラントは、言い終える前に、砂の上に水平に、仰あお向けに倒れ、
目をつぶった。数分前に、杖男が倒れたのと、まったく同じように。
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アリスのビックリラン
/LC/AliceWonder/
マギー。アリスの頬ほおにキスをした。
「でも、すぐ急がないと、お茶の時間に遅れてしまうわ!」
アリスは、走りながら考えた。
「なんて、すばらしい夢だったんでしょう!」
◇
マギーは、しばらく土手にいて、夕陽を眺めていた。ヒザの上の手に
アゴを乗せて座り、アリスのことを考えていた。アリスの夢の冒険も考
えたが、それよりもファッションのことを考えた。ファッションがマギ
ーの夢だった。
やがて、眠りの中で、ふたたび、アリスの夢を見た。手でヒザをたた
き、目はマギーを見つめていた。アリスの声も聞こえ、目に入る長い髪かみ
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をうしろにはね上げた。そして聞こえてきたのは、あるいは、聞こえて
きたように思えたのは、マギーを取り囲んで現われた、アリスの夢の奇
妙な生物たちだった。
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長く伸びた草が足元で音をたてると、白のウサギが走っていった。驚
いたネズミが水しぶきを
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